心の古傷を隠すことはしない

心の古傷は何かのメッセージを伝えている

誰かと話をしていたり、本やブログを読んだりしているとき、なんとなく「これ、自分は好きだなぁ」とか「これは、なんか嫌」と心が動き、反応することって、あると思います。

気にしているつもりはないのに、心がピクッと反応する-。

ここに心の古傷が隠れています。

そして、「心が動くとき、反応するとき」とは、自分の”心の古傷”に触れたときが多いのかもしれません。

この心の古傷のことを、小豆の粒にたとえてみたいと思います。

畳の上に小豆を一粒置き、その上に布団をかけると、そこに小豆があることは、もう見た目ではわかりません。

でも、この布団の上を歩いたときに、「あれ?なんだかこのあたりはおかしいぞ」と足の裏でモゾモゾと感じます。

そして、もう一度目で確認しても、やっぱり見た目には、小豆のあるなしはわからないでしょう。

我々の「心の古傷」とは、この小豆のようなものです。

我々自身も、心の中に「古傷」のあることが、もうわからなくなっている。

でも、何かの拍子に触れると、確かに反応があるのです。

心が動揺した理由を探し見つめる

ですから、自分の心が何かに反応した、動いたときには、その心の古傷から「理由」を探そうと考えてみると面白いのです。

「今、自分は心が揺れ動いたな」「何か嫌だと感じたな」「思わず舌打ちしてしまったな」・・・。

そんなときは、まるで布団の下に隠れた”目に見えない小豆”を探すゲームのような気持ちで、心が揺れ動いた心の古傷からの「理由」を探してください。

すると、心の古傷からの問題を解決することが、とても楽しくなります。

怒りが爆発するのは心の中に火薬があるから

心の古傷が反応してネガティブな感情が心に湧いてきたときには、次の言葉をつぶやいてください。

「自分が勝手に反応したんだな」と。

これは、「あいつが悪いのではない」ということです。

確かに”あいつ”が、あなたの怒りに火を点けたのかもしれません(きっかけ)。

でも、同じことをされても、まったく火が点かない人もいます。

つまり、自分の怒りに火が点いたのは、心の古傷から自分が勝手に反応したからなのです。

心の古傷から自分が勝手に、マッチ棒を持ち歩いていました。

そして、目の前に火があったときに、たまたまそのマッチ棒に火が点いただけなのです。

「なんで、私はこんなマッチ棒を持ち歩いているんだろう」

「『燃やしてやるぞ、燃やしてやるぞ』と血気盛んなマッチ棒を、なぜ自分は持ち歩いているんだろう」

そこに、心の古傷の本当の問題があるのです。

心の古傷が暴走するとき

人がネガティブな感情を抱くときの、最大の「共通点」があります。

それは心の古傷から「損した」と思ったときです。

たとえば、あなたが資産五十兆円を持っていたとして、誰かに千円を奪われたときに怒るでしょうか。

少しは怒るかもしれませんが、余裕です。

毎日やることがなくて、時間を持て余していて、「暇で暇で死ぬかもしれない」というときに、誰かに十分待たされたら怒りますか。

怒らないと思います。

つまり我々が怒りたくなったり悲しくなったりするときには、心の古傷で「自分には、それがない」と思っているのです。

あなたがいろいろな人からほめられて、「すごいね、すばらしいね。君は最高の人間だ」「とっても賢いよね」と毎日ほめられていたら、誰か一人から、「この人、バカじゃないの」と言われても、へっちゃらでしょう。

さして怒ったり傷ついたりはしないと思います。

実は、心の古傷のネガティブな感情は、そんなふうに起きる仕組みになっています。

「私にはお金がない」「私には時間がない」「私には愛情がない」「私には能力がない」「私には魅力がない」

こんなふうに、心の古傷から自分が何かを「十分に持っていない」「少ない」「足りない」と思っているから、「奪われた」もしくは「もらえなかった」と言って心が暴れ出します。

