人間関係豊かな人は他人の心を知っている

豊かな人間関係を築くには相手の心を知るということ

人間関係で悩まない人は感情より事実を優先する

「何に悩んでいるかすらわからない状況」を、簡単に解決する方法をお教えします。

それは、人間関係を客観的に見ること―。

そのためにすぐできるコツは、状況を知らない第三者に悩みを「説明する」ことです。

モヤモヤと漠然とした悩みがあるときは、「何をどうしたらいいのかわからない」状態です。
「自分が何に悩んでいるのかすら、よくわからない」状態なのです。

これでは、改善策が見えてくるはずもありません。

そこで、状況を知らない人に自分の境遇を「説明する」。
悩みを客観的に見られるだけで、ずいぶんとモヤモヤが晴れるはず。
それは、「自分の主観=感情」がスッキリ整理できるからです。

注意していただきたいのは、悩みを「相談する」のではないということ。
単に愚痴を聞いてもらったり、同情してもらったりすることが目的でもありません。

あくまでも、自分自身が状況を把握するために、人に状況を「説明する」のです。

悩みを「説明する」にもコツがあります。

ポイントは次の二つ。

1.状況を知らない人に、今起こっている「事実」を話すこと
2.「自分の感情」は話さないこと

もっと具体的に言えば―、

「何が起こっているのか」
「どういう問題なのか」
「要するに、何に悩んでいるのか」

これらのことを、なるべく正確に「説明」するということです。
実例で考えてみましょう。

【悩みを「相談」している場合】

自分「人間関係で悩んでいるんだけど、ちょっと聞いてもらってもいい?」
相手「いいよ。どうしたの?」
自分「腹が立つ上司がいるのよ。私ばかり目の敵にしてくるの。私の仕事には、絶対に文句を言うくせに、他の人には甘いんだから」
相手「本当に?そりゃ腹立つよね」
自分「でしょ?最悪だよ」

【悩みを「説明」している場合】
自分「人間関係で悩んでいるんだけど、ちょっと聞いてもらってもいい?」
相手「いいよ。どうしたの?」
自分「上司のことなんだけど、毎日、一回は怒られるの。ほかの人はそんなことないのに、私が作った書類は必ずやり直しになるし、印鑑一つもらうのにも何か小言を言われる・・・自分でもその理由がよくわからない」
相手「話すタイミングに原因があるんじゃない?いつもイライラしているときに話しかけてしまうとか?」
自分「それもあるかもしれない。でも、ほかにも原因があるような気がする」
相手「そういえば、あなたちょっと勝気なところがあるじゃない?語尾が微妙に強かったり、決めつけたり、そういうところが上司の癇に障るのかもしれないよ。相談するような感じで、話しかけるようにしてみたら?」
自分「自分では気づかなかった・・・明日から試してみる。ありがとう」

