人間関係はダンスに似ている。
ワンツースリー、ワンツースリー。
おっと―「足、踏んでる」パートナーが言う。
それからしばらくは、スイスイとすべるようにおどる。
ここで彼が上体を沈め、ドシン!
あなたを落っことす。
彼はくるくる回って離れていき、またもどってきてあなたの手を取る。
カップルのおどりはこんな具合だ。
一方がディスコダンスを、もう一方がチャチャチャをおどっているときが必ずある。
どんな人間関係も簡単にはいかない。
過ちの二つや三つはつきものだし、足を踏むくらいはしょっちゅうだろう。
内向型同士だろうが、内向型と外向型のコンビだろうが、ややこしい足さばきを覚える必要はある。
自分の気質傾向が人との関係にどう影響しているのか、その点を少し学べば、あなたのダンスの腕は上がり、あまり相手の足を踏まないでスイスイおどれるようになるだろう。
また、お互いの気質を理解し合えば、人間関係の主な障害物である非難、批判、防衛心、隠し立ては減少するだろう。
異なる性格タイプがぶつかるとき
本質的に人間はみな、社会的動物であり、独立を求めながら、同時にデュオを組むことにも憧れている。
カップルたちはみな、満足できる関係を求める。
ただ、人によって”満足”の意味が違うだけだ。
ここでの話は、自分にとって何が満足なのかをはっきり知る手がかりとなるかもしれない。
人間関係はむずかしいものだ。
非常にうまの合うカップルでも、つまづくことはある。
気質の違いが、つまづきの可能性を高めることはたしかだ。
誤解はさまざまな理由によって生じる。
大事なのは、違いというのが致命的なものでないことに気付くことだ。
人間関係において、ちがいは特定の行動や態度となって表れる。
一方は動きが遅く、他方は速い。
妻は朝寝が好きだが、夫は早起きして、活動したがる。
夫は人付き合いが苦手だが、妻は一族郎党を家に招こうとする。
こうした違いは、よくも悪くもない。
あなたがそれをどう解釈するかなのだ。
ちがいは、ふたりの関係に興趣を添えるかもしれないし、仲を引き裂くかもしれない。
では、人間関係が繁栄するためにはどうすればよいのだろう?
二十五年にわたり人間関係を研究してきたジョン・ゴットマン博士は、結婚がどれだけ長続きし、カップルがどれだけ満足を得られるかは、ふたりが”ちがいという摩擦”にどう対処するかにかかっていると言う。
事実、ちがいの表面化を、カップルが絆を強めるチャンスと見ることは助けになる。
相手の行動をその人の特性や性格の表れととらえずに、拒絶や攻撃と見なすとき、人間関係は急速に悪化する。
「ぼくが話をさえぎられるのが嫌いなのは知ってるだろうに。きみはこっちの意見を聞きたくないんだな」内向型の夫は、外向型の妻にこう言うかもしれない。
しかし、ちがいを自分に対する攻撃ととらなければ、ダンスの新しいステップが生み出され、摩擦は解消されるだろう。
カップルは、ときに接近し、ときに離れることを学ばねばならない。
いつリードし、いつ従うべきか、ふたりの関係という絶えず変化するステップにどう適応するかを。
これから三種の組み合わせ―内向型の男性と外向型の女性、内向型の女性と外向型の男性、内向型の男性と内向型の女性―の関係について論じる。
どの組み合わせも、独自の利点と難点を持つ。
そしてどのタイプも、思いやりをもって話し合うことで関係を改善することができる。
例に挙がっているのはいずれも、異性愛者のカップルだ。
同性愛者は、三種のカップルのなかから自分たちの関係にもっとも近いパターンを見つけよう。
同性愛者の関係にも異性愛者と同じ利点と難点があるということだ。
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生まれつきの内向型
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内向型の男性と外向型の女性「彼と一緒にいると、イライラしてしまう」
文化的環境は、親密な関係のたどる道に大きな影響を及ぼす。
たしかに、男性が外向型で女性が内向型である場合も、摩擦はしばしば生じる。
しかし、調査の結果によれば、きわめて深刻な対立はその逆の場合―男性が内向型で女性が外向型であるときに生まれるらしい。
この組み合わせは、社会的条件付けに逆らっている。
多くの場合、内向型の男性は、外向型の女性に圧倒され、脅威を覚え、無視されていると感じる。
