ひきこもり青年の独り暮らし

ひきこもり青年に独り暮らしをさせてうまくいくのか

独り暮らしをさせてよいのか

どう考えても、ひきこもりは「怠けもの」としか思えません。

もう大人なのだし、自分のことは自分ですべきだと思います。

時期を決めて家から出て行ってもらうのはまずいのでしょうか?

それで立ち直った、という話も聞きます。

ひきこもりへの対応として、「家から追い出す」のも一つの選択肢としては「あり」です。

もちろん、それをお勧めしたいわけではありませんが、少なくともそれは、社会的には正当な行為であると思われます。

ひきこもりは病気ではないし、その限りにおいては健常な成人と同様に考えるべきでしょう。

ただし法律上は、子がひきこもったまま成人年齢に達した場合の親の扶養義務については、親の扶養能力に変化がない場合には、成人前と同レベルの扶養義務が課されることもあるとのことです。

ひきこもりについてはまだそうした判例がないので判断がわかれるところですが、そうだとすれば、お子さんが成人年齢に達した時ではなく、親御さんが定年を迎えた時点でそうした義務がなくなると考えるべきなのかもしれません。

いずれにしても、ある時点でご本人の扶養義務から解放され、ご両親だけの穏やかな老後を過ごすということも、ひとつの選択肢ではあるでしょう。

しかし、もしそうした選択をされるのでしたら、忘れないでおいていただきたいことがあります。

追い出すという対応は、たしかに「間違い」ではない。

しかしもちろん、克服への試みでもありません。

親に追い出されて立ち直る、といった事例の話もちらほらとは耳にしますが、そういう可能性ばかりではありません。

家から出されると同時にホームレスになるかもしれない。

「それはそれで仕方ない、ご本人の自己責任の問題であり、親はそれに関知しない」というくらい吹っ切れた親御さんなら、もはや私から申し上げることは何もありません。

そういう方には、せめて半年以上の猶予期間をおいてあげてほしい、とのみアドバイスすることにしています。

まあ、そういう人はそもそも、こういうサイトは読まないでしょうけれども。

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息子が「別居せよ」と父親に迫る

専門学校二年在学中の二十六歳の息子ですが、現在登校せずに自宅にこもっています。

毎日のようにストレスを訴え、「父親ののんきな姿を見るとやる気がなくなる」「父親には主体性がない」「別居して独り住まいせよ」と言います。

そうしたほうがいいでしょうか?

まずご本人の反発心を理解し、できる限りお父さんが努力して、ご本人の要望に添っていくことが望ましいでしょう。

現在の訴えは抽象的でわかりにくいところもありますが、お父さんのちょっとした不愉快な言動でご本人が傷つけられている可能性もあります。

実際的な行動によって解決できればいちばん望ましいのですが、すぐには難しいかもしれません。

ただ、いくら反発が強いからと言っても、家を出ることは賛成できません。

批判するほうもされるほうも辛いので、つい安易に別居生活に移行してしまう場合がありますが、いったん家を出てしまったら、どんどん拒否が強くなって二度と帰れなくなることもありえます。

そうなると克服の取り組みそのものも非常に難しくなります。

どうしても離れるしかないという状況になった場合は、ウィークリーマンションなどを利用して、必ず「何日間」という期間限定で離れることが望ましいでしょう。

でも、そこまでされるくらいなら、むしろ接し方や態度を変えるほうが簡単なのでは、とは思います。

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独り暮らしを息子にさせたいと思う

ひきこもって四年になる二十八歳の息子がいます。

かなりひきこもり生活が長引いているので、「自立」を目指してアパートで単身生活をさせようと考えています。

本人も大筋では同意していますが、そのように運んでかまわないでしょうか?

