「だから好き」から「だけど好き」へ
「うまく説明できないけれど好き」―それが一番
恋人がいるという女性たちに、彼のどんなところが好きなのかと尋ねたところ、
「いつもしっかり下調べして、素敵なところにドライブに連れていってくれるから好き」
「なんといっても、ルックスが抜群だから好き」
「とても博学で、私なんか全然読んだことのない本のことを易しく話してくれるの。知的で、しかも気どらないところが好き」
「優しい人で、ちょっとわがままなところのある私を、まるごとあったかく包んでくれる雰囲気をもっているから好き」
といった答えが返ってきました。
楽しい人だから好き、格好いいから好き、知的だから好き、優しいから好き。
それはそうでしょう。
ここに並べられた形容詞は好ましいものばかりです。
好ましい性質をもつ人に好意を感じるのは当たり前のことです。
でも、それは恋愛としては浅いものではないでしょうか。
もちろん、今後しだいに深まっていく可能性も充分あるわけですが、まだごく初期の段階のように思われます。
恋愛というのは、それほど論理的なものではありません。
好ましい性質の人だから好き、というのはとても合理的な説明ですが、恋愛はもっとわけのわからないものです。
その渦中にある人は、何とも説明のしがたい、しかも抵抗しがたい衝動につき動かされて、とまどいながらもいつのまにかひきつけられてしまうのです。
したがって、なるほどと思わせる合理的な説明がみつからない、だけど好きでたまらない、それが恋愛というものではないでしょうか。
好みのタイプとは正反対の男性を好きになるのは?
「わがままで、ちっとも優しいことばをかけてくれないけど好き」
「約束はすぐに忘れるし、時間にルーズだし、ほんとうにいい加減な奴だけど好き」
「背も高くないし、顔も全然カッコよくないけど好き」
「趣味も合わないし、気のきいたオシャレな店に連れていってくれるわけでもないけど好き」
「今どきクルマも持ってないし、服装も髪型もメチャクチャダサイけど好き」
こんな言いぶんを聞くと、「ああ、恋をしているんだなあ」と思えてきます。
条件が合うから好きなのではなくて、条件が合わないけれども好き、理屈で考えたら合わない条件だらけなのにどうにも気持ちをコントロールできない。
そんなとき、きっとその人は恋をしているのでしょう。
好みのタイプなどというものも、実際に恋にめぐりあった人にとっては、ほとんど意味をもちません。
恋愛談義になると、「細身で知的なタイプの人が好み」と常々主張していた女性も、たまたま出会った胸ときめいた相手ががっしりしたスポーツマン・タイプだったりすると、友達の「あなたはどんなタイプが好み?」との問いかけに、
「がっしりしたスポーツマン・タイプがさっぱりしてていいかな」などと答えるようになるのです。
あるいは、「今付き合っている人は、本来私の好みのタイプじゃないんだけど・・・」
と言い訳をしながら、本来好きなタイプとは異なるタイプの人にのめりこんでいくのです。
こうなると、実際に好きになるタイプを予言できない”好みのタイプ”とはいったい何なのか、よくわからなくなります。
好感をもたれる好意の伝え方
男性も本音では女性からのアプローチを待っている?
