会話の輪にうまく入れない
複数人で会話をしている中で孤立し、輪の中に入っていけないときは、誰しも焦るものです。
飲み会の席や同僚同士の雑談の中でそのような経験をすることがあるでしょう。
そんなとき、会話の中で孤立すると、話さなきゃ話さなきゃと思いがちになるものです。
例えば、数人で会話をしていて沖縄旅行についての話題が盛り上がっていたとしましょう。
このとき、焦ってしまう方はなんとかその話題に入ろうと「私も沖縄に行ったことがあります。沖縄のソーキそばはおいしいですよね。
私は〇〇というお店に行きましたよ」と話してしまうかもしれません。
会話で孤立したくないがために、一生懸命になって話してしまうわけです。
気持ちは痛いほど分かります。
しかし、会話の中に入った途端自分の話をしてしまうと、でしゃばった感じを相手に与えてしまいます。
相手からすれば自分の話題を奪われたような気持ちになり、決して気分の良いものではありません。
こんなときに役に立つのが会話参加法なのです。
会話の中で主導権を握っている人に質問を繰り返しすることで、自然とその輪の中に入っていく方法です。
具体的には、や「好意をもたれる質問」や「5W1H質問」を使って連続して質問をしていきます。
話し手からすれば、質問を受ける分には主導権はあくまでも自分にありますので悪い気はしないでしょう。
さらに好意を持たれる質問であれば、ますます喜んでお話をするでしょう。
そして、質問を繰り返し自分に投げかけてくれる人には好意を持ちますので、次第と質問者に対して興味を持つようになります。
気の利いた方であれば、今度は質問者に質問を投げかけてくれるでしょう。
ただし注意点があります。
それは、会話をする中で話を無理に続けることが正解ではないということです。
そもそも対人コミュニケーションはとてもエネルギーが必要です。
相手の表情、声の抑揚、会話の展開に集中していると、誰でも疲れてしまいます。
こういったときに、会話の中で適当に力を抜いて休むというのも大事なことです。
飲み会で必ず会話の中心にならなければと、思っていると全然楽しめないですしね。
会話の中に入る感情表現力は大切
これから先は人付き合いを築く上でとても重要な、感情表現力を高める節に入っていきます。
その前に、そもそも人付き合いにおいて、どうして感情表現力が重要なのかについて解説させていただきます。
感情の共感スキルとは相手の気持ちと同じ気持ちになることで、相手から好意を持ってもらう方法でした。
相手が楽しいという気持ちを示していたら、相手の気持ちに共感して自分も楽しいという感情を示します。
相手が悲しいという感情を示します。
これが感情の共感スキルになります。
ここで皆さんに考えて欲しいことがあります。
もし、会話の相手の感情表現力が高く、自分の感情表現力が低かったとしたら、どんな問題が発生してしまうでしょうか。
相手はとても感情表現力が豊かで、楽しいという気持ちを表情、声、体の動き全てで表す人だったとします。
それに対して自分は表情が乏しく、声も抑揚がなく、体もあまり動きません。
相手はあなたにどんな印象を持つでしょうか。
答えは明白でしょう。
こういった状態では相手が示した感情と同じぐらいの感情を示すことができません。
相手は共感してくれなかったと感じ、がっかりしてしまうでしょう。
逆に自分の感情表現力が高く、相手と同じぐらいの感情を示すことができたら、相手は理解してくれたと感じ、あなたに好意を持つでしょう。
このように、感情の共感スキルを向上させるには自分自身の感情表現力がかなり必要になってくるのです。
最近ではEQという分野が話題になっています。
EQとはEmotional Intelligence Quotientの略で「心の知能指数」と言われています。
自分自身の感情を理解しコントロールし、目標に向かって前向きに行動することができる能力や、他人の感情を理解し受け止めることで人間関係において適切な行動を取ることができる能力などを測るものです。
EQ上では、感情表現力や共感力、判断力がかなり重要視されます。
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感情表現の基本としての笑顔で会話の輪に入る
それでは実際に感情表現の練習をしていきましょう。
自分の感情を伝える上で最も大事なのが、好意を相手に示すことです。
そして、好意を相手に示す上で基本となるのが笑顔です。
