ひとりぼっちが辛いとは見栄を張って人と接しているということです。
ひとりぼっちでいることに引け目を感じています。
友人たち大勢といる、パートナーと一緒にいるとそれはそれでそのコミュニティの中で居場所がありません。
しかし、ひとりぼっちでいると格好がつきません。
そういう見栄を張るのです。
ひとりぼっちが辛い人はどこにも居場所がないのです。
そのひとりぼっちが辛い人の心理とどうしたらひとりぼっちが辛くなくなるかについて述べてみたいと思います。
ひとりぼっちが辛いとは
ひとりぼっちが辛いのは自分を守るための感情
私たち人間にはいろいろな感情が備わっていますが、それぞれの感情には自分を守るための役割があります。
これは、身体に備わった感覚を考えてみるとわかりやすいと思います。
何か熱いものに触ったとき、「熱い!」と思うから手を引っ込め、やけどを防ぐことができます。
そんなふうに、「この状況は自分の身体にとってどういう意味を持つものか」を知らせてくれるのが身体の感覚です。
一方、感情は、「この状況は自分の心、あるいは自分という存在にとってどういう意味を持つものか」を知らせてくれます。
例えば、不安は、「安全が確保されていない」ということを知らせてくれる感情です。
不安を感じるから、安全が確保されていないことに気づき、より慎重に行動することができるのです。
もしも危険な状況でも不安を感じなかったら、と考えれば、不安が果たしてくれる役割がわかりますね。
では、「ひとりぼっちが辛い」という感情は、何を教えてくれるのでしょうか。
「ひとりぼっちがつらい」という感情は「物理的に一人でいる状態」と関連していると、多くの人が思っています。
ひとりぼっちでいると寂しい、寂しい時はとにかく人恋しくなる、ということは確かにありますね。
しかし、よくよく考えてみると、それだけではないのです。
例えば、人と一緒にいても、心が通じ合っていないと思う時。
グループの中にいても、自分だけがなじんでいない、浮いていると思うとき。
あるいは、「目に見える『つながり』」を作りたくて、「いい人」を演じてしまうとき。
そんなときには、「ひとりぼっち」の状況ではないけれども、「ひとりぼっち」を感じますね。
つまり、「作られた自分」ではなく、「ありのままの自分」が「つながっている」という感覚を持てないと、人と一緒にいても「ひとりぼっち」を感じてしまうのです。
一方、満たされていると感じるときは、ありのままの自分を受け入れてもらえるときです。
例えば、ありのままの自分の気持ちに共感してもらえると、とても心が温かくなって、そこに物理的な距離があったとしても、孤独などとけてしまいますね。
「気が合う」と感じる相手とは、ありのままの自分で波長が合うものです。
他人の目を意識してしまう
ここに、一つのポイントがあります。
多くの場合、「ひとりがつらい」という感情は、「ひとりでいる状態」に伴うものではなく、「ありのままの自分」が「つながっている」という感覚を持てていないことを示すものなのです。
ですから、物理的には「ひとりぼっち」であっても、「ありのままの自分」が何かと「つながっている」という感覚を持てるのであれば、「ひとりぼっちが辛い」と感じないで済むということになります。
「ひとりぼっちが辛い」と感じる多くの場合には、私たちの中にある「他人の目」が関係しています。
ポイントは「ありのままの自分」と「つながり」です。
また、「他人の目」が関係していなくても「ひとりがぼっちが辛い」と感じてしまうシーンもあります。
例えば、「このままひとりぼっちで老いていくのか」と、将来をぼんやりと思い描いた時、職場で孤独を感じたとき。
信頼していた人に裏切られたとき。
愛する人と、突然の別れが訪れたとき。
こういった場面の心理を紐解いていくと、「他人の目」が関係していないようでいて、関係していたり、解決方法が似通っていたりするのです。
やはり大切なことは「ありのままの自分」と「つながり」です。
人生の様々な場面で私たちは「ひとりぼっちがつらい」という不安を抱きますが、多くの場合、「ありのままの自分」と「つながる」ことで軽減されていきます。
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ひとりぼっちが辛いことの解放のカギは質のよい人間関係
よい人間関係を築く基盤