一方、外向型の女性は、内向型の男性の静かな性格を、弱気で、従属的で、頼りがいがないと思い込む。
また、ふたりは自分たちの関係に淋しさや物足りなさを感じる恐れもある。
この組み合わせも問題を解決することはできるが、お互いの持って生まれた気質を変えることはできない。
以前、夫婦仲が悪化したカップル、夫のAさんと妻のBさんが、セラピストの元へ悩みを相談に行った。
ふたりは数々の問題点を口にした。
数分後、セラピストは、このふたりは内向型―外向型カップルであると断定した。
夫Aさんが内向型、妻Bさんが外向型だ。
セラピストは、ふたりの関係において、あなたがいちばん不満を感じるのはどんなところか、とAさんにたずねた。
彼は話し始めた。
「とにかく理解できないんです。どうして、家でゆっくりくつろいで、のんびりしていられないのか―」「あなたはただ、すべてから逃げたいだけよ」Bさんが口をはさみ、さらに付け加えた。「この弱虫」Aさんはうつむいて、黙り込んでしまった。
「Bさん」セラピストは言った。
「まずAさん側の言い分を聞きたいの。あなたの意見はそのあとで聞かせてもらうから」数分の間、時計の音ばかりがチクタク鳴り響いていた。
それからようやくAさんが口を開いた。
「とにかくぼくは、もっとゆっくりしたいんです。ばたばたするのはいやなんです」彼は、Bさんのほうは見ずに、低い声でそう言った。
「Bさん」セラピストは言った。「あなたにとってゆっくりするのがなぜむずかしいか、説明してくれない?」「そんなのまるで棺桶のなかで眠ってるみたいじゃない」彼女はAさんを睨みつけた。
「こっちは、竜巻のなかで暮らしている気分だよ」Aさんはやり返した。
この争いの根底にある真の問題は、AさんとBさんがどちらも自分には欠陥があると感じていることだ。
Aさんはひそかに、自分はもっとペースをあげるべきだと思っている。
一方Bさんは、一休みすることを恐れている。
自らの気質に対する彼らの羞恥心は、引きこもりと非難とに表れている。
ふたりは、あるがままの自分では人に愛されないと思っているのだ。
このパターンが、夫婦関係に深刻な問題をもたらすことはおわかりだろう。
では、このようなカップルが、お互いの足を踏みつけないように、でこぼこをならすにはどうすればよいのだろうか?
それには、多少の高度な足さばきとたくさんの誠意とが求められる。
相手に何を期待しているのかを話し合ってみる
AさんとBさんには、自分の味わってきた失望について、また、ふたりの関係に自分が抱いていた期待や希望について、正直に話し合う必要がある。
正直な気持ちを語り合うのは、つらいことかもしれない。
Aさんは自分の不安や恐れにきまり悪さを覚えるだろう。
Bさんは、伝統的な男らしさのないAさんに嫌気がさしていることにうしろめたさを抱くだろう。
しかしお互いに心を開き、文化に根ざした自らの女性観・男性観について話し合わないかぎり、自分たちの関係における各自の役割を決め、その維持に必要な手続きを踏むことはできない。
対等な関係では、カップルの双方がお互いの要求に応え、それを満たそうとする。
双方が認められ、大事にされていると感じるものだ。
以下の提案は、出発点である。
それぞれの状況に応じて、応用してほしい。
まずは、ふたりの関係をテーマとする(中断のない)話し合いのスケジュールを組むことだ。
開始時間と終了時間を相談して決めよう。
たとえば、次週から四週にわたり水曜の夜八時、といった具合だ。
ちゃんとやれたら、好きなデザートを一緒に食べたり、映画を見にいったりして、自分たちにご褒美をあげよう。
時間が来たら必ず終了すること。
約束を守るのは、意外にむずかしいかもしれない。
もし問題が起きたら、その原因を話し合おう。
ときには、自分の気持ちや考えを話すのが怖いこともあるだろう。
そんなときは、それを認めた上で、もう一度、最初からやり直してみよう。
<一回目>
- ふたりの関係における自分のありかたをどう見ているか、それぞれが十五分程度使って、話す。
- 自分たちの父母が、彼らの結婚生活でどんな役割をになっていたか、話し合う。
- 自分の見解のみを話し、相手には相手の見解を話させる。
- 相手の言ったことを、それぞれが5分程度使って、まとめる。
- 相手に確認する―自分の要約はだいたい合っているだろうか?
