オウム返し法とは
オウム返し法とは相手の言葉を伝え返すことで、相手から好感を持ってもらう会話法です。
相手が「昨日は新宿へ買い物に行きました」と発言したら、「新宿に行かれたのですね」と同じ言葉を繰り返すのがオウム返し法の基本となります。
オウム返し法は非常に単純なコミュニケーションスキルと思われがちですが、とても重要なコミュニケーションスキルです。
まずオウム返し法が有効である理由について説明します。
会話において、「相手の話をしっかりと聴く姿勢を持つ」ということは、誰でも理解できると思います。
例えば、あなたの話をしっかりと聴いてくれる人と、聴いてくれない人がいたとします。
一人はあなたの話を理解しようと一生懸命になって話を聴いてくれます。
片や、もう一人はあなたの話を聴かず自分の話ばかりします。
あなたがどちらの方に好感を持つかは言うまでもないでしょう。
その意味で相手の話をしっかりと聴くことは相手を認めているという証であり、相手のことを尊重する上で欠かすことができません。
オウム返し法は、「相手の話をしっかりと聴いている」ことを示す上で、とても効果的なのです。
なぜなら、物理的な問題として、人間は相手の話をしっかりと聴いていなければ、相手の話を繰り返しようがないからです。
相手の言葉を聴くことでしか、相手の言葉を繰り返すことができないのです。
すなわち、相手の言葉を繰り返すということは、「あなたの話をしっかりと聴いていますよ」という重要なサインとなるのです。
これは家族、仕事、恋愛、友人関係のどれでも使える技術ですので、しっかりと体に染み込ませてください。
それでは実際に、オウム返し法のやり方について解説します。
オウム返し法は主に四つあります。
四つのオウム返し法
1.基本のオウム返し
まずは基本のオウム返しですが、これは単純に相手の言葉をそのまま繰り返します。
例えば、相手が「先週は社員旅行に行ってきたのです」と言ったら、「へえ~。先週、社員旅行に行かれたのですね!」とそのまま返しましょう。
簡単ですね。
これだけで、話をきちっと聴いていることを相手に示すことができます。
この場合「先週」を抜かして、「社員旅行だったのですね!」
と、ある程度省略することもできます。
相手の発言の中で、特に主要な単語を抜き出して繰り返すと効果的です。
基本のオウム返しの練習法は極めて単純です。
例えば、「昨日は新宿へ買い物に行きました」の場合は、「新宿へ行かれたのですね~」「買い物に行かれたのですね~」のどちらかで返します。
このように上からどんどん繰り返していきましょう。
実践において、いつの間にか相手の言葉を繰り返していたら、オウム返し法が身に付いた証拠です。
無意識に出てくるまで繰り返し練習しましょう。
2.肯定のオウム返し
肯定のオウム返しとは、相手の言葉を繰り返すだけではなく、それに肯定的な言葉をプラスして返してあげる方法です。
例えば、会話の相手が「先週は社員旅行に行きました」と言ったら、「へえ~社員旅行に行かれたのですね!」
「うらやましいなあ」
と肯定的な言葉をプラスして返します。
もう一つ例を挙げましょう。
「私は営業のお仕事をしています」
と相手が発言したら、「〇〇さん、営業をされていらっしゃるのですね」
「営業職はコミュニケーション力が鍛えられるから良いですよね」
と返してあげると良いでしょう。
肯定的な言葉の返し方は人それぞれですので、これが正解だというものはありません。
ただし、お世辞では意味がありませんので、心から良いと思える部分を伝えてあげましょう。
また、肯定のオウム返しを心からできるようになるには、「肯定力」が必要不可欠になります。
「営業」という単語を聴いたときに、瞬時にその仕事の肯定的な要素を思い浮かべなくてはなりません。
これは一朝一夕にできることではありませんので、とにかく、さまざまな事象の中で肯定的な面を発見できるように意識しましょう。
肯定のオウム返しは、私がお伝えする中でも三本の指にはいるぐらい重要なコミュニケーションスキルです。
ぜひとも多用してください。
肯定のオウム返しの良いところは、「相手のことを尊重しよう。相手のいいところを発見しよう」と心掛けながらコミュニケーションに臨むことができるところです。
そういった姿勢は相手からすれば非常に好感が持てます。
それでは肯定のオウム返しの練習をしてみましょう。
まずは基本のオウム返しで相手の発言を繰り返しましょう。
そして、基本のオウム返しをしてさらに、肯定的な言葉をプラスしていきます。
「昨日は新宿へ買い物に行きました」と相手が発言したら、「へえ~。買い物に行かれたのですね」
とまずは基本のオウム返しを使います。
そしてさらに「新宿は買い物がしやすいですよね」とプラスしていきましょう。
肯定のオウム返しの力がつけば、人間関係を築くためのコミュニケーションスキルはかなり向上します。
ぜひともマスターしていただきたいものです。
3.要約のオウム返し
要約のオウム返しとは、相手の言葉が長い場合に、ある程度まとめて伝え返す方法です。
「先週は伊豆に社員旅行に行きました。バスを借り切って、わいわい騒いでストレス解消になりましたよ~」と言ったとします。
これに対しては、「社員旅行かあ、ストレス解消になったのですね」と、ある程度まとめて返します。
実際に要約のオウム返しの練習をする上で、効果的な方法はメールを打つことです。
もし、友人や恋人に「お正月はどんなことをして過ごしましたか?」とか「仕事は順調ですか?」とメールをすると、相手から返信がくるでしょう。