人間は社会的な生き物で、人は、人との関わりの中で生きています。
ですから、「ひとりぼっちでいられる」ことは最終目標にはなりません。
対人関係は病気のきっかけを作ると同時に、病気を治す力にもなります。
全般に、支えてくれる人がいるかいないかというのは大きな違いを作ります。
心を開いてつながることのできる良い人間関係を持っている人はストレスに強いですし、もともと孤独感の強い人はストレスに耐えることがそれだけ難しくなります。
そしてそれを反映して、質のよい人間関係を持っている人は心の病になりにくく、自分を支えてくれる人が乏しい人は病気になりやすい、という傾向があることが知られています。
質のよい人間関係とは、それほど重要なものなのです。
「ひとり」でいられることは、よい人間関係を作る基盤となります。
なぜかと言うと、「ひとりぼっちになりたくないから」という動機がなくなるからです。
多くの人が、「ひとりぼっちでいるよりはまし」と、あまり好ましくない人間関係を持ちがちですが、「ひとりぼっち」でいることに自信がつけば、「この人と一緒に行動するのと、ひとりで行動するのと、どちらが自分の心にプラスだろうか?」という選択をすることができるようになります。
つまり、親しくする相手は、自分の人生を豊かにしてくれる人、という基準で選んでいくことができるようになるのです。
また、関わってみたら自分の人生にダメージを与える人だということが発覚した、ということであれば、距離を置くことも容易にできるようになるでしょう。
「ひとり」になることが怖くないからです。
「失うものはない」という覚悟ができた人間は強いと言われますが、「ひとり」でいられる人はそれに近いかもしれません。
質の悪い人間関係に妥協せず、「それならひとりでいたほうがずっとまし」と考えることができるからです。
おそらく、そうやって選ばれた「人生を豊かにしてくれる人」は、やはり「ひとり」への耐性の高い人になるでしょう。
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人へ依存しない関係
ただベタベタと依存して群れるのではなく、きちんと相手のことを尊重して、必要があれば共に行動してくれる人があるはずです。
考えてみれば、「ひとりぼっちでいるのは嫌だから」という理由で人が自分を求めるよりも、「あなたと一緒にいたいから」という理由で求めてもらったほうが、遥かに自分が尊重されている感じがしますね。
「ひとりぼっち」への耐性の低い人の周りにはやはり同様の人が集まりがちですが、「ひとり」への耐性の高い人生を送っていると、自ずと、同じように「ひとり」で行動できる人が身の回りに集まってくるものなのです。
それは、人間関係の質の向上そのものにつながります。
現在は、地域のつながりが薄れ、家族という形も少しずつ変わり、若者から高齢者まで、孤独を感じている人が多いと言われています。
そんな「個」の時代だからこそ、「ひとりでいるのも楽しい、一緒にいるのも楽しい」という、自立に基づいた共生の姿勢が、これからますます必要になるのだと思います。
つまり、「結婚しているかどうか」「一人暮らしかどうか」などという「目に見える『つながり』」レベルの話にとらわれるのではなく、「つながっている感覚」を持つ能力を磨いていくことこそが、多様な生き方をする人がますまず増えるこの時代に必要とされるのではないでしょうか。
自分の外的な形によって「私は独身だから〇〇ができない」「私には家族がいないから孤独」などと自分の生き方や感じ方を縛るのではなく、それぞれが自分の人生を充実させつつ、人と共に行動したほうがよいときにはそうしていく、助け合うことが必要なときは助け合って、という生き方が、時代に最もフィットするように思うのです。
その前提として、「ひとりぼっち」でいることは、ネガティブなものではありません。
自分自身がその認識を持って生きていくことは、きっと周りの「ひとりぼっちが辛い」人にも好ましい影響を与えるでしょうし、「ひとり」でない人たちにも、多くを教えることになるのではないかと思います。
まとめ
ひとりぼっちが辛いとは見栄を張っているということです。
つまり、人と接する時、いい人を演じてしまう。
他人の目を気にせず、ありのままの自分で人と接すればひとりでも楽になる。
そうやって質の良い人間関係をつくることで人に依存しなくなる。