ありがとうの効果

ありがとう瞑想の効果

家族、職場で疲れている人が、自分の心をケアする、素敵な方法を紹介しよう。

「ありがとう瞑想」という方法だ。

手順はシンプル。

言い争いになった、腹が立ったなど、何か感情が大きく揺さぶられる出来事や場面に会った時に、まずは可能な限り、その場、その対象から少し離れる。

対象から離れたら、深呼吸を大きく2,3回行う。

次に、普通の呼吸に戻すが、その呼吸に意識を向けてみるように努力する。

すると、多くの場合、今あったホットな出来事が頭をめぐってくる。

めぐってきた時に、「ありがとう」とつぶやくのだ。

何が「ありがとう」なのか。

その出来事が頭をめぐるのは、「感情」が機能しているからだ。

感情が、原始人的感覚であなたを守るために、危険をお知らせしてくれている。

そのことに対しての「ありがとう」である。

これに対して、「イライラなんて感じたくない、消えてしまえ」と思っていると、原始人的感情は、「せっかく危険を伝えようとしているのに、伝わらない。

もっと強く主張しなければ・・・」と逆に、そのことを思い出させようとしてしまうのだ。

だから「(危険を教えてくれて)ありがとう」と、まずはつぶやき、自分がイライラしていることを認めよう。

そして次に「でも、今は、私は呼吸に戻るよ」と心の中でつぶやく。

感情は認め、行動を選択する。

ここでの「行動」とは、意識を主体的に呼吸に戻すこと。

呼吸に意識を向けると、いずれ、また感情がめぐってくる。

そのたびに「ありがとうね。でも今は、私は呼吸に戻るよ」と、呼吸に意識を戻す。

この繰り返しが「ありがとう瞑想」。

不思議なことにしばらくこれを繰り返すと、意外に早い時間で、落ち着くことができる。

呼吸への意識の向け方は、自分に合った方法でいい。

鼻から入ってくる空気を意識する人もいるし、お腹のふくらみを観察する人もいる。

呼吸を「数える」という手もある。

この方法を話すと、「腹が立っている人に対して、ありがとうなんて、とても言えない」という人もいる。

けれども、この「ありがとう」は、相手にいうものではない。

過剰発動しているけれども、あなたを全力で守ろうとしている「感情」に対して言うものである。

また子どもの心の縛りが強く、「自分に対して、ありがとうを言うなんておかしい。甘やかしているみたいだ」と言う人もいる。

そんな人には、次のようにアドバイスする。

「私たちは、朝が来たら目が覚めるし、何も言わなくても心臓は動いている。

これがなかったら死んでしまうという、ありがたい”全自動機能”がある。

感情も、そんな自動機能の一つなんです。

過剰発動ではあるものの、自分を守ってくれる”ありがたい”もの。

その点にありがたいということを表現する、と考えてみてください」と。

また、「相手のいいところを探す、思い出そうとする」など、もっとポジティブに考えたほうがいいのではないかという意見もあるだろう。

しかし、冷静な時ならまだしも、今は怒っている。

怒りは、相手を攻撃するための感情。

悪いところはどれだけでも探せても、良いところなど見えなくなっている状態だ。

その状態で、「良いところを見よう」などと無理なことをしようとすると、余計にエネルギーを消耗してしまうし、やろうとしてもできない、ダメな自分を感じてしまう。

すると、また、感情的になるという悪循環だ。

これに対して、「ありがとう瞑想」は、まず「ありがとう」を言うことで、感情の存在を否定しない。

かといって、呼吸に集中するので怒りの思考にも流れすぎない。

「怒りたい」と「怒りたくない」の二つの感情に対し、上手に7~3バランスに入っている対処だ。

矛盾が少ないため、これが一番余計なエネルギーを消耗しないのだ。

最初は多少手間取っても、練習をすればだんだんできるようになる。

できるようになると、さらに自信もアップしてくる。

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性善説で生きると楽になる

ありがとう瞑想は、納得してやってみると効果を感じてくれるが、「ありがとう」ということにかなりの抵抗を持つ人がいる。

他人や自分を甘やかしたくない。

妥協したくない、という思いが強いのだろう。

しかし、一般的に「ありがとう」と言いなさい、を否定する人はどこにもいない。

ところで、具体的に最近あなたは、どれだけ「ありがとう」と口にしたことがあるだろうか。

しかも、自分に対して「ありがとう」と言ったことがあっただろうか。

「ありがとう瞑想」だけでなく、生活の中でも「ありがとう」をなるべく多く使うこと。

人間関係の疲れをとりたいと思ったら、非常に効率的な方法である。

コンビニで買い物をしたら、必ず店員に「ありがとう」を言うことを習慣にした人がいる。

「店員の感じもパッと変わるし、自分も気分がいいんです。

自分の気分がいいと、顔つきもかわってくるみたいなんです」と、笑顔で話してくれた。

人がパッと変わる、それこそ魔法の力だ。

柔らかい表情の人の周りは、空気も柔らかくなる。

結果、本人も生きやすくなるマジックだ。

人間不信になってしまったクライアントの中には「ありがとうなんて言って気安いところを見せていたら、悪い人に付け込まれる」と言う人もいる。

けれども、他人への警戒は、その分エネルギーを使う。

性悪説は、初期設定で疲れてしまう構造になっているのだ。

一方、「性善説」は警戒しなくてすむ分、”省エネ型”である。

性善説の初期設定で、さらに「ありがとう」をたくさん使えば、警戒レベルがもっと下がる。

そうなればかなり省エネで生活できる、つまり楽に生きられるようになる。

「ありがとうの魔法」には、そんな効き目があるのだ。