このとき、そのメールにボリュームがある場合は必ず相手のメールを繰り返すように返信します。
できれば肯定のオウム返しも加えて返してあげましょう。
理想を言えば、全ての発言を繰り返してあげたいぐらいなのですが、現実的にそれが難しい場合は、ある程度要約して返すようにしましょう。
4.ワンポイントプラスオウム返し
最後にワンポイントプラスオウム返しについてです。
ワンポイントプラスオウム返し法とは、相手の言葉を繰り返すと共に、何か情報を加えて返す方法です。
例えば相手が「昨日は社員旅行に行きました。伊豆に行ったのですよ」と言ったら、「社員旅行に行かれたのですね!伊豆といえば温泉ですよね」と言ったら、「社員旅行に行きました。伊豆といえば温泉ですよね」「社員旅行に行かれたのですね!社員旅行といえば、宴会ですよね」と情報をプラスして会話を膨らませていきます。
できればプラスする情報は相手の感情が出やすく会話が膨らみやすい話題がベストです。
逆に、感情が出にくい情報はNGです。
また、ワンポイントプラスオウム返しをすると、たまに自分の話をしたくなる衝動に駆られてしまうことが起こります。
先ほどの例で言えば、自分も伊豆に旅行へ行ったことがあるとすると、ついつい自分の体験を話したくなると思います。
ただ、会話の流れの中で相手に主導権がある場合は、あくまでも相手が主体です。
相手の話の主導権を奪わないように、一つか多くても二つぐらいの情報をプラスする程度で抑えておきます。
以上が四つのオウム返し法になります。
オウム返し法はコミュニケーションスキルとしては基本中の基本となるものです。
ぜひとも練習してマスターしてください。
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質問返し法で相手に話したい話題を話してもらう
質問返し法とは
質問返し法とは相手に質問されたことをそのまま相手に質問する方法です。
なぜ相手の質問をそのまま返すことが、有効なコミュニケーションスキルなのか解説しましょう。
非常に当たり前のことですが、多くの人にとって会話の話題は以下の二つに分けられます。
話したい話題
話したくない話題
ここで自分と友人が会話をしていると想定しましょう。
あなたは現在、仕事がうまくいっていません。
そのため、どうしても仕事の話題は相手に触れて欲しくないです。
このとき、自分から仕事の話について質問することがあるでしょうか。
それはまずないですよね。
できれば仕事の話から遠ざけるように会話を展開するのが人間の心理というものです。
一方で人間は話したい話題も持っています。
例えば、今あなたは恋人が欲しくて、それを確かに相談したくてたまらないとします。
目の前にいる友人は気軽に恋の相談をすることができる人です。
あなたは恋愛の相談がしたいと思っているので、自然と恋愛寄りの質問を投げかけることになるでしょう。
すなわち、人間は潜在的に「その質問を聞き返されてもなんら問題は無く、むしろ質問を受けたい」と欲している質問を投げかけるのです。
その質問を受けたいと思っている話題について聞き返されて、不快に思う人などまず存在しません。
この原理をしっかりと認識しておくと、実に色々なことが会話の中で見えてくるようになります。
質問返し法の具体例
仮に相手が仕事の質問をしてきたら、この人は仕事の話がしたいのだなとすぐに分かります。
仕事の話題を振れば、自然と自分の仕事について話すことになります。
それなりに仕事で成功していれば、仕事の話をしても差し支えないでしょう。
むしろ胸を張って自分の仕事の話ができるので、進んで仕事の質問を投げかけていきます。
特に男性であればこの傾向は顕著に表れます。
また、会話の相手が「今おいくつですか?」と質問をしてきたとしたら、相手はその話題を欲しているということです。
ただ注意しなければならないのは、年齢等は非常にデリケートで、特に男性が女性に年齢を聞くことはマナー違反です。
ですので、相手から質問を受けない限り自分から聞くことは控えるべきでしょう。
もう一つ例を挙げましょう。
ある女性が彼氏と旅行に行きたいと思っているとします。
こういった場合、自然と女性から、「今度長期休暇は取れるか?」「京都に行ったことはあるか?」
といった質問が飛んでくるでしょう。
もうこれはその話題について話したくてしょうがないサインなので、絶対に質問を返すべきでしょう。
いくつか例を挙げてきましたが、ここからは具体的なケースについて学びます。
質問返しのやり方は非常に簡単です。
例えば二人で会話をしているとして、相手から「〇〇さんは好きなジャンルの音楽はありますか?」と聞かれたとします。
会話においてはある程度相手の質問に答えるのがマナーですので、「私はボサノバが好きです。ボサノバは、ブラジルで生まれた音楽で、黒人と白人の感性が入り混じった音楽なので、とても不思議なメロディーなんですよ・・・」とある程度自分の好きなジャンルの音楽について話します。
このとき相手から質問が続く場合は一通り答えていきましょう。
そして、ある程度会話を進めていくと、自然と相手の質問が途切れる瞬間が訪れます。
そのときに、「〇〇さんは好きなジャンルの音楽はありますか?」
と、そのまま聞かれた質問を返してあげましょう。
相手から受けた質問は会話を2倍に膨らませるチャンスです。
こんなに便利なスキルを使わない理由はありません。
また、質問返し法は会話にボリュームを持たせる意味で欠かすことのできないスキルですのでぜひマスターして下さい。