前者の「相談」している自分は、ただ感情に任せて訴えているだけです。

話した直後は多少、気分がスッキリするかもしれませんが、その場しのぎのストレス発散にすぎません。
翌日出社すれば、まったく変わらない現実が待ち受けているのです。

もっと建設的に改善策を探るには、後者の「説明」している自分のように、状況を整理しながら「説明する」のが、「頭のいい人間関係のコツ」なのです。

冒頭で述べたように、モヤモヤと思い悩んでいる状態とは、「何に悩んでいるのかわからない」状態です。

当然、「何をしたらいいか」もわかっていません。

そこで、状況を知らない第三者に説明することで「するべきこと」がハッキリしてくれば、その時点で、「モヤモヤした悩み」は「対処可能な問題」に変わるのです。

「対処可能な問題」ならば、改善策が必ずあるはずです。

改善策が見えてきたら、具体的な行動に落とし込みます。

この作業は、説明した相手に手伝ってもらってもいいでしょう。

自分一人では気づかないこともあるからです。

行動に落とし込めれば、後は「するべきこと」を「ルール化」するだけ。
そのころには、もう「悩み」でなくなっていることでしょう。

相手と自分の共通項を一つ増やすと親近感が築ける

頭のいい人間関係を築くためには、相手のことをよく知ることです。

逆に言えば、人間関係がうまくいかない根本的な原因は、相手のことをよく知らないからです。

知らないものに対しては、恐怖さえ感じます。

たとえば、幽霊やUFOなど、得体の知れないものに、人は恐怖を覚えます。

これは、人間同士でも同じです。

はじめて異人を見た幕末の人は、ビックリしたでしょう。
「国をのっとられるのではないか?」と、自分たちの身の危険を感じたはずです。

また最近は、隣に住んでいる人がどういう人か知らない人も多いと思います。

だから、隣から大きな音がしたら、恐怖を感じます。

一方、隣の人をよく知っていると、「子どもが騒いでいるのかな」「また夫婦喧嘩をしているのかな」と冷静になれます。

これは、人間なら誰もが持っている防衛本能です。

「ひょっとしたら自分に害があるかもしれない」と思うからなのです。

そして、どんな人にも防衛本能というものがあります。

だから、相手のことを知れば知るほど、「嫌い」という感情が減っていき、親近感を覚えるということです。

では、具体的にどうすればいいでしょうか?

一つの方法として、「相手の行動を観察する」ことが考えられます。

たとえば、上司の場合、「何時に出社するのか」「ランチは、何を食べているのか」「食事から帰ってきたら、まず何をするのか」「どのくらいの頻度でトイレに行くのか」という行動パターンを観察します。

さらに、「どういうときに怒るのか」「どういうときに喜ぶのか」という感情パターンまで、くわしく観察します。

人には、行動にしても、感情にしてもパターンがあります。

そのパターンを知れば、関係改善に大いに役立ちます。

できれば、これらのパターンをメモするくらいのほうがいいでしょう。

メモを取れるくらい、よく観察するということです。

仕事ができる人は、上司の行動パターンをよく知っています。

上司が「どこで何をしていて、いつ帰ってくるのか」を知っているのです。

だから、報告したり相談したりするタイミングが非常にうまい。

なるべく上司の負担にならないタイミングで、話しかけるようにしています。

そして、できる人は上司の感情パターンも知っているので、うまく上司を利用します。

自分が推し進めたい仕事があれば、上司を乗せることで会議に通りやすくしたりするのです。

つまり、仕事ができる人は、上司や仕事相手をよく観察することで、自分が仕事をしやすいようにしているわけです。

さらに言えば、相手の生活を具体的に知ることも大切です。

そのためには、個人情報を徹底的に聞き出す―。

本人や周囲の人から、家族や趣味、出身地など、できる限りの情報を聞き出すようにします。

とくに、その人の悩みや重大な関心事を知ることが重要です。

いくら嫌いな上司でも、どんなことで悩んでいるのかを知ると、一気に親近感が生まれます。

子どもの受験や就職、結婚などで右往左往するのは誰でも似たようなものでしょう。

若い人は、まだそういった実体験はないかもしれませんが、上司のそんな一面を垣間見たことがきっかけで親近感が増すことも珍しくありません。

一見、仕事とは関係ないと思うかもしれませんが、人間関係を改善するためには、相手のことをより知ることが重要なのです。

まず一つ、共通項や共感できることを見つけることから始めましょう。

仕事上のやりとりしかしない人よりも、プライベートの情報もやりとりする人のほうが、親しいですよね。

ということは、仲良くなりたい人とは、プライベートな話をすればいいということです。

相手との関係で悩んでいる場合だと、プライベートな付き合いは、かなりハードルが高いことです。

しかし、相手のプライベートを知るだけなら、誰でもすぐにできます。

相手のことを知れば知るほど、苦手ではなくなってしまうことはよくあることなのです。

対人関係力を高める技術

対人関係力を高める要件とお願い

苦手な上司とうまくいくようにするのは、意外に簡単です。

それは、単純に「話しかける回数」を増やすことです。

心理学で有名な「ザイアンスの単純接触の効果」というものがあります。

アメリカの心理学者ロバート・ザイアンスは、人と接触する回数の違いで、その人の印象がどのように変化するかという実験をしました。

その結果、一回しか会ったことがない人よりも、10回会った人のほうが、印象が良くなることがわかったのです。

つまり、単純に何回もやり取りしている相手に親近感を覚えるということです。

もし上司とうまくいっていないのであれば、上司と話をする回数をあえて増やすようにします。
避けていても、人間関係は改善されません。
むしろコミュニケーションの断絶が起こるために、ますます関係は悪化してしまいます。