ぜひとも素敵な笑顔を身に付けましょう。
まずは、基本となるスマイルの練習をしましょう。
以下の手順で笑顔の基本を身に付けていきます。
笑顔の練習に入る前に笑顔を向ける対象をイメージすると良いでしょう。
対象もなく笑顔の練習をすると、それこそ作り笑顔になってしまうので良くありません。
まずは、自分が笑顔を向けたいなあと思う人物を一人イメージしましょう。
またイメージが苦手であれば写真でもOKです。
イメージはできたでしょうか。
それでは以下の手順で進めていきます。
初めに割り箸と下敷き、鏡を用意してください。
笑顔については口と目の周りの動きがとても大事になります。
まずは矯正代わりとして簡単な口の動きから始めましょう。
1.口の動き
- 笑顔を向けたい人をイメージする
- 割り箸を用意する
- 割り箸を前歯三本ではさむ
- 割り箸を取り、口を閉じる
- 鏡で歯が何本見えているか確認する
- 10本以上見えていたら合格
- 最後に口角を上げ完成です。
笑顔では歯を見せることがとても重要です。
なぜなら本当に心の底から笑うと歯が見えるからです。
歯が見えない笑いは微笑みであり、満面の笑みよりも好意のレベルとしては少し下がってしまいます。
笑顔を相手に示すときはぜひとも歯を見せるぐらいの笑顔を向けてあげましょう。
次に目の周りについて練習しましょう。
本物の笑顔となるかどうかは目の周りで決まります。
目じりの辺りに筋肉があり、この筋肉が動いていないととても違和感のある笑顔になってしまいます。
口だけ笑っていれば良いわけではありません。
口と一緒に目が笑っていなければ、作り笑いだと思われてしまいます。
それでは実際に練習してみましょう。
2.目の周りの動きについて
目の周りの動きについては、下敷きか、ノートなどを用意しましょう
- 笑顔を向けたい人をイメージします
- 下敷きで口を隠します
- 鏡を見ながら笑います
- 目だけで笑顔になっていると判断できたら合格です
口と目で基本の笑顔ができたら、連続して笑顔の練習をしましょう。
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不自然な笑顔になってしまう理由
さて、ここで笑顔が作れない人の原因について説明します。
自然な笑顔が作れないのは、動作上の問題と心的な要因があります。
動作上の問題については、今挙げた事項で大概解決することができます。
しかし、心的な要因については根が深く複雑なところがあります。
笑顔は表情表現の中でも特に重要ですので、心的な要因については少し詳しく解説させていただきます。
笑顔になれない心的な要因は大きく分けると二つあります。
まず一つ目ですが、自己否定感が強い、または他者否定感が強いことが挙げられます。
自己否定感が強いというのは自分のことが嫌いな状態です。
人間の心理として自分のことが嫌いだと他者からも嫌われると思い込んでしまいます。
嫌われると思い込みながら笑顔になどなれるわけがありません。
同様に他者否定感が強い人も、なかなか笑顔にはなれません。
そもそも笑顔とは相手に対して好意を持っているというサインですので、相手のことを否定する心が強いと笑顔になりようがないのです。
これについては、自己肯定感、他者肯定感を育てていくようにしましょう。
そうすれば自然と相手に対して笑顔を向けられるようになります。
二つ目は顔に関するコンプレックスを抱えている場合です。
大きく分けて、歯に対するコンプレックスと、目、鼻などの顔のパーツに対するコンプレックスで笑顔になることへの醜貌恐怖があります。
まずは歯に対するコンプレックスについてです。
歯を矯正していたり、歯が抜けていたり、歯の色が悪かったりすると必要以上に歯を気にしてしまいます。
さらに、そんな歯を人に見られるのが嫌なので隠すように笑います。
周りから見るとそれは少々不自然な笑い方になってしまいます。
次に醜貌に関してですが、顔のパーツのどこかにコンプレックスを抱えていると何をしていても気にしてしまうものです。
しかし気にし過ぎるあまり、それを見られていると思い込み会話に集中することができなくなってしまいます。
そのため、なかなか自然な笑顔を作ることができません。
人間の顔は笑顔になればなるだけ変化します。
捉え方次第では、顔が崩れてしまうと感じることさえあるのです。
心の面の変え方についてですが、まずは笑顔を失うことで、失うものの大きさを感じることです。