すぐれた精神療法家として名高い神田橋條治氏は「家出は自立のもっともつたない形であり、自立の最良な形は親孝行である」と指摘しています。

ご本人のひきこもり状態を何とかしたいと考えたご家族は、しばしばご本人をいきなり社会に結びつけようとします。

そうした発想の中でも最も大きな誤解は、何のあてもなくご本人に単身生活を勧めることでしょう。

「独り暮らしをしていればそのうち否応なしに社会と接点を持つだろう」という、ほとんど根拠のない期待に基づいて、そういうことがなされる傾向にあります。

しかし、ひきこもっているご本人に独り暮らしをさせることは最悪の選択のひとつであると、あえて断言いたします。

それはほとんどの場合、いっそう徹底したひきこもり状態をもたらすだけだからです。

単身生活でひきこもっている人に対しては、どんな立場の専門家もかかわりを持つことができません。

たとえばNPO団体でひきこもりの訪問支援に取り組んでいる人たちがいますが、彼らもやはり「アパートで独り暮らしをしている人にはかかわれない」と言います。

一般に訪問支援が成り立つのは、その訪問支援スタッフを受け入れてくれるご家族がいるからこそです。

当事者のご家族がスタッフを家の中に入れてくれるからできる活動なのであって、ご本人が独り暮らしをしているアパートに強引に押しかけて行ったら、これは当事者にとっては、ストーカーや悪質な訪問販売業者と同じことになってしまいます。

ですから、ただ漠然と単身生活を考えておられるならば、これは絶対にやめていただきたいと思います。

解決どころか、事態をこじれさせてしまう可能性がきわめて高いからです。

ご本人を外向きの活動に誘い込むにしても、親御さんが率先してさまざまな活動に参加して見せ、そこにご本人を誘い込んでいくやり方しかありません。

たとえばご本人を通院させたければ、まず親御さんが積極的に通院し、ご本人を誘い続けるしかありません。

いずれも同居していなければ不可能なことばかりです。

さまざまな事情からどうしても同居ができないという場合でも、できるだけ近いアパートなどにご本人を住まわせて、頻繁に交流できる状況にしておく必要があるでしょう。

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親と会いたがらない独り暮らしのひきこもり青年の実情

親と会いたがらない独り暮らしの息子

二十四歳で別居中の息子と、週一回は電話で落ち着いて話せるようになりました。

顔を見せることにはまだ恐怖感をもっているようですが、面会までこぎつけるにはどうしたらいいでしょうか?

ひきこもりが長期化した若者が心をひらいていく過程は、かたつむりがおそるおそる角をのばしながら様子をうかがっているような状態にたとえられます。

うかつにふれると、すぐ角を引っ込めて、殻の中に戻ってしまいます。

こちらの思惑だけで変化を急ぎ過ぎると、ようやく起こりつつある良い変化までもが台無しになってしまうこともあります。

くれぐれも慎重にアプローチを試みていただきたいと思います。

ご質問のケースのように、まず定期的に電話で話す習慣が定着したのであれば、二~三カ月ほどこういう関係が続いたところで、徐々に顔を合わせるための働きかけを進めていくのがいいでしょう。

こういった恐怖感が強い方の場合、いきなり部屋を訪問するのはかなり抵抗があるでしょうから、けっして面会を強要しないということが前提となります。

まず電話で、「何月何日の何時に部屋まで行くから、もし会えるようなら会ってほしい。

会いたくなければ顔を出さなくてよいから」と伝えてみてください。

あるいはまた、ご本人の部屋の近所にあるホテルのロビーやレストランなどで待ち合わせ、「もし気が向いたら、そこに顔をだしてほしい」とお願いしてみる方法もあります。

けっして無理押しせずに、以上のような対応を淡々と続けていけば、いずれ必ず面会は可能になると思います。

ただし、ご本人は、親御さんに無駄足を運ばせることに対して、非常に罪悪感を抱くものです。

そうした配慮から「来てほしくない」と訪問を拒否する場合もありえますが、直接訪問ではない以上、こうした働きかけに関しては、ご本人から拒否されてもあえて続けられることをお勧めします。

また、ご本人と面会できることももちろん重要なのですが、あくまでもそれは同居のための一里塚というふうにお考えいただきたいと思います。

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母親が訪問していくと騒ぐ

アパートで独り暮らしをしています。

母親が訪ねると大変な恐怖でわめき散らし、管理人から苦情を受けました。

このような場合にはどう対応したらいいでしょうか?

