役割行動に徹すると、大勢の人を相手にしても割合平気でいられます。
あるカウンセラーは仕事柄、数百人の聴衆の前でもほとんど平気で話すことができます。
ところが、たった一人の女性と向き合うと対応に戸惑ってしまいます。
もっとも、一対一でも、カウンセリングの場では平気です。
平気でいられるのは、講師やカウンセラーという役割で接する場合です。
かつて、人間関係がとても苦痛ということで、悩んでいた学生がいました。
ある時、ウェイトレスのバイトが決まって、できるかどうかとても不安がっていました。
ところが、実際にやってみたら接客は意外に楽にできて、むしろ、お客さんが途切れているときにバイト仲間と話をする時の方がプレッシャーを感じるということでした。
バイトとはいえ、ウェイトレスとしての役割で行動するときは、心理的に楽だったのです。
なかには、上司や年長者、地位のある人に会うのがひどくプレッシャーだ、という人がいます。
こうした人の前では萎縮して戸惑ってしまい、自分が無力であるように感じてしまいます。
なかには、なぜか素直になれないで、つい盾ついてしまう人もいます。
こうした場合、精神分析でいう転移が起きている可能性があります。
成長する過程で身につけた親に対する気持ちを、上司に対して向けてしまっているのです。
これを脱するためには、上司と部下という役割関係に徹しようと、意識的に努力することです。
上司と部下とは、仕事の指示を受けたり、仕事でのアドバイスをもらったり、仕事に関することで許可を受けたり、仕事で責任を分かち合う、そうした仕事上での関係です。
上司に養ってもらっているわけではなく、上司の感情に責任を持つ必要もないのです。
社会的にはなばなしく活躍する人が、「若い頃は内気で、人前に出るのがとても苦手でした。
それでも、人前に出なければならない役割が与えられて、それを果たしてくる中で、そうした傾向が克服できました」と語ることは、少なくありません。
役割に徹すると楽な気持ちで行動できます。
行動できると、自信がつきます。
自信がつくことで、楽にいられる場面が広がっていきます。
●まとめ
「役割行動に徹する」と心がけよう。
「役割行動に徹する」と、何度も頭の中で繰り返そう。