運転免許を取得したいというひきこもり青年
高一で退学した二十歳の息子がいます。
最近、運転免許取得のための合宿に行きたいと言い出しましたが、昨年近所の教習所を途中で辞めた経緯があり、希望どおり行かせるべきか迷っています。
基本的に、合宿免許はお勧めできません。
教習所にもよるでしょうが、合宿中は否応なしに他人との接点がふえ、スケジュールも濃密なので、さまざまなストレスがかかりやすいのです。
その結果、途中で帰宅してしまったり状態が悪くなったりしやすいという問題点があります。
免許取得の希望があるなら、やはり自宅から通えるところを優先していただいたほうがいいと思います。
また、一度中断した経緯があるのなら、ご本人の継続の意欲を確認するために、先に原付の免許を取らせるなどの工夫もあっていいでしょう。
いずれにしても、それなりに費用もかさむことだけに慎重に対応していただきたいと思います。
ある程度は勉強する意志と根気があることを確認して、そのうえで入学を認めるほうがより確実な成果を期待できると思います。
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ひきこもりの娘が留学をしたいと言う
二十二歳の長女は中学で不登校を経験し、現在は大学を休学中です。
中高は海外の生活だったせいか、日本の大学は合わないから留学したいと言いますが、今の状況では心配です。
ご本人が希望することを尊重することはもちろん重要ですが、海外留学となると、失敗の可能性もふまえて慎重に対応する必要があると思います。
もちろん、頭ごなしに否定したり反対したりすべきではありませんが、具体的な目標を欠いた旅行気分の留学では得るものは少ないでしょう。
有意義な留学経験にするためにも、いくつか条件をつけることをお勧めします。
まず、学校の籍は当面は残しておくこと。
留学についての具体的なプランをご本人に立てさせること。
一口に海外留学と言っても、どこへ行きたいのか。
何を学びたいのか。
大学で勉強するのか。
そのあたりを明確にすることです。
現地で英会話学校に通いながら受験を目指す人もいますが、例外もあるにせよ、この場合は留学として実りのある体験にはなりにくいと思います。
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やはり国内でまずTOEFLなどの試験を受けて条件をクリアし、受験をして入学資格を得てから、留学してはじめて学ぶ意味が出てくると思います。
旅行や短期の留学コースなどを利用して、あらかじめ現地の様子を把握しておくことも大切です。
言うまでもないことですが、留学と渡航にかかわる一切の手続きはご本人自身にさせてください。
親御さんは留学の資金援助をするのみにとどめてください。
以上の条件をクリアできれば、ご本人は留学するに十分な動機と行動力を持っていると判断して差し支えないでしょう。
もちろん、どのあたりまでを条件とするかはお任せしますが、ご本人の要望がどの程度具体的であるのかを十分に確かめ、実現の可能性を確かめながら相談に乗っていかれることをお勧めいたします。
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大学を中退したひきこもりの息子にどう対応したらいいか
最近大学を中退してしまいました。
本人は専門学校への進学を考えていますが、ひきこもり傾向があるので、また挫折を繰り返すのではないかと心配しています。
たまり場やデイケアなどに参加することを勧めていますが、本人は同意しません。
クラブを勧められるのはいいのですが、ご本人はまだ自分はそこまでの状態ではないとお考えなのでしょう。
いずれにしても、ご両親のイメージだけを一方的に押しつけることは、たとえそれが良いとされる対応であっても好ましいとは言えません。
ご本人になんらかの方向へ向かう意図があるなら、まずそれを最大限に尊重するべきでしょう。
挫折を繰り返す可能性はゼロではないでしょうが、しかし一方的な決めつけも危険です。
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ご家族が、あまり「ひきこもりの兆候」に過敏になりすぎることを恐れます。
ひきこもりへの対応は、ひきこもり状態がはっきりした時点から開始するべきでしょう。
まだ状況が曖昧な段階で、ひきこもりを前提とした対応をすることは、むしろ本格的なひきこもり状態への呼び水となる危険性をはらんでいると思います。
問題意識だけは忘れないようにしつつも、普段どおりの接し方をしながら経過をみていただきたいと思います。
もちろんこの場合も、ご両親のみの相談で、できるだけ不安を解消しておくことはかまわないでしょう。
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プロスポーツマンになりたいと言うひきこもりの息子
現在入院中で、退院後はデイケアにつなげるよう本人も納得しています。
ひきこもって家でテレビ、ビデオを見ているうちに、秘かにプロスポーツマンになることを夢みていたらしく、早く退院してプロテストを受けたいと言います。
たしかに体力はあるけれどあまりに現実離れした夢です。
説得する方法はないものでしょうか?
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ご本人が何か意欲を見せた場合は、多少条件をつける場合はあるにせよ、大筋でそれはみとめてあげるべきです。
もし「説得してあきらめさせたい」というご希望でしたら、それは賛成できません。
何のスポーツかはわかりませんが、とりあえずテストを受けさせてみてはどうでしょうか。
周囲が禁止してしまうと、そのことへの執着心がいつまでも残ってしまい、かえって治療の妨げになりやすいと思います。
本当に現実離れした願望であれば、受ければ不合格になるでしょうからご本人もあきらめざるをえないでしょう。
ただし、ここでも大切なことはタイムリミットです。
「万全の体調で臨みたいから」といった口実で、テストを受けるのが何年も先送りになったり、不合格でもあきらめきれずに何度も受け続けるようなことになってしまっては、やはり克服の試みへの壁になります。
受けることを認めるかわりに、何年以内に合格すること、できなければ諦めること、といった約束はしっかりと取り交わしておきましょう。