なぜお母さんをこれほどまでに拒否しているか、そのあたりの事情にもよるとは思います。

もし恐怖するだけの正当な理由があるのでしたら、それが少々理不尽なものであっても、そちらを解決してから訪問をすすめたほうがよいでしょう。

たとえば過去にお母さんがご本人を傷つけるようなエピソードがあって、それが恐怖の原因なのであれば、その件について十分謝罪なり話し合いなりを試みることで、ご本人の恐怖心をやわらげるほうが先決でしょう。

しかし、まったく思い当たることがない場合は難しいですね。

もしお母さん以外に面会が可能な人がいるのでしたら、まずそういった人に依頼してアプローチすることも考えられます。

また、後の項目でも述べますように、手紙などを利用して警戒心を薄めていける場合もあります。

いずれも難しい場合は、まず保健所に相談されることをお勧めします。

ご家族の依頼で保健師さんが訪室することができれば、症状の程度によっては、ご家族以外の他人ということでふつうに接することが可能かもしれません。

ただ注意していただきたいのは、抜き打ちに訪れることは避けるということです。

ご家族にせよ保健師さんにせよ、訪れるにあたっては、事前に手紙などで知らせておくべきです。

そうしなければいっそう強い不信感を買うことになりかねません。

それすらも受け付けないほど深刻な場合は、やはり保健所を通じて治療機関を紹介していただくことだと思います。

こうしたいわれのない恐怖の原因としては、なんらかの精神疾患もいちおう想定しておく必要があるでしょう。

多くの事例から推測するに、可能性としては単身生活中に強迫症状がきわめて悪化した事例がまず考えられます。

それもご家族の触れたものやご家族の痕跡を一切拒否するような、潔癖症タイプの強迫症状の可能性が高い。

このタイプの場合、とりたてて自傷他害のおそれがあるわけではないので強制的な克服の試みの対象にはなりにくいのですが、さりとて自然な回復はあまり期待できず、確実なアプローチの手段もありません。

精神科医と連携し、事前の交渉を十分にしたうえでタイミングをはかり、大家さんの協力も取り付けてから強行突破もやむを得ない場合もありうると思います。

後に恨みを残さないためにも、ここに述べたことも含めてあらゆる手段を検討したうえで、慎重にことを運んでいただきたいと思います。

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独り暮らしをするひきこもり青年との接し方

地元の目が厳しいから東京で独り暮らししたい

私は都内のアパートで単身生活のままひきこもった生活を送っています。

地元に帰ると親戚やいわゆる世間の目があってかえって苦しい。

東京にいたほうが安心して生活できます。

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自活させた息子が仕事を辞める

息子は定時制高校の三年です。

一年目はアパートを探して自活していましたが、現在は仕事もやめ、学校も休みがちなようです。

家賃や生活費の援助はしていますが、家に戻すべきでしょうか?

いかなる場合でも単身生活がいけないと主張するつもりはありません。

条件をしっかりと整え、綿密なプランのうえでなされるのであれば、むしろ単身生活も支援や自立の有効な契機になりうるとすら考えています。

否定するのは、安易に決定され安易に実行される、無条件・無期限の援助付き単身生活です。

もし最初のご質問のような事情から単身生活を希望されるのであれば、親子間であっても一定の契約関係を結んだほうがよいと思います。

具体的にはアパートやマンションの契約期間、単身生活の目的であるとか、仕送りの額、どのような場合に家に戻ってくるか、家との連絡方法はどうするかなど、双方で合意可能な条件をはっきり定めて、それをご本人が承知した段階で単身生活を認めるというものです。