- ちがう部分があったら、言い直す。
- 相手の協力に感謝する。
<二回目>
- 自分のありかたのプラス面、マイナス面について、それぞれが十五分程度、話す。たとえば、男性側は、「考え、観察することで結婚生活に貢献しているが、気持ちを語ろうとしないことで会話をへらしている」、女性側は、「家族のために多くのことを達成しているが、ペースを落とさないことで愛の行為のチャンスを減らしている」などと言う。
- それぞれが相手から聞いたことを自分の言葉で言い直し、誤解があれば、それを解消する。
- 今どんな気持ちかを、五分間、話し合う。自分の気持ちがよくわからなかったら、ときどき中断して、体の状態をチェックする。
- 相手がいまどんな気持ちなのか、自分の言葉で表現する。怯えている、不満を感じている、興奮している、消耗している、など。
<三回目>
- ふたりの関係における自分のありかたをどう変えるか、各自が二点ずつ選ぶ。
たとえば、女性側は、いつも自分の正しさを主張するのはやめる、過度に批判的にならないようにする、もっと聞き上手になる、くつろぐ練習をする、相手に主導権を握らせる、など。
また男性側は、もっと心を開く、絶えず罪悪感を抱くのはやめる、ときには主導権をとってみる、批判に立ち向かう、圧倒されたら心を鎮める、など。 - 次回、どれだけ自分の行動を変えられたか話し合う約束をする。
- 相手がもとのパターンにもどっているのに気付いても、絶対に責めないこと。
- 自分たちの勇気を認めよう!あなたたちは変化を起こした。これはいいことだ。
<四回目>
- 自分の行動を変えたあと、どんな具合かを報告し合う。
- 相手のどこがいちばん好きか、それぞれ十五分ずつ話す。たとえば、よく話を聞いてくれる、読んだ本について話してくれる、ときどき芝居に誘ってくれる、など。
- 相手の言ったことを自分の言葉で言い直し、誤解があればそれを解消する。
- 双方の気質に合いそうなデートの案を十分間、片っ端からだしてみる。たとえば、地元の歴史博物館を訪ねる、コンピューター・ショップへ行って新しいゲームをやってみる、バラ園を散歩する、新しいナイトクラブへ行ってみる、など。
- 相手が提案したことをやりたいかどうか、話し合う。日を決めて、翌月中にどれかひとつを実行する。
- 約束の日を予定表に書き込む。
- 責任をもって、約束の夜(または昼)の計画を立てること。
- 自分たちを讃えよう。これは楽しいと同時に、大変な作業なのだ!
さあ、これで練習ができた。
今後もふたりの関係について話し合っていこう。
コミュニケーションは、環になっている。
あなたたちは、同等にやりとりしただろうか?
一方ばかりが独占放送してはいなかっただろうか?(もちろん、ときにはそういうこともあるだろうが、全体としてはどんなパターンだっただろう?)もし一方が支配的であるなら、もう一方がもっとうまく意志を伝えるためにはどうすればよいのかを話し合おう。
たとえば、内向型の男性はパートナーに、もっとゆっくり話し、自分が言葉を返す時間を残しておいてほしいなどと言う。
外向型の女性は、彼の考えを聞けないと心が通っていない気がするなどと話す。
あるいは女性側が、彼の話を聞いているときの自分の気持ちを語ってもいい―不安になる、気が散る、不満を感じる、時間がもったいない、興味を持っている、等。
一方、男性側は、話しているときの自分の気持ちを話す―緊張する、無防備な気分になる、楽しい、等。
いつか一日を、相手のペースで過ごしてみるのも、非常にいい訓練だ。
その際には、パートナーのペースで過ごすときの自分の気持ちに注目しよう―落ち着かない、気が散る、退屈だ、ゆったりできる、不満を感じる、等。
また新たな話し合いをセッティングし、テーマを決めよう。
たとえば、摩擦をどう処理するか、ふたりのエネルギー・レベルのちがいについて、といったテーマだ。
ふたりの関係のプラス面について話すこともお忘れなく。
このタイプの組み合わせには、いろいろと利点がある。それを楽しむことだ。
内向型男性と外向型女性の利点と難点
内向型男性と外向型女性のカップルの利点は―
- 伝統的な関係よりも、女性が力を持つ。
- 男性が女性の言うことに耳を傾け、その意見を重んじる。
- 男性が無理をして主導権を握らずにすむ。
- 双方が自由を持てる。また、お互いの活動レベルのバランスをとることができる。
内向型男性と外向型女性のカップルの難点は―
- 男性が女性に圧倒されたり、息苦しさを感じたりする恐れがある。
- 女性側の情緒的欲求が満たされず、その要求が厳しくなる可能性がある。
- 女性が自分のパートナーを恥じる可能性がある。彼女は、彼を弱気、受け身、あるいは、回避主義的と見なすかもしれない。
- 男性側が自尊心を失う恐れがある。
