自己肯定感を高めて自分を好きになれば自信を持てる
コミュニケーションの苦手な人がその能力を高める上で大事なことは、自己肯定感を育むことです。
自己肯定とは簡単に言えば自分を愛することです。
コミュニケーションをとる上では、この心を持つことが基本となります。
まず自己肯定感の高い人、すなわち自分のことを愛している人について考えてみましょう。
自己肯定感の高い人というのは自分の長所に気づくことができ、自分には価値があると思うことができます。
簡単に言えば自信があるということです。
そのため自己肯定感が高い人は、価値のある自分は人からも好かれると思いながら、自信を持ってコミュニケーションをとることができます。
心理学には自己成就的予言という言葉があります。
これは「自分の未来はこうなる(こうしたい)」と強く願っていると、その未来を実現するように行動していくので、実際に現実となることが多い、という理論です。
この自己成就的予言は、コミュニケーションにおいてマイナスに働くこともあればプラスに働くこともあります。
ここで、先に挙げた自己肯定感の高い人はこの自己成就的予言をプラスに働かせてコミュニケーションを成功させていきます。
自己肯定感が高い人は、まさに人から好かれると自信を持ってコミュニケーションをとるので、明るく社交的に振る舞い、実際に人から好かれることが多くなるのです。
そして実際に人から好かれた経験がさらに自身を深め、ますます人と接することが好きになるという正の循環が生まれてくるのです。
逆に自己肯定感が低い自己否定的な人、すなわち自分のことが嫌いな人はどうでしょう。
自己肯定感が低い人は自分の短所ばかりに目がいき、自信を喪失しています。
そのため、短所がある自分は嫌われると思いながらコミュニケーションをとってしまいます。
これは精神的に非常につらいです。
人と接すれば接するほど人から嫌われるのではないかという思いを常に抱きながら、人と接しなくてはなりません。
そうするとコミュニケーションをとること自体が嫌になってしまいます。
また、人から嫌われると思い込んでいる自己肯定感が低い人は自分に批判的であると思われる相手の態度や言葉に敏感になります。
ちょっとした軽い冗談でも気になります。
結果的に人の顔色をうかがいながら人と接してしまうので、会話を楽しむことができません。
会話を楽しめないと、うまく人間関係を築けなくなってしまいます。
このように自己肯定感が高い人とは逆に、自己肯定感が低い人は自己成就的予言がマイナスに働いてしまいます。
自分は周りから嫌われると思ってしまうと、それが現実となる可能性が高まるのです。
そこで、コミュニケーションが苦手な自己肯定感が低い人は「話し方教室」などに通い、改善しようと試みます。
しかし、思うような効果を得ることはできません。
コミュニケーションをいやいやとるような意識で勉強しても意味がないのです。
「好きこそものの上手なれ」ということわざがあります。
コミュニケーション能力を高める上でも、コミュニケーション自体を好きになることが一番大事です。
その土台となるものが自己肯定感なのです。
コミュニケーションにおいて基本となる大事なことは自分を好きになることです。
まずはそれを心に刻んでください。
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自己肯定感が育ちやすい人
では実際に自己肯定感を持つためにはどうすればいいのでしょうか。
前提として、人間の心のある重要な性質を理解しておきましょう。
それは「人間は一つの事しか集中して考えることができない」というものです。
人間は暗い気持ちのまま楽しい気持ちになることはできません。
悩みながら嬉しい気持ちになることもできません。
頭を抱えて落ち込みながら、前向きなことを考えることもできません。
逆に、楽しいことを考えているときは楽しい気持ち以外抱くことはありません。
前向きなことを考えているときも前向きな気持ちにしかならないのです。
このように、人間の心は二つのことを同時に考えるような仕組みにはなっていません。
「人間は集中して一つの事しか考えることができない」という性質をしっかりと認識しておくことが、落ち込んだときに自分のことを否定する癖がある人にとって、とても効果的だからです。
人間の社会は不完全です。
この不完全な社会ではいろいろな苦労が待ち受けています。
日々の生活、人間関係、仕事・・・不完全な社会で落ち込まないことなど不可能です。
落ち込むという感情がない人間は逆に不自然ですらあると思います。
しかし、仮に1時間という時間があったときに、この全ての時間を落ち込んで過ごしてしまったとしたら、それは人生において大きな損失であると言えるでしょう。
なぜなら、前向きに考えることもできた1時間でもあったからです。
前向きなことを考えた結果、今の自分をもっと好きになるための改善策を考えることができたかもしれないのです。
自己肯定感が育ちやすい人は、同じ時間でも前向きなことを考える心の癖が身についています。
自分の前向きな人生のために時間を使い、そして行動するのでどんどん自分のことが好きになります。
一方で自己肯定感が低い人は、ただただ悲観的に物事を考え、落ち込むだけで時間を過ごしてしまいます。
どんどんストレスが溜まってしまいます。
落ち込むだけでは状況は変わりません。
自己肯定感が低い人はいつまでたっても自分の環境を変えることができず、袋小路に追い込まれていってしまいます。
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例えば、くよくよ悩みやすい自己肯定感が低いA君がいたとします。
A君はある日、友人から「暗い人だね」と言われてしまいました。
誰でもそんなことを言われれば傷つきますし、落ち込むのは当たり前ですね。
ある程度の時間は落ち込まざるを得ないでしょう。
時間の経過と共に気持ちが切り替わるのなら良いのですが、自己肯定感が低い彼はいつまでも悩んでいます。
何度も何度も「暗い人だね」という言葉を心の中で繰り返し、一日の大半をその言葉に悩まされて過ごしていきます。
そして、次に人と会うときにはこれがトラウマとなり、びくびくしながら人と接するようになってしまうのです。
これに対して前向きなことを考える癖が身に付いているB君がいます。
B君もA君と同じく「暗い人だね」と言われたとします。
B君も人間です。
傷つき落ち込みます。
しかしB君はある程度の時間で気持ちを切り替え、「暗い自分を変えるにはどうすれば良いのか?」と前向きに考え始めます。
「そういえば笑顔が足りなかったかな?次からはもっと笑顔を絶やさないようにしよう」とか、「あいさつがハキハキできなかったかな?次はもっと大きな声で言おう!」
と原因と改善策を考えていきます。
そして、次に会ったときに実際に行動してみて、結果が良ければ自分のものとして、結果が良ければ自分のものとして、結果が悪ければ、また新しく次の行動を考えていきます。
コミュニケーションにおいてどちらの性格が有利であるかは言うまでもありません。
繰り返しになりますが、「人間は集中して一つの事しか考えることができない」
という原則をしっかりと心に刻みつけてください。
そして、与えられた時間を大事に使ってください。
落ち込まないでと言うつもりは全くありません。
落ち込むことは人間にとって大事な時間でもあります。
しかし、落ち込むことを習慣にすることはやめましょう。
何の改善策にもなりません。
ますます自分が嫌になり、出口の見えない迷路に迷い込んでしまうだけです。
苦しさ、悲しさ、寂しさでいっぱいの孤独でしかありません。
大事なことは、すぐにその心の癖を身に付けるように努力することです。
明日から、明後日からではなく、今この瞬間から始めてください。
後でやろう、そのうちやろうと思っていては永遠に変わりません。
今日から、この瞬間から前向きなことを考えるようにしましょう。
毎日そういった心構えで過ごしていれば、それは心の癖となり、自然と前向きに考えられるようになっていきます。