そういう契約関係のもとで、一種の「実験」としてなされる単身生活であれば、大いに有意義であるかもしれません。

検討しておくべき条件について、おもいつく限り箇条書きにしてみます。

  • 単身生活の目的。就学、就労、あるいは技能や資格の修得など
  • アパートの契約期間(だいたい一年ごとの更新が望ましい)
  • 毎月の援助額。家賃を除きどの程度援助するか。支払い日や支払い方法なども決めておく
  • (症状がある場合)通院治療を続けること
  • 実家に定期的に連絡を入れる
  • 親からの連絡や訪問を正当な理由なしに拒否しないこと
  • 以上の約束が守られない場合は、アパートを解約して帰宅すること

これは、単身生活に移行する際の条件としては最低ラインのものです。

最初のご質問については、こうした条件をできるだけクリアする形で単身生活を継続できればよいと思います。

また二番目のご質問については、通学が続いていないのであれば一度帰宅させるべきでしょう。

あるいはもう一度チャンスを与えるという意味で、ここで述べた条件なども参考にしつつ、仕切り直しをしてみるのもよいかもしれません。

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独り暮らしの本人との連絡方法

本人は二十八歳で大阪に住んでおり、両親は北海道に住んでいます。

会うのはおろか、電話にも出ませんが、コミュニケーション改善のためにどのような手段があるでしょうか?

ドア越しに声掛けしても返事がない

本人は東京で独り暮らしの二十四歳の息子です。

親は月一回程度上京していますが、ドア越しの声掛けだけで、手紙も一方通行で本人からの反応がありません。

どれほどご両親を拒否しているようにみえる事例でも、心の底では必ず引け目、申し訳なさを感じているものです。

この点に訴えかけ続ければ、ご両親の思いを通じさせることはけっして不可能ではありません。

信念を持って、ねばり強く働きかけを続けていただきたいと思います。

まず手紙という手段があります。

定期的に葉書をご両親の連名で送り続けることは、けっして無駄にはならないと思います。

電話は拒否していても、手紙ならば読まれる確率はかなり高いでしょう。

また、内容をかりに見もしなかったとしても、ご両親から定期的に手紙が届いているという事実は認識されます。

これは非常に重要なことで、コミュニケーション回復への第一歩となります。

ですから、手紙をフルに活用することが、もっとも容易で確実な手段であると考えられます。

また、手紙で予告しつつ訪問するという手段もあります。

ご質問のケースは遠方なので、かなり大変かとは思いますが、「次はいつ来るか、何時頃訪問するか」を手紙で予告しつつ、定期的にご本人の部屋をじかに訪れるということを繰り返すのです。

かりにご本人に会えなくても、その都度なにか差し入れを届けたり、メッセージを残していったりすることで、ご本人の心に確実に影響を及ぼすことができるはずです。

ご本人がそれをやめてくれと言い出したとしても、ここまでの働きかけなら、ある程度ご両親のペースで強行してかまわないでしょう。

いずれもご本人の気持ちの負担にはなるかもしれませんが、けっして傷つけることはないと思います。

ご両親から「会いたい」と誠実なアプローチを受けながら、それを拒否し続けることができた事例を、私は見たことがありません。

二番目のご質問についてですが、月に一回だけでは、なかなか変化を起こすことは難しいかもしれません。

もう少し訪問の頻度を増やされてみてはどうでしょうか。

ご両親が交替で月に一度ずつ訪問すれば、二週間に一度のペースで訪問が可能です。

ともかく正攻法としては、何度でも直接訪問を繰り返して、戻ってくれるよう頼み続けることです。

ただし、あまり強引に交渉すると、突然アパートを出て行方不明になってしまうおそれもあるため、時間をかけてねばり強く説得する必要があります。

また、電話だけでなく、FAXや電子メールなど、複数の通信手段を確保しておくことも重要です。

携帯電話を買ってご本人に預け、それを連絡の窓口にするという方法もよいかもしれません。