自分を呪縛する禁止令を知ることは、自分自身の人生を意識的に生きるためにおおいに役立ちます。
次の文はこれまで述べた禁止令を書き換えたものです。
自分に該当する場合は〇を、該当しない場合は×を記入してください。
( )自分はこの世にいないほうがいいんだ、という気持ちになることがある。
( )男(女)だったらよかったのに、と思うことがある。
( )楽しんでいるときに心の隅に罪悪感が起こることがある。
( )大人になるのがこわい。
( )何をやってもうまくできるという感じがしない。
( )自分からすすんで何かをやることはほとんどない。
( )自分がリーダーになることは似合わないと思う。
( )皆の中にうまく入れない。
( )人を心から信用できない。
( )いつも体のどこか調子が悪い。
( )考えるのは面倒だ。
( )自分が好きなこと、やりたいことが分からない。
丸印がついた項目が、あなたにかけられた禁止令です。
日常生活のなかで、あなたはそうした行動をとりがちです。
それがあなたの弱点でもあります。
自分にこのような否定的な傾向があるという事を知って、できるだけそれに陥らないように意識的に注意することです。
しかし、この禁止令が非常に強固に埋め込まれている場合には、完全に抜け出すことはたやすいことではありません。
また、短期間で脱却できるものでもありません。
ですから、必死になってこれから抜け出す努力をするのは賢明ではありません。
この禁止令にとらわれている自分の行動を、さしあたり意識していればよいのです。
たとえば、集団に入れないときに「ああ、また、禁止令にとらわれているな」というふうに。
そのことによって、他の人をうらやんだり、自分を不当に傷つけたりすることから免れることができます。
強力な禁止令に対してはそれを克服する努力ではなく、その禁止令とうまく付き合っていくことを考えることです。
たとえば、「リーダーになることが似つかわしくなく」と感じている人は、それを克服してリーダーになろうとするのではなく、リーダーではない自己実現をめざすことです。
こうした禁止令が強く形成されている人は、努力してリーダーの地位を得ても苦痛なだけです。
実際部下を持つ地位に立ったり、集団に責任を持つ地位についた時点で、破綻を来たしてしまう例がいくらもあります。
ある良心的な中学教師は、教頭の地位についたとき、ひどい心身症に陥りました。
それで願い出て平の教師にもどり、生徒たちに慕われて定年まで勤めあげました。
ある研究者は部下を持つ室長の地位についたとたんにうつ病になってしまい、休職せざるをえませんでした。
そこで一研究員として復職し、以前と同様に研究者として立派にやっています。
ですから、こうした人は、人に指図する立場を求めるのではなく、たとえば、特定領域でのスペシャリストとしてやっていくなどの道を考えた方が賢明なのです。