対人恐怖症、社交不安障害の森田療法

森田療法とは今から約100年程昔に、医学博士の森田正馬によって作られたもので、主に神経質を治す療法だが、現代ではそれは、対人恐怖症や強迫性障害、様々な不安障害やうつ病といった様々なメンタル的な疾患の治療に用いられています。

神経質な人は、内向的で思慮深い人が多く、一点のものごとに捉われやすいといった傾向があります。

対人恐怖症、社交不安障害の人は神経質な傾向が強いといえます。

例えば赤面恐怖の人のメカニズムを森田療法として説明すると、

まず問題なのが人前で顔が赤くなってしまうのは自分だけで、それはあってはならないと解釈してしまうことです。

そうすると他人からおかしい奴だと思われて嫌われてしまうのではないかと物事を悪い方向えと捉え先読みしてしまう、こいった性質の人をヒポコンドリー性基調といいます。

次に、実際に人前に出て顔が赤くなってしまうと、これではいけない!と顔を赤くしないようにしようと自分の顔の色ををコントロールしようとします。

しかしそんなものは自分自身でコントロール出来るはずが無いので、顔の赤面は治りません。そうすると焦りだして、もっとがんばって顔色をコントロールしようとして更に、自分にプレッシャーをかけます。

しかし、そうなるとますます緊張は増して顔色はどんどん赤くなっていきます。そるともっと焦って・・・

といった負のループに陥ってしまいます。

これを精神相互作用といいます。

基本的に、神経症の人は、矛盾した思考をしているということです。

ヘビを真近に見ると誰でも気持ち悪いと思いますが、神経症の人はそのへびと仲良くしなくちゃいけないと思っているのと同じ思考をもっているのです。

●森田療法としてのあがり症・社交不安障害の治療法

対人恐怖症、社交不安障害を治すには恐怖突入することです。

人前で顔が赤くなる恐怖に突入することです。

治療法のイメージとしては、ヘビは気持ち悪いもので、それは仲良くしたくないものであってヘビはヘビでどうあっても気持ち悪いものと認識することです。

人前で赤面してしまうことは、それはいけないことでもなく、誰しもに起こるごく普通のことだと認識することです。

つまり、人前で赤面することを受け入れることです。

それは、やなぎのつたが風に吹かれて揺れているように、

あるがままの自分で生きることということです。

●森田療法の入院治療

森田療法には入院して治療するといった方法も存在するので紹介します。

森田療法の入院治療はいくつかの段階を踏んで行っていきます。

①第一段階は食事やトイレ以外の行動は行わず、ひたすらベッドに横になります。人との接触も必要最低限に留めます。

それを何日か続けると人は次第に行動したい、人と関わりたいという意欲が出てきます。

②第二段階は、ごく簡単な軽作業を行います。花壇に花を植えたりなどです。
それをまた何日か続けます。

するともっと行動したいという意欲が出てきます。

③第三段階は、重い作業を行っていきます。重い荷物を運んだり、人と会話したりといったことも行います。

④それらの重労働に慣れてきたら、第四段階は、社会で生活できるようトレーニングを重ねて生きます。実際の社会生活にすこしずつ心身を適応させていきます。

⑤終了です。

 

入院治療を行わずとも、多くの人が森田療法を実践して対人恐怖症、社交不安障害を治したという実績があります。

 

実は、森田療法の考え方は私の信頼できる医師の心理療法で話してくれた内容と同じことを言っています。

あるがままを受け入れる。

これは対人恐怖症、社交不安障害を克服する上での不動のポイントになります。