顔に対してコンプレックスを抱えていて笑顔になれない人は、「醜い自分をさらして嫌われたくない」という思いを強く持っているのです。
心理学的には、身体的魅力が相手から好意を持たれる要因の中で大きな比重を占めています。
ですので、この魅力を高めることは重要であり、醜い自分をさらけ出したくない、という気持ちは痛いほど分かります。
しかし、身体的魅力が崩れるからといって笑顔をやめてしまうと、身体的魅力を維持する以上に失うものが大きくなり、さらに苦しみが増してしまいます。
笑顔を作れないがために、余計に相手から不快に思われるというジレンマに陥ってしまうからです。
これでは何の為に笑顔を捨てたのか分かりません。
このように笑顔を捨てることになれば、人生はとてつもなく暗いものになりますし、ストレスがたまります。
多少綺麗であっても、そういった人には結局人が寄ってこないのです。
笑顔を捨てたからといって何の解決にもなりません。
もし、崩れた顔になることで嫌われてしまうなら、それはそれでそういう人だったと前向きにあきらめることです。
それよりも、自分の顔が崩れようが自分と向き合ってくれる人と人間関係が築ければ十分ではありませんか。
コミュニケーションはそれ以上でもそれ以下でもない自分を示し、相手と対峙することです。
それ以上でもそれ以下でもない自分を示すということは、笑顔に関してはもちろん、ビジネスにおいても同じことが言えます。
自分を良く見せようと嘘をついても、それは本来の自分ではありません。
本来の自分ではないので、人と接するときに自然な状態でいられるわけがありません。
人間は完璧ではありません。
美醜に関して誰でも崩れたところはあるのです。
これは当たり前のことですので、完璧でない自分を隠す必要はないのです。
もし顔に対するコンプレックスを持っているがために笑顔になれないなら、「それ以上でも、それ以下でもない自分を示す」、「顔が崩れようが、自分と付き合ってくれる人と人間関係が築ければ十分だ」と考えるようにしましょう。
そうした心構えを持っていれば、自然と笑顔が振りまけるようになり、笑顔を隠す以上に人が寄ってきて好意を持たれるようになるのです。
感情のこもった発音、無感情な発音
自分の感情を伝える上で発音にその感情をこめられるかどうかは、視覚と同じぐらい重要です。
発音の改善に関しては、実際に自分の声を聞いてみるのが最も効果的です。
次の手順で感情をこめた発音ができるように練習していきましょう。
1.自分の声を録音できる携帯やボイスレコーダーなどの機械を用意します。
2.以下の単語について感情をこめて発音します。
- ありがとう
- おはようございます
- お疲れ様でした
- いつも感謝しています
- 大好きです
発音に関しては、できる限りゆっくりと発音するように心掛けましょう。
早口で発音してしまうと抑揚がつかず気持ちが入りません。
絵本を朗読するぐらい、ゆっくりと発音しましょう。
また、気持ちをこめるためには声の大きさではなく、とにかく抑揚に気を付けます。
声の大きさは相手に聞こえる程度で十分ですので注意しましょう。
3.発音が終わったら、実際に自分の声を聞いてみます。
大概の方が自分の声の抑揚のなさに驚きます。
自分が思っている以上に気持ちをこめた発音は難しいです。
自分が納得できるレベルまで何度も何度も練習しましょう。
発音に関しては他に身近にできる方法として、歌を歌うことをお勧めします。
カラオケをする際はできる限り歌に感情を込めて、自分の声に感情を乗せるように心掛けましょう。
また、お子さんがいらっしゃる方は、絵本をゆっくりと読んであげるのも良いでしょう。
ロボットのように声の抑揚がなく話してしまう方は、発音に関してはとくに要注意です。
発音については練習すれば改善は割と早いですので、時間を作って取り組んでください。
人と接し、失敗を肯定する
ここで、人付き合いを築く力を高めるための土台について説明します。
それはずばり、実際に人と接する機会を作るということです。
今まで学んだコミュニケーションスキルも、やはり実践を積んでいく中で、自分のものとしていかなくてはなりません。
例えばスポーツであれば練習も大事ですが、実際に試合経験を積むことも大事です。
練習だけ、試合だけでは力は伸びません。
どちらも大事なのです。
それはコミュニケーション能力についても同じことが言えます。