女子大生を対象に、好意の伝達に関する調査結果があります。
その結果の一部をご紹介します。
特定の異性が自分に好意をもっているかどうかをどんな点に着目して判断するかについては、つぎのような回答が目立ちます。
- よく話しかけてくる(67%)
- 親切にしてくれる(57%)
- 気を遣ってくれる(57%)
- 親身になってくれる(55%)
- 好意をもっているという気持ちを率直に話してくれる(52%)
- よく話を聞いてくれる(50%)
- よく誘ってくれる(43%)
- よく電話をかけてくる(40%)
- プライベートなことを聞きたがる、聞いてくる(36%)
- ほほえみかけてくる(36%)
反対に、すきな異性に好意を伝えたいときどうするかという問いに対する回答で、パーセンテージが高いのはつぎのような項目でした。
- 親切にしてあげる(74%)
- よく話しかける(52%)
- ほほえみかけるなど表情で示す(50%)
- みつめる(48%)
- よく話を聞いてあげる(48%)
- 親身になってあげる(45%)
- 嫌悪感を与えないようにする(45%)
- 好意をもっているという気持ちを話す(31%)
- 甘える(29%)
- うつむく(29%)
- 近くにすわるようにする(29%)
女性の場合はやはり受け身のところがあるようで、よく誘うことで好意を伝える者は14パーセントで、相手の自分に対する好意をよく誘ってくれるかどうかで判断するという者の比率43パーセントと比べてきわめて低い数字でした。
二種類の質問に対する回答を比較して気が付くことは、相手の好意ははっきりと言葉や行動で表現してもらわないと確信がもてないくせに、自分から好意を伝えようというときには、はっきりと表現せずに、ちょっとしたしぐさを読み取ってもらおうとする傾向がみられることです。
たとえば、好意をもっているという気持ちを率直に話してくれればわかるという者が52パーセントもいるのに、率直に話すという者は31パーセントしかいません。
ほほえみかけてきたり(36パーセント)、みつめてきたり(14パーセント)することで相手の好意がわかるという者は少ないのに、自分から好意を伝える手段としてはそれぞれ50パーセント前後あり、3位と4位を占めているのです。
相手からははっきり言ってもらわないと確信がもてないけれども、自分からははっきり言わなくてもさりげないことばやしぐさから察してほしい。
これは甘えた態度ということもできますが、本音のところは、誰でもそんなものではないでしょうか。
単なる親切を特別な好意と取り違えたらみっともないし、もしはっきり好意を表現したのに拒絶されたらもう立ち直れない。
そんな心理があって当然です。
誰でも心の底には不安があるものです。
でも、誰でも不安だからこそ、ほんとうに好きな人に対しては、はっきりと伝えたいものです。
相手の男性だって不安なのです。
おめでたい勘違いでピエロになるのはみっともない、はっきりと好意をもたれているとの確信がもてれば積極的な行動に出られるのに、という思いもあるはずです。
相手に100パーセント好意が伝わる誘い方
また、よく話を聞いてくれることで好意をもたれていることがわかるという回答も、よく話を聞いてあげることで好意を伝えるという回答も、共に50パーセント前後となっています。
誰にでも言える内容ではないけれども、誰かに話したいというものを、誰もが胸の中に抱えているものです。
誰かに相談したいのだけれど、そんなくだらないことで悩んでいるのかとか、変なこと考える奴だなどと思われたらいやだから、よっぽど信頼できる相手にでないと話せないというケースもあるでしょう。
ひどく腹が立ったこと、すごくうれしかったこと、思いがけない発見をした感動などを誰かに話したいというケースもあるでしょう。
そんなとき、じっくりとこちらの話に耳を傾けてくれる人の存在はありがたいものです。
好きな人ができたら、その人の話をめいっぱい聞いてあげましょう。
その人にとって、あなたはとても身近に感じられる存在になるはずです。
好意をはっきりとことばや行動で示す場合にも、意外性をからめるとより効果的でしょう。
たとえば、内気でひかえめな女性なら、思い切って明るい笑顔でプレゼントをすれば、確実に好意が伝わるでしょう。
女性から誘うことは少ないというデータを示しましたが、ふだんひかえめな女性がデートに誘うことは少ないというデータを示しましたが、ふだんひかえめな女性がデートに誘うという行為に出れば、これはもう100パーセント好意は伝わるし、相手の男性は感動のあまり頭のなかがしばらく空白になることうけあいです(感動のあと好意的反応が返ってくるかどうかはケース・バイ・ケースで、何ともいえませんが)。
明るくてお調子者にみられそうな女性なら、プレゼントを渡したり、映画などのチケットを渡してデートに誘うのも、周囲の目にそれほど不自然には映りませんが、真剣な気持ちがかえって伝わりにくいということがあります。
単なる遊び気分でないことを示すためには、思いきりしおらしく、深刻そうにアプローチするのも、相手の心にインパクトを与えて効果的かもしれません。