男性に求めるもの・女性に求められるもの

あなたにとって恋人の第一条件とは

理想の男性像、理想の女性像が話題になることがあります。
とくに、異性の目からみたそれは、多くの若い人たちの関心を集めます。

人気タレントのインタビュー記事などをみると、必ずといってよいほど理想の異性像について触れられています。
まさに人気を支えてくれる異性ファンを意識した質問といえるでしょう。

これほどワンパターン化した、能のない質問も珍しいのですが、熱烈な異性ファンにとっては最大の関心事なのです。
そのタレントがあげた好みのタイプ像と自分との間に何らかの共通点がみつかったりしたら、それこそ有頂天です。

さて、ここにアメリカの心理学者が行なったある調査結果があります。

大学生の男女に「異性にとって望ましいと思われる性質」を尋ねたものです。

望ましい男性の性質として最も多くの女性があげたのは、仕事の実績でした。
つぎが指導性、そして職業上の能力、経済力、歓待力、知的能力などと続いています。
これをみてどんな感じをもちますか。

もし仕事上の実績や職業、経済力で魅力度を測られるとしたら、男性にとってそれほどむなしいことはないでしょう。
社会的に評価の高い職業に就いている男性や高い学歴をもつ男性、同年輩の人たちより多くの収入を得ている男性やたまたまお金持ちの家に生まれ育ったために経済的に恵まれた立場にある男性などのなかには、こうした結果をみて、「よし、俺はもてる資格充分だ」と単純に喜ぶ人もいるかもしれません。
でも、それは見方が甘すぎます。

今現在恋愛が進行中であっても、職業や学歴が違ったり、経済力が低かったりした場合、同じ恋愛が成立していたかどうかと考えて、悲観的にならざるをえない男性もいるはずです。

職業や経済力を条件に愛されているとしたら、それは本人そのものには愛すべき価値がおかれていないことになるのです。

先に挙げた結果は、男性は女性から人間性そのものを評価してもらうのがむずかしいことを示しているといえます。
男性は、労働力というモノサシで評価されがちなのです。
有能な働き手として活躍する展望が開けるかどうかに、男性の自己評価は大いに左右されます。
性格的によい人物であるかどうかでなく、有能な労働力となりえるかどうかで評価される男性の抑圧された姿を映す調査結果であったわけです。

男性の大多数が「優しい女性」を好む理由

それでは、女性の場合はどうでしょうか。
望ましい女性の性質として最も多くの男性があげたのは、身体的魅力、いわゆる容姿・容貌でした。
そして、性的魅力(セクシーかどうかということ)、愛情深さ、社交性、家事能力、共感能力と続いています。

ここから、外見が美しいかどうか、セクシーかどうかが魅力的女性であるか否かの最大の決め手になっていることがわかります。
男性は見た目だけで女性を評価すると憤慨する方も多いと思います。
たしかに男性には、見かけが美しかったり、セクシーだったりする女性にコロリとまいってしまう単純なところがあり、それを反映する調査結果といえます。

結局、男性は女性から単なる経済の手段としかみなされず、女性は男性から単なる鑑賞物や性の対象としかみなされず、人柄などの人間的魅力までなかなかみてもらえないということになります。

でも、ちょっと待ってください。
もう一度望ましい女性の性質をみてみると、見かけが美しくて、セクシーで、愛情が豊かで、人あたりがよくて、家事が得意で、人の気持ちがよくわかる女性というようにまとめることができます。
たしかに外見に関するものが上位にありますが、愛情が豊かで、人あたりがよくて、人の気持ちがよくわかるというあたりは、まさに内面的魅力といえるのではないでしょうか。
経済力、業績、知的能力、職業といった男性を評価するモノサシと比べて、はるかに人物そのものがみえてくる尺度だと思いませんか。

つまり、女性のほうが内面的魅力を磨くことによって異性から評価されるチャンスがふくらんでいくということになります。
相手がしっかりと自分をみつめ、人柄を、人間そのものを求めてくれるという点で、女性のほうが恵まれているのです。

では、なぜ男性は愛情が豊かで人の気持ちがよくわかる女性、いわゆる優しい女性を好むのでしょうか。

それは、望ましい男性像からもうかがえるように、男性に求められる独立心やたくましさによるものだと思われます。
男性の頭の中には、社会一般の男らしさのイメージの反映として、つぎのようなことばが刻みつけられています。

  • 自分の力で人生を切り開いていけ
  • けっして弱音を吐いてはならない
  • 勝負に負けたらカッコ悪い
  • クヨクヨせず、つねに前進あるのみ
  • 他人に甘えてはいけない

こんな足かせをはめられて、男の子は戦闘ロボットに育てあげられ、有能な働き手として競争社会に送り出されるのです。

男性には見栄っ張りが多いといわれますが、それもそのはずです。
人間はもともと強気な面・弱気な面、独立的な面・依存的な面、守りたい面・守られたい面、大雑把な面・繊細な面など、相反する面を共にもつ多面的な存在です。
ところがその一方しか生きられず、他方けっして人前でみせてはならないと、自分自身意識しないように躾けられているのです。