だから、あえて話しかける回数を増やす―。

出社時の「おはようございます」、退社時の「お先に失礼します」「お疲れ様です」も、その一つです。
そのほかにも、こまめな確認や報告など、声をかけるチャンスはたくさんあります。
ただ、長々と話す必要はありません。

基本的には、

要件とよろしくお願いします

だけで、大丈夫でしょう。例えば、次のような具合です。

「部長、本日面談がありますので、よろしくお願いします」
「本日午後にA社を訪問いたしますので、よろしくお願いします」

最初は苦手意識が先に立って「嫌だなぁ」と思うかもしれませんが、何度も接触しているうちにお互いの距離感が近くなってくるのです。

そして、いつの間にかうまくいくようになってしまうというわけです。

ここで重要なのが、「相手の感情を変えようとしない」こと。

「自分の行動」で「相手の行動」を変えるのが基本です。

できる部下は一日三回、上司に話しかける

「苦手な人に話しかける」のは、なかなか難しいものです。

中には、苦手意識が強すぎて、あいさつをするだけでも気が滅入ってしまう・・・という人もいることでしょう。

だからといって、自分から行動しなければ、いつまでたっても人間関係は改善されません。

ここでは、苦手意識を克服する簡単なコツをお教えしましょう。

それは、やるべきことをルール化するということ。

つまり、自分の「感情」に惑わされないために、やるべきことを決めつけてしまうということです。

たとえば、今日は最低「三回」、自分から上司に話しかける―。

たったこれだけのルールでいいのです。

話しかける内容は、「お昼に行ってきます」といったちょっとした報告、事務連絡でかまいません。

自分から話しかけることを「ルール化」することが、このコツの最大のカギです。

そして、「ルール化」するためのポイントは、あまりハードルが高いルールを設定しないこと―。

いきなり「今日は10回、自分から上司に話しかける」というルールを設定してしまうと、逆にプレッシャーになってしまいます。

それに、連絡を受ける上司のほうも、いきなり話しかけられる回数が増えたら、ビックリしてしまうでしょう。

だから、少しずつ回数を増やすようにします。

「今日は一回、明日は二回、あさっては三回」という程度でいいのです。

あるいは、何かしらの「当番や担当になる」のも、話しかける回数を増やすためには効果的です。

たとえば、定例会議の連絡係、回覧板を回す係、郵便物を配る係―。
もっといいのは、会議の司会、宴会の幹事をすることですが、少しハードルが高いかもしれません。
まずは気軽な担当を自分で見つけるようにしましょう。

担当になると、その分、上司に連絡することが増えます。

こうして事務連絡の回数が増えれば増えるほど、苦手意識を持っていた関係が、どんどんニュートラルな状態に戻ってきます。

信頼される部下とは上司の心配を取り除こうとする部下

上司に信頼されている人ほど、「自分の行動を上司に報告する」―。

これは、「頭のいい人間関係」の絶対法則です。

信頼されている人は、上司との関係も良好なので、「話しかける回数」も多い。
そう思っている人も多いのではないでしょうか?

