”八方ふさがりを突破する発想の転回”
自分の人生は行き詰った、どうにもできない、どうしていいのかわからないという人は、もう一度真剣に、自分のために本当に心から涙を流してくれるのは誰かと言うことを考えてみる必要がある。
あなたは、Aという人間が、自分のために涙を流してくれると思うかもしれない。
しかし、もしあなたが、自分の人生は八方ふさがりになったと感じているとすれば、おそらくAという人は涙を流してくれないだろう。
むしろあなたが避けてきた人間、苦手にしてきた人間が、実はあなたのために、ひそかに涙を流してくれる人なのではなかろうか。
もう自分の人生は八方ふさがりだと感じた時には、太陽が西から昇ってもこれだけは間違いないと自分が信じていること、そのことが間違っている可能性が大いにあるのである。
そして、あなたを行き詰まらせたのは、まさにその確信なのである。
自分にとって疑い得ないことを疑うと、それが八方ふさがりの人生を切り拓く道なのである。
今自分が、これだけは死んでも間違いないと思っていることを紙に書いてみることである。
「あの人は自分を愛している」でもいいし「あの人は自分を不幸にした」でもいい。
「あいつはわたしを誤解している」でもいい。
「自分は思いやりがある」でもいい。
そして、これこそは地球がなくなっても間違いないと思っていることを書いたら、それを全部逆に考えてみることである。
あの人は私を誤解しているのではなく、あの人の解釈が正しいのだ、むしろ自分が間違っているのだと、逆に考えてみるのである。
八方ふさがりで自殺しか残されていないように感じている人は、このようなコペルニクス的転回がひつようなのである。
「動いているのは太陽ではなくて、地球だ」
この発想の転回こそが、八方ふさがりの人生を変える。
そうしたら、なんでこんなことに悩んでいたのかと、おかしくなるような日がやってくるだろう。
あなたは、あなたにとって一番遠い人を一番近いと錯覚し、その確信のうえに自分の人生を築いている。
一番の基礎が間違っているのであるから、そのあとをどんなに一生懸命、まじめに努力して生きても、生き詰まってくるのは当然である。
こんなにまじめに生きているのに、生きるというのはどうしてこんなに辛いのだろうと思う人は、その土台が逆さまになっている可能性がある。
出発点から逆の方向に走りだし、努力しているのである。
自分に逆の方向を教えてくれた人もいる。
しかし、途中で何人かの人があなたに「そっちじゃないですよ、あなたの探しているものは逆の方向ですよ」と教えてくれたはずである。
しかしあなたは、あなたに正しいことを教えてくれた人を、間違っていると信じてきたのである。
そして、ついに崖っぷちまできてしまった。
一歩踏み出せば、崖からの転落しかない。
そこで眼をつぶっているのが狂信であり、崖から転落するのが自殺であろう。
しかし、後ろにむきをかえれば、安全な野原が広がっているのだ。
後ろ向け、後ろ!
八方ふさがりで悩んでいる人にはこれしかない。
つまり、その人が後ろと思っている方向が実は前なのである。
対人恐怖症、社交不安障害を克服するには「後ろ向け、後ろ!」
である。