逃げ腰にならないとは
逃げ腰にならない心理
つらい場面からは、つい逃げたくなります。
でも、逃げ腰になると、よけいつらく感じられるものなのです。
たとえば、会の案内が来たとき、出席しようか、欠席しようかと、あれこれ考えていると、なんだかつらく思われて、つい欠席してしまいたくなります。
また、会合に出ているとき、なんとか途中で退席できないかと考えていると、そこにとどまっているのがいっそう苦痛に感じられます。
ですから、「逃げ腰にならない」と決意することです。
逃げたい気持ちが起きたら、「逃げない」と決意を改めることです。
人間関係で傷つきやすい人は、傷つきそうな場面を回避しがちです。
そのために、傷つくことへの耐性が作られず、ますますいろいろな場面で傷つくのではないかという恐れが膨らんでいくのです。
これは、殴られたり、刃物で刺されるなど、実際に傷つけられることを恐れているのではありません。
ただ、頭の中で作り上げた仮想のものを恐れているに過ぎません。
ですから、これまでに述べてきた仮想の恐れに対処する心構えを持って立ち向かえば、さほど混乱することなく、必ず乗り切れるものなのです。
逃げたい気持ちがつらくする
逃げ腰になるのは、弱気になることです。
弱気になれば、外界が圧倒的な力を持って迫ってきます。
そのために、いっそう恐ろしく感じられます。
逃げたい気持ちになり、あれこれ考えているときが一番つらいものです。
行動しないで、考えているからつらいのです。
頭だけで考えていると、つらさの感情が増幅されてしまうのです。
また、逃げ腰になると、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と同じことで、なんでもないものでも怖いものに見えてしまいます。
たとえば、「部長が呼んでいますよ」と言われたとき、強気なときには「自分が認められて、特別な仕事を命じられるのかな」と考えますが、弱気になっているときには「なにかしくじって叱られるのかな」と、心配してしまいます。
逃げ腰になると、それが行動に表れることによって、実際につらい現実を作り出してしまうことがあります。
たとえば、「つらいな~、なんとかこの会場から抜け出せないかな」と思っていると、それが態度に出てしまいます。
そのために、他の人が近づきがたい雰囲気を感じとって近づくのを遠慮するので、孤立状態になってしまいます。
このように、逃げ腰になるほど、居づらい状況になってしまいます。
ですから、「逃げ腰にならない」と決意することです。
逃げたい気持ちが起きたら、「逃げない」と決意を改めることです。
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「自分からしている」と考える
までいる軽減するには、「自分から進んでしている」と思うことです。
「仕方ないから〇〇する」と考えるのではなく、「自分がしたいから〇〇する」と思うことです。
「仕方ないから出席する」「仕方ないから最後までいる」と思うと、強制されたものと感じて、気が重くなります。
「自分が出席したいから出席する」「自分がいたいから、最後までいる」と考えを変えると、内から意欲が湧いて、積極的な気持ちになります。
逃げ腰になったら、「楽しいから出席する」「楽しいからここにいる」「仲間が大好き」と思うことです。
信じられなくてもいいのです。
信じたいと思えばいいのです。
脳神経科学は、思うだけで効果があることを実証しています。
fMRI(機能的磁気共鳴断層画像撮影装置)を使った研究によれば、イメージするだけで本物の体験と同じ脳の部位が活性化することが明らかになっています。
過去の裏切られた体験を思い出すと怒りが湧いてくるし、楽しい出来事を思い出すと笑みが浮かんでくるのはこのためです。
「自分から進んでやっている」「楽しいからやっている」と思うだけで、脳はそれに対応した部位を働かせ、その信号が全身に送られ、心も体もその方向に動くようになるのです。
次のような理由を思い浮かべると、「自分から進んでやっている」と思う支えになります。
・楽しいから
人との交流を、我慢しなければならないものと思わないことです。
楽しいものだと思うことです。
楽しもうとすることです。
・学ぶことがあるから
他の人から学ぼうという姿勢で接すると、じつに多くのことを学べます。
自分とは全く違うタイプとして毛嫌いしていた人が、じつは自分の弱点を克服するための最良のモデルであったことに気がつく、ということもあります。
・練習のチャンスだから
何事も繰り返し練習することで、上手になっていくのです。
人との接し方を練習する機会ととらえることで、どんな人間関係もプラスの意味を持ってきます。
・成長の機会だから
身体の筋肉と同じで、使えば使うほど心の筋肉も鍛えられます。
人と接することで、対人的な免疫力も向上します。
いろいろな面で自分を成長させるチャレンジと思って、挑戦することです。
こうした体験を積み重ねることで、楽にいられる場が広がっていきます。
逆に、交流する機会を狭めてしまったら、心はどんどん委縮して、恐ろしさが増すばかりです。
リラックス法で心を支える
ここで述べた心構えを支えるためには、各種のリラックス技法を併用するのが有効です。
心と身体は一体であり、心が緊張しているときは身体も緊張しています。
逆に、リラックスした身体に、緊張した心が宿ることはできません。
このために、身体的にリラックスした状態を作ることが、安らかな心をつくる大きな支えになるのです。
その代表的な方法は、腹式呼吸法や自律訓練法などです。
●まとめ
「逃げ腰にならない」と決意しよう。
「楽しいから」「学べるから」「練習の機会だから」「成長できるから」などの理由を支えに、「自分から進んでしている」と思うようにしよう。