しかし、これは逆です。

「話しかける回数」が多いから、上司との関係が良好なのです。

大きな仕事を任されるほど信頼されているのは、その結果なのです。

だから、小さなことであれ、「自分の行動」を報告する―。

ただ、このときも、ちょっとしたコツがあります。

「自分がやったこと」でなく「自分がこれからやろうとしていること」を報告することです。

「これから、来週の会議のプレゼン資料を作ります」
「今日中には、営業報告書をお見せできます」
「新製品のタイアップ企画の件、今、B社に当たっています」
「これからC社に行ってきます」
「新規プロジェクトの件で、営業部のAさんと打ち合わせをしてきます」

といった具合です。

そもそも、上司が部下の能力を疑問視するのは、たいてい部下が「何をやっているのか」がわからないときです。

部下が勝手に仕事を進めていたら、「ちゃんとできているのかな?」「本当に仕事をしているのかな?」と思ってしまいます。

これが、上司心理というものです。

だから、あらかじめ自分の行動を伝えて、上司の心配を取り除いておく―。

これだけで、上司との関係は良くなっていき、やがては上司の信頼を勝ち取れるはずです。

メモで伝えたことは口頭でも伝えると信頼感が芽生える

小さな報告を積み重ねることで、上司に自分を印象づけることができます。

たとえば、席を外している上司に電話がかかってきたとしましょう。

多くの人は、付箋やメモに書いて、上司の机に置きます。

たいていは、それだけで終わってしまいますよね。

でもこの後、その上司が帰ってきたときに、

「A社のB部長から電話がありましたので、メモを残しておきました」

この一言をかけるかどうか―。

この「小さな報告」があるかどうかで、人間関係が大きく違ってくるのです。

「メモがあれば電話があったことは伝わるのだから、わざわざ口頭で伝える必要なんてないのでは?」

こんなふうに思った人は、要注意です。

「口頭で直接伝える」にまさるものはありません。

メモは、口頭でのコミュニケーションの「補助」だと思ってください。

ここでも「ルール化」するといいでしょう。

「電話のメモは口頭でも伝える」
「外出するとき、離席するときは、一声かける」

このように、やるべきことを「ルール化」しておけば、自分の感情に左右されずに、上司にはなしかける回数をふやすことができます。

よりよい人間関係を築く心持ち

人間関係は「井戸を見るから悩む。大海を見れば悩まない」

今ある人間関係の悩みが、ささいなことに思える方法があります。

それは、付き合う人の数を増やすこと―。

意外な方法だと思うかもしれません。

でも「付き合う人の数を増やす」ことが、じつはもっとも手っ取り早い解決策なのです。

なぜでしょうか?

理由は単純明快。

人間関係で悩んでいる人は、狭い人間関係に縛られている人だからです。

あなたは、現在自分が置かれている世界を、「唯一の世界」のように思っていませんか?

その狭い世界の、ほんのいくつかの選択肢だけで悩みを解決しようとしても、袋小路にはまってしまうだけ。

だから、いつまでも悩みが解決しないのです。

もっと広い世界に目を向けてみてください。

本当に、いろいろな人がいます。

いろいろな人と出会うことで、今の自分の悩みが大したものではない、と気付くのです。

だから、付き合う人の数を増やす―。

これが、人間関係の悩みを解決する秘訣なのです。

自分が今置かれている状況は、この広い世界の「ほんの一部」です。

その外には未知なる世界が広がっていて、じつにさまざまな人間がいます。

今いる世界から飛び出して、もっといろんな人と出会ってみてください。

そのためにも、自分から外の世界に飛び出すという「行動」から始まるのです。

会話で使う副詞の大切さ

相手を怒らせてしまう人には、ある意外な共通点があります。

それは、ズバリ副詞の使い方が下手だという点です。

具体的な例を挙げながら、その理由を説明していきましょう。

「まぁまぁおもしろかった」
「けっこう良かった」
「なかなか充実した時間でした」

ほかにもいろいろありますが、代表的な程度をあいまいにする副詞のうち、よく使われるのは、「まぁまぁ」「けっこう」「なかなか」の三つでしょう。

この三つの副詞に共通していることは、何でしょうか?

それは、使っている本人は意図していないことかもしれません。

しかし、相手には勘違いされることです。

この三つの副詞には、「期待していなかったけれど・・・」という枕詞がつくのです。

「期待していなかったけれど、まぁまぁおもしろかった」
「期待していなかったけれど、けっこう良かった」
「期待していなかったけれど、なかなか充実した時間でした」

これでは、言われた相手はどういった印象を持つでしょうか?