「損した、損した、損した」と心の古傷がさわぎたてるのです。

人は損をしたときに怒りますが、得をしたときには喜びます。

「お金をもらった」と言って喜びます。

「優しくしてもらった」「ほめてもらった」「増やしてもらった」というときに、人は喜びます。

つまり、足りなかったものが増えたことで、自分の中に安心ができます。

優しくされないと怒りが湧いてくる心理

心の古傷から「自分には魅力がない」と思っている人は、他の人から、「そんなことない。あなたは素敵な人だ」と言われても、信用しません。

「そんなことないよ。私はないもん、ないもん」と、心の古傷が言い返します。

自分の心の中に「愛情が少ない」と思っている心の古傷を抱えている人は、人に優しくできません。

「自分は愛が足りない」と心の古傷から思っているから、人に愛をあげてしまうと、自分の中にある分が減るからです。

でも、「愛はあげたほうがいい」という考えはあるので、無理して、頑張って愛をあげる。

すると、「自分の中の愛が減ってしまった!」と思うから、心の古傷が「返して、返して。私にも優しくして、大事にして!」とさわぎたてます。

そして、期待した通りの愛情が返ってこないと、「どうして返してくれないの!?」と心の古傷が怒り始める。

そこでよく考えてほしいのは、自分の中の愛は減るのだろうかということです。

傷つけられた言葉から立ち直れないときは

我々は、「あの人の言葉に傷つけられた」「あんな態度をとられるなんて心外だ」「こんな仕打ちを受けるなんて耐えられない」と、よく傷つきます。

こんなふうに「心が傷ついた」とき、実はあなたの中の”あるもの”が減っています。

それは「自尊心」です。

ひどいことを言われた、バカにされた・・・そんなときは、楽しい気持ちも、うれしい気分も一瞬で吹き飛ばされます。

ガクンと気落ちして、心がザワザワとして、ポジティブな気持ちが減ります。

ポジティブな気持ちが減るということは、最終的に何が減るかというと、自分の「自尊心」が減るということなのです。

「自分を大事に思う気持ち」が目減りしてしまうのです。

でも、それはとてもつらいことなので、「プライド」という壁で必死になって自尊心を守るわけです。

自分が傷つかないようにするために。

でも、ここで冷静に考えてください。

「自尊心は減るのか」「自分の中の優しさは減るのか」「楽しさは減るのか」ということを。

あなたは「減る」と思っているから、「減った」と傷ついているのです。

自分の心が「損した」といって反応しているのです。

こんなふうに思ってしまうとき、我々はそもそも「自分には自尊心が少ない」と思っています。

「減る」以前に、「残量わずか」なのです。

だって、心の古傷を抱えている人は親からもらえなかったから。

もらってないと思ってるから。

損しても大丈夫を心のお守りにする

我々がなんだかいつも抱えている、ぼんやりとした不安、寂しさ、人と付き合うことの怖さ、湧き起こってくる怒りや悲しみ。

それらの感情は、心の古傷から「自分の中には、ない」という思いからスタートしています。

これを解決していくには、「自分の中には、いっぱいある」「実は、いっぱいもらっている」と気づいていくこと。

私には自尊心がある。

その自尊心は減りもしないし、傷つきもしない。

心の古傷の克服として「自分の胸の中には、ピンク色で、プルンプルンで、元気な自尊心がある!」

とイメージしてみてください。

どうでしょう?

プルンプルンの自尊心、イメージができましたか?

ちょっと難しいですか?

そこで、心の古傷の克服として常に心がけてほしいのが、「損してもいい」という言葉です。

これをいつも、自分の”心のお守り”として持っていてほしいのです。

「減ってもいいし、もらえなくてもいい。もらおうとしなくてもいい」

これが、心の古傷の克服として「自信」を育てていく一番手っ取り早い「呪文です。」

「損してもいい」「もらえなくてもいい」「減ってもいい」「奪われてもいい」と心の中で唱えながら、行動してみてください。

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「ここ」に突っ込むと人生が変化する

今まで、心の古傷から「損をするからやめておこう」「減るからやめておこう」と思っていたこと、「傷つくからやめておこう」と思っていたことを、ぜひやってみてください。

たとえば、意中の人を食事に誘う、思い切ってボランティアをしてみる、独立する、職場で何か新しい提案をする、自宅に大勢の人を呼んでパーティをする、みんなの前で歌を披露する・・・なんでもOKです。

これまでの人生の中で、「損をしそうだから、やめておこう」と思って心の古傷を避けてきたこと、目をそらしてきたことは、山ほどあるはずです。

「損しそう」「傷つきそう」「恥ずかしそう」「失敗しそう」「笑われそう」

これらは全部、心の古傷の「自尊心」が危機にさらされるかもしれない、「プライド」を傷つけられる可能性が高い-だから、やめてきたのです。

こういうことに「損してもいい!」と叫びながら、心の古傷の克服のため、どんどん突っ込んでいくということです。

損をしてもいいし、失敗してもいい、笑われてもいい、怒られてもいい。

うまくいかなくてボロボロになってもいい、傷ついてもいい。

そう思って、今まで怖がって避けていたものに突っ込んでいくと、心の古傷が解消し、新しい扉がパカッと開きます。

この体験を、ぜひしてみてほしい。

何度も言います。あなたは損しません。

なぜなら、たとえ損をしても、いくらでも”ある”からです。

そういうことです。

あなたの自尊心、あなたの時間、あなたのお金、あなたの財産は減りません。

この部屋の空気をいっぱい吸って息を止めて出ていっても、この部屋の空気は減りません。

それと同じです。

お金も愛情も時間も減りません。

誰かが独り占めすることもできません。

だから安心してください。

心の古傷から”損”がくせになって、いつも与えてばかりの自己犠牲型の人にとっては、”与えないこと””損しないこと”が一番の”損”だから、やってみてください。

まとめ

イラッとすることは自分の心の古傷に問題があるメッセージ

自分最優先で生きると楽になる。

心が乱れるのは自分の価値観で損したとき。

他人の言葉で心の古傷から傷ついたときは自尊心はすり減ったということ。

そういうときは損してもいいと思う。