逆にいえば、どんなに意気がっている男性でも、心の底には抑圧された甘えや弱さが渦巻いているのです。
そこのところをさりげなく刺激し、優しく汲み取ってくれる女性に対しては、どんな男性も弱いのです。
他の人の前ではけっしてみせることのない面を思わずみせてしまいます。
そうした心の深層から無意識のうちに漏れでるものの触れ合いは、強力な心の接着剤となります。

そんなわけで、いつの世にも男性は優しい女性を求めるのです。
人に甘えてはならない存在であるはずの男性が、なぜ甘えを受け入れてくれる優しい女性を求めるのか、不思議に思う人がいるかもしれません。

でも、堂々と甘えを出せない存在だからこそ、さりげなく甘えを吸収してくれる真に優しい女性を求めるのです。

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魅力的な女性の心理

女性の優しさと可愛さ

女性の優しさを「母性」と「共感性」に、可愛さを「無邪気さ」と「自己中心性」に分けてみました。

母性的な女性

相手のため、という姿勢が基本となります。
相手の好きなものは自分も好きになります。
好きな人の身のまわりの世話をするのが好きで、情が深く、献身的といったタイプです。

そろそろ身を固めようかという男性にとって、とても魅力的なタイプかもしれません。
あたたかく包んでくれ、一緒にいるとホッとする。
家庭でも職場でも、こういう女性がいると雰囲気が和みます。

子どもがいざというときに母親を頼るように、男性も弱気になったときなど、こんなタイプの女性に甘えたくなるものです。
でも、悲しいかな、異性としての魅力という面では、これで充分、ということにはならないのです。
積極的に男性をひきつける要素に欠け、いざというときの神頼みみたいなもので、ふだんはあまり存在感がありません。

なかには、母性的要素が異常に強い女性がいます。
めんどうみのよい優しさの陰に、母性の恐ろしいもうひとつの顔がみえかくれします。
「全てあなたのため」の背後には、独占欲、嫉妬深さ、あくことのない一体化願望があります。

苦労を背負いこむことの多いのもこうした女性ですが、だらしない男性のために苦労することで本人の気持ちは充実し、男性の側はますますダメ男になっていくのです。
飲み込まれそうな恐怖を感じた男性が逃げることもしばしばです。

共感的な女性

相手の気持ちに対するこまやかな心配り、あたたかい思いやり、包容力があり、慎み深く、誠実なタイプです。

このタイプの女性は、信頼関係に基づいた、あたたかい関係を築くことができます。
さらっとした態度のなかに優しさがほのみえる、といった感じです。

母性はともすると傍目かまわずということになりがちですが、母性をややひかえた優しさは、自意識による照れのせいか、さりげない優しさにこだわります。
あなたのためにこんなに尽くしているのに、などということは口が裂けても言えません。
そのため、鈍感な男性からは理解されないこともあります。

無邪気な女性

いつも明るい笑顔をみせ、世の中の苦労を何も知らないかのようなカゲリのなさ、色気とは無縁の処女性を感じさせるタイプです。

子犬や子猫が無邪気に戯れるのをみて思わず目を細め、顔をほころばすような母性は男性にもあります。
そこを刺激するのがこのタイプの女性です。

こんなタイプの女性と一緒だと、嫌なことなど忘れてしまいます。
むずかしい顔をして悩んでいる自分がちっぽけにみえ、ばからしくなります。

なかには寂しさを基調とするタイプもありますが、いずれにしても純粋培養の無邪気さ、頼りなさが、思いきり男性のなかの母性をくすぐるのです。

しかし、このタイプの女性の純粋さは、子どものもつ無意識の残酷さにもつながります。
深入りしようとした男性に、あと一歩というところで思わぬどんでん返しをくらわせることがあるのもこのタイプです。

自己中心的な女性

心を鎧でしっかりと防備した自己完結的なタイプです。

ナルシスティック、自己顕示欲旺盛、エゴイスティック、ヒステリック、何と言われようとビクともしません。
これだけ恐ろしいことばで形容される女性が、どういうわけかモテたりするのが男と女の現実です。

このタイプの女性は、男性からみるとわけがわかりません。
それもそのはずで、本人にさえ、訳は分からないのです。
概してこのタイプには感覚的な女性が多く、そもそも感覚というのは理屈に合わないのです。

心の振り子が揺れるにまかせて動くのですから、気まぐれ以外のなにものでもありません。

その訳の分からないところが、男性の征服欲を刺激します。
征服欲にとりつかれた男性は、振り回されて、なんて女だ、と思いつつ、いよいよひきつけられていき、そんな男性をフットワーク軽くかわしていきます。

このタイプの女性にとって、問題はつかまったときです。
このタイプの魅力は、まさにつかまえようとしてもつかまらないところにあるのですから。
でも、いくらタフな心の持ち主でも、心の中に風が吹き、フットワークが乱れ、つかまってしまうことがあります。
そのとき、それまでの輝きは急速に色あせてしまうのです。