あまりいい印象を与えないどころか、悪い印象を与える結果にもなるのです。

何とも思わない人もいますが、悪く捉える人もいるということです。

ですから、このような程度をあいまいにする副詞は、なるべく使わないほうがいいでしょう。

副詞で言えば、「もちろん」も注意が必要です。

具体的な例を挙げましょう。

上司「例のプレゼン資料どうなっている?」
部下「もちろん、やっています」

この「もちろん」には、「言われなくてもわかっている」という意味が含まれています。

言った上司からしたら、バカにされていると感じる可能性があります。

このように、副詞を使うときは非常に注意が必要だということです。

できる限り使わないようにするほうが無難です。

人間関係で大切なのは、「感情を入れない」ことです。

ここで挙げた副詞には、「感情が入ってしまう」可能性が高いのです。

本人に、その気持ちがなくても、相手には感情的に聞こえてしまうということです。

人間関係で悩んでいる人は、副詞を使わないようにするだけでも、ガラリと印象が変わってくるはずです。

嫌な人間関係のリセット

自分なりに気持ちを切り替える方法を持つ―これも頭のいい人間関係のコツです。

どんなに感情を入れないようにしていても、気持ちが落ち込むことがあります。

日々いろいろなことが起こりますから、いつも調子のいいときばかりでもないですし、つねにポジティブな人でもネガティブになってしまうときもあります。

そういうときのために、気持ちを切り替える儀式を作っておきましょう。

たとえば、「コーヒーを飲む」「トイレに駆け込む」「深呼吸をする」「顔を洗う」「歯を磨く」「おいしいものを食べる」「思いっ切り歌を歌う」「買い物をする」「映画を観る」「勝負下着を履く」ということでいいのです。

ショックを受けて立ち直れないと、人間関係に悪影響を与えてしまいます。

それでは、悪循環に陥ってしまいます。

気分がスッキリして、爽快な気持ちになるような自分の儀式を持っていると、少々嫌なことがあっても乗り越えられるのではないでしょうか。

重要なのは、自分で儀式を決めることです。

ショックを受けて立ち直れないと、人間関係に悪影響を与えてしまいます。

それでは、悪循環に陥ってしまいます。

気分がスッキリして、爽快な気持ちになるような自分の儀式を持っていると、少々嫌なことがあっても乗り越えられるのではないでしょうか。

重要なのは、自分で儀式を決めることです。

そして、たとえばコーヒーを飲んだから気持ちがスッキリするのではなく、スッキリしたいからコーヒーを飲むということを意識することです。

「これを飲んだら、気持ちがスッキリする」ということを自分で決めておかないと、本当にスッキリすることはできません。

自分の感情を作り出しているものは、あくまでも自分だということです。

これは、慣れるまで回数が必要かもしれません。

意識的に何度も繰り返すことで、自分だけの儀式に作り上げるようにしてください。

気持ちを切り替える儀式を作り上げるためには、ちょっとしたコツがあります。

それは、儀式をする前と後で違う行動をすること―。
これは単純作業ではないもの。
つまり別のことに頭を使う行動がベターです。
たとえば「企画書を書く」「電話をかける」「会合に出る」「別の仕事に取りかかる」など、儀式の後は気持ちだけでなく、行動もリセットするようにしてください。

そのほうが、気持ちをスッキリさせやすくなります。
ズルズルと同じ仕事をしていたら、また嫌な気持ちが戻ってきてしまうからです。

何度も繰り返し行なっていると、徐々に儀式だけで気持ちを切り替えることができるようになります。

また、アイデアが浮かびやすい状態を、気持ちを切り替える儀式に応用することです。

アイデアが浮かびやすい状態とは、自分がリラックスしている状態です。

リラックスしていれば、気持ちも穏やかなはずですから、気持ちを切り替える儀式に最適なのです。

アイデアが浮かびやすいときとは、どんなときでしょうか?