知識を身に付け自主的な練習をするだけではなく、実際に人と接する中でその能力を高めていく必要があるのです。
仕事がコミュニケーション能力に影響するということは事実です。
例えば、接客業、営業、保育士などを職業にしている人は、人付き合いを築くための基礎的な能力を持っていることが多いです。
一方でIT系、特にプログラマや経理マン、製品の設計系の仕事をされている方は人間関係を築く力が低い傾向にあります。
営業職とプログラマの仕事で何が大きく違うのかと言えば、対人間であるか、対コンピューターであるかということでしょう。
一日の大半を人間と接している人と、一日の大半をコンピューターと接している人では、当たり前ですが人付き合いを築く力にも影響してくるものだと思います。
実際に1日どれぐらい人と接するべきか、正確に何時間と結論づけることは非常に難しいです。
でも、最低でも1時間ぐらいは人と話す時間を設けて欲しいのです。
ただし、これはあくまでも目安です。
今までの人生を振り返り、人と全然接してこなかった方であれば、それなりの努力は必要でしょう。
厳しい現実ですが前向きに認めていかなければなりません。
そして、対人コミュニケーション能力を向上させるには、以下に挙げる事項について努力を重ねてください。
- 最低でも一日一時間は人と話す時間を作る
- 積極的に恋愛経験を積む
- 二つ以上のコミュニティに属する
- 飲み会、何らかの集まりを主催する
- 食事を誰かと一緒に食べる
- テレビ、インターネット、ゲームをやり過ぎない
- 口頭で伝えるべきことをメールでやり取りしない
この中で2と3については少し解説を加えておきます。
もし、未婚の方であれば、恋愛について努力するのは必須です。
恋愛を成功させるには身なり、言葉遣い、マナーに気を遣い、相手が何を考えているのかという相手の立場に立ったものの考え方が必要です。
恋愛の過程では実にさまざまなことが学べます。
人付き合いが苦手な方は、異性に対しても自信を失っている方がいますが、これを乗り越えたときは大きな自信となります。
自分の魅力を高め、異性からも好かれるよう、自分を磨きましょう。
もし相手から嫌われたとしても、それは自分に魅力がなかったことを受け止め、自分の魅力を高める努力を一生懸命することです。
次にコミュニティについてですが、コミュニティとは何らかの目的を持った集まりのことです。
コミュニケーション能力を高めるには、いろいろな視野を持った人と積極的に話す必要があります。
仕事や家庭だけでなく、少し縁のない業界の人と知り合える場所を作っておくと良いでしょう。
具体的には、英会話教室やサークル、またはインターネットを介したオフ会でももちろんOKです。
ただ話すだけではなく、積極的に自分から質問をして好意を示し、成功体験を積み重ねていきましょう。
そうした成功体験は自分の中で自信として蓄積されていきます。
そしてその結果、人と接することが楽しくなっていくのです。
より良い人付き合いを築くには自分と相手を肯定する
より良い人付き合いを築くには自分と相手をどれだけ肯定することができるのかということにつきます。
自分と相手を肯定するには、相手に笑顔を向けたり、相手の感情に共感したり、相手の言葉を繰り返したり、表情や声の抑揚で感情を伝えたりとさまざまな方法があります。
繰り返しますが、大事なことは、「自分と相手を肯定する心」を持つことです。
あなたは人を見たときに、どれだけその人の価値を感じることができるでしょうか。
あなたは今日、顔を合わせた人、はたまた目の前にいる誰かの良い面を一つでも見つけることができましたか?
もしそれができないのであれば、どんな人付き合いを築く技術を駆使したところで、それは小手先のテクニックにしか過ぎないのです。
この基本原理を生涯貫き通してください。
そうすればあなたはきっと、かけがえのない人とのつながりを築くことができ、周りは人であふれることでしょう。
まずは自分から相手に示していきましょう。
たとえ相手に示した好意が返ってこなくても、残念に思う必要はありません。
自分が10示して3しか返って来なくても、無駄なことをしたと落ち込まないでください。
それは必ず次につながる大切な3となるのです。
100示す人は30返ってきます。
自分が相手に示す好意は減るものでもなくなるものでもありません。
相手を愛するという気持ちを絶えず持ち続けていきましょう。
それは生活に潤いをもたらし、最後には自分の幸せへとつながることでしょう。