親子が折り合うコツとして親へのヒント

親が攻撃を受けることで、子どもを支えている

自分の娘や息子から、「自分がこんな風になったのはあなたの育て方が悪かったからだ」と言われたり、そう思われたりすることは、とてもつらく、悲しいことだ。

けれども、実際は、「毒親メカニズム」という現象があり、成人になった自分の子どもから攻撃を受けている親御さんも多く、また悩んでいる人も増えている。

現在、攻撃を受けているお父さん、お母さん方に知ってほしいのは、まずはこの「毒親メカニズム」のことだ。

本当は自身のエネルギーの消耗で、人生に疲れているお子さんが、自分への攻撃の一部を、親に回しているのだ。

お父さん、お母さんは、攻撃を受けることで、実はお子さんを助けている。

そのことを説明すると、親御さんの表情が少しだけ緩む。

人は、意味のない苦しみには耐えられないが、意味がある苦しみにはある程度、耐えられるようになる。

もちろん、つらいことに変わりはないが、「それがわが子を支えている」という発想は、折れそうな心の支えになる。

もう一つ、はたから見ていて気が付くことがある。

それは、親御さんのこだわりが、子どもの怒りを刺激していることが多いということ。

お父さん、お母さん自身が無意識のうちに「子どもを従わせたい」と、自分の価値観を押し付けていないかを、気を付けてみてほしいのだ。

例えば、親は、未婚の子どもがいると、「結婚しなさい」「家庭を持ちなさい」などと、言いがちである。

もちろんその裏側には愛情があり、子どもの将来が心配だからこそ、つい言ってしまうのはわかる。

けれども、こうした親の価値感自体、すでに若者に合わない可能性があるのだ。

あと数十年したら、結婚する人はほとんどいない世の中になっているかもしれないと真剣に予測している。

結婚という形態にあまり利点がなくなりつつあるからだ。

実際、未婚率はかなり伸びている。

他にも、「安定した会社に入りなさい」「仕事は続けなさい」など、これまで一般的だった大人の価値観が、若者に合わなくなってきている。

世の中の変化が著しいのだ。

子どもの価値観が親と違うのは、それなりの理由がある。

ポテトチップスを箸で食べる人がいると知れば、びっくりする人が多い。

しかし、油で汚れた指でスマホを触りたくないというのが、若者なりの理由なのだ。

聞けば、「なるほど」と思う。

価値観の相違は、どんな親子にも存在する。

双方が歩み寄ることが理想だが、普通は余裕のあるほうが、相手の価値観に合わせることが多いだろう。

そういう意味からいうと、今は、子どもに余裕がないのだ。

一見、大人になって立派に社会で生活してはいるが、いろんな不安を押し殺しながら、精一杯頑張っている。

そんな子どもに、親の価値観を押し付けても、反発されるだけだ。

ところが、親もなんとなく困っている子どもを見て、親の価値観で「結婚でもしたら落ち着く」「安定した会社に就職しないからだ」などと、解決策を伝えたいのだ。

だからどうしても、しつこくなってしまう。

ここは、今の時点でまだ余裕のある親御さんのほうが、自分の価値観を柔軟にしてほしい。

子どもには、子どもの都合がある。

子どもの価値観がある。

それを尊重してあげてほしい。

一番近い人生の先輩として、子どもと接する

では、ただ困っている子どもを放置しておけばいいのか。

そうではない。

一番近い人生の先輩として接してほしいのだ。

まず、「毒親メカニズム」を知り、子どもの攻撃の言葉を受け流す。

次に、子どもが現実に困っている内容に耳を傾ける。

30代、40代になった子どもは既に、自分なりの世界で生きている一人の人間。

もう、幼稚園生や小学生だった”うちの子”ではない。

けれども、子どものほうも、心の中では、今の時代を自分の価値観だけで生きていくことに不安があるものだ。

人生の先輩である親が、まずは話を聞き、生き方を認めて、背中を押してあげる。

子どもはそのような大人を求めているし、子どもが求める姿を返せることは、親としてもうれしいことである。

多くの場合、「君のやり方ではだめだ、こうすればいい」というダメ出し系ではなく、「君のやり方でいいと思う」という後押し系のほうが、子どもの力になれる。

たとえ、「こうすればいい」と親が明確に思う解決策を伝え、子どもがある程度納得したとしても、そのアドバイスをそのまま実行することを望んではいけない。

多くの場合子どもは、アドバイスに納得したのではなく、親が真剣に関わってくれたことで感情が落ち着いただけなのだから。

ただ、ここまで紹介してきたヒントはあくまでも、口喧嘩レベルを想定している。

「親への対処」「子どもへの対処」のいずれの場合も、虐待や暴力による攻撃がある場合は別だ。

虐待や暴力は、考え方で何とかなるレベルではなく、現実的な対処をすべきである。

親子関係の場合、そのような深刻な問題が発覚しにくいケースが多い。

1人で苦しんでいると、自分の心の中で記憶や判断がどんどん偏って、極端な感情にまで発展していくこともある。

ソーシャルワーカーや周囲の信頼できる人など、第三者の力を借りて、行動を起こすことを心がけておきたい。