クリエイティビティの研究によると、5つのパターンがあるようです。

  1. お風呂に入っているとき
  2. 布団の中に入っているとき
  3. 散歩をしているとき
  4. 電車に乗っているとき
  5. 人と話をしているとき

心と体は連動しています。

心にストレスがあると体に異変が現れてきますし、体が不調だと、やはり心も調子が悪くなります。

体調が悪くなると、どうしてもネガティブに考えてしまうのが人間というものです。

人間関係で悩まないようにするためにも、あなただけの気持ちを切り替える儀式を持つようにしてください。

自分で意識して、自分の感情を切り替えられるようにするのです。

人間関係の損切り

人間関係で悩んでいる人にとって、自分の身を守ることも大切です。

そのためには、自分の限界点を設定する―。
これは、人間関係で深刻に悩まないためのコツです。

どうしてもウマの合わない人がいます。
こちらがいくら歩み寄っても、お互いの人間関係が改善されないことがあります。

いつまでもがんばっていたら、体と心を壊してしまいます。
うつ状態になってしまったら、元も子もないですよね。

そのためにも、「もうこれ以上はがんばらない!」「これよりも悪化したら諦めよう!」という基準を、自分なりに設けておくことが大切なのです。

つまり、自分を守るための予防線を張っておくということです。

もし限界点を超えたら、「部署異動を願い出る」「会社自体を変える」など、根本的な関係の見直しをしたほうがいいでしょう。

今の時代、転職するのは難しいかもしれませんが、自分が壊れてしまうよりは絶対にましなのです。

投資で失敗する人は、損切りできない人です。

いつか株が上がるかもしれないと思って耐えていても、株は上がりません。
一刻も早く損を切り捨てることが、投資では鉄則なのです。

人間関係も同じです。

人間関係も損切りが必要です。

どんなにがんばっても改善できないということは、改善する可能性は限りなくゼロに近いということです。

そういう関係は断ち切ってしまって、新しい環境で人間関係を築くほうがいいでしょう。

ただ、思い悩んでしまっていると、冷静に自分のことを見ることができなくなります。
そのため、先に限界点を決めておくのです。

では、自分の限界点はどのように決めたらいいでしょうか?

方法は三つあります。

一つは、期限で切る方法です。
たとえば、三カ月がんばってみて、関係改善の兆しがないようなら諦めるという方法です。

もう一つは、体の不調で判断する方法です。
たとえば、一週間のうち寝られない日が三日続いたら諦めると決めます。

ストレスが強くなると、自律神経に異常をきたします。
寒いはずなのに汗が止まらないなど、うまく体温調節ができなくなったら黄色信号です。
自律神経失調症になっている可能性があります。

そのほかにも、慢性的に疲労がたまる、すぐに横になりたくなる、瞳孔が開きっぱなしになって光が眩しいなど、自律神経失調症の症状が出てきたら、がんばるのを諦めるようにしてください。

体を壊してまで、がんばる必要はないのです。

最後の一つは、知人の存在を利用する方法です。

たとえば相談できる人がいなくなったら、がんばるのを諦めると決めてもいい。
感情を交えずにアドバイスをくれる知人は、貴重な存在です。
知人に話すことでストレスを発散することはよくあります。

しかし、追い込まれてくると、誰にも相談できなくなってきます。
そういった状態は、もはや正常な状態ではありません。
損切りしたほうが身のためでしょう。

また、お互いの関係が誰の目から見ても異常だと思う場合があります。

自分では冷静な判断はできませんから、知人に聞いてみるのもありでしょう。

同情ではなく、本気で「明らかにおかしいよね」という意見が出てきたときは、がんばるのを諦めてもいいのではないでしょうか。

逆に「改善しているね」と言われたら、もう少しがんばってみてもいいと思います。

これ以上はがんばらばくてもいいという限界点を設定しておくと、気持ちが楽になります

つらいのは、逃げ場がないことです。

逃げ場はつねに用意しておいてから、がんばるようにしてください。