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内向型の女性と外向型の男性
いつもわたしばかりが振り回される
気質のちがう者同士のカップルでもっとも多いのが、内向型の女性と外向型の男性という組み合わせだ。
このタイプもなかなか油断がならない。
忘れないでほしい。
内向型/外向型連続体はすべての人のなかにあるのだ。
仮に昼の間ずっと自分の支配的な側にいたとしても、その後、条件が整ったときに、反対側へ移行するかもしれない。
こうした変動は、このタイプのカップルにもっとも顕著に見られる。
多くの場合、外向型の夫は、外向的欲求を仕事によってほぼ満たされ、帰宅することには休憩したくなっている。
そのうえ、彼は親密な会話が苦手なのだ。
これに対して、内向型の妻は、自分の内向的欲求を夫によって満たそうとする。
彼女にとって、夫は楽になれる相手だからだ。
彼女は親密な会話を求めている。
そのため傍から見ると、まるで内向的なのは夫、外向的なのは妻であるかのように見える。
妻は会話を求め夫は安らぎと静けさを求めているからだ。
しかし傍目にどう見えようと、だれが内向型でだれが外向型かは、その人の基本的なエネルギー補給法によって必ず明らかになる。
夫のJさんと妻のRさんは、第2子が生まれたばかりのときに、セラピストのもとへやってきた。
終始、喧嘩を繰り返していて、もうどうしようもないという。
ふたりはどちらも、エネルギッシュで、話し好きで、創造的なタイプであり、ユーモアのセンスも抜群だった。
彼らは共同で高級婦人服の販売会社を所有していて、事業を拡張しつつあったのだが、お互いに失望し、ひどい負担を感じていた。
二人の生活は、ストレスでいっぱいだった。
この例には、人間生活につきものの流動的な面が表されている。
ストレスや危機は、わたしたちの物事への対処法を露呈する。
だからこそ、(いいことでも悪いことでも)大きな出来事―たとえば、死別、結婚式、家の改装、病気、傷心、子どもの独立など―は、離婚につながるケースが多いのだ。
カップルが変化(つまりストレス)に適応できなければ、関係は悪化しはじめる。
まだ第2子が生まれず、仕事もさほど忙しくなかったころ、JさんとRさんは自分たちの気質の違いに気付かないまま、対照的なお互いのやりかたをうまく補完し合っていた。
Jさんは外向型だ。
彼はセールス、会議、顧客の接待を受け持った。
Rさんは内向型だ。
彼女は従業員の管理やJさんのスケジュールの調整に当たり、主に自宅で働いて、週に2、3日、出社した。
これまで、Rさんの情緒的欲求は、女友達とのおしゃべりや日々の仕事によって満たされていた。
彼女はJさんに多くを求めなかった。
Jさんは外に出て活動し、自分の情緒的快適ゾーンでその役割を果たしていた。
顧客に会ったり、ゴルフをしたり、出張に出たりする自由もたっぷりあり、Rさんにもとても大事にされていた。
ふたりにとって、過去の関係は満足のいくものだった。
ところが、いまではそれがうまくいかない。
子守りはいるものの、Rさんは会社で過ごす時間を減らし、家で過ごす時間を増やさねばならなかった。
彼女は心の支えをJさんに求めた。
Jさんは家庭と仕事の両方で増していく重圧によって、追い詰められた気分になった。
Rさんはオフィスで彼を助けようとせず、子どもにばかりかまけている。
そのため彼は、Rさんは自分に関心がないのだと思った。
また彼は、管理や運営が不得手なのを自覚しており、Rさんの仕事を引き継ぐことを恐れていた。
Rさんは家庭と仕事の板挟みになって疲れ果て、Jさんは不安をかかえこんで絶えず心配ばかりしていた。
早急に手を打たねばならない状況だった。
まず、RさんとJさんは自分たちの関係の現状について、自分自身やお互いを責めるのをやめなくてはならない。
パターンを変えるのは、難しいことだ。
しかし困難とともに、チャンスも訪れる―新たな状況は、ふたりに成長のきっかけを与えてくれる。
Jさんにとってこれは、人間関係や管理能力を向上させ、不安なときも自力で乗り切ることを学ぶよいチャンスだ。
Rさんのほうは、助けを求め、不満を言葉にし、罪悪感を解き放つ能力を磨くことができるだろう。
つぎに記したのは、JさんとRさんに効果のあった解決策である。
人間は二歩進んで一歩さがり、また二歩進むことで変わっていく。
このことを忘れてはならない。
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自分から変わらなければ相手は変わることはない
各自、自分もいくらかは変わらねばならないことを認識しよう。
●自分たちの気質について、また、各自が変化によってどんな影響を受けているかを話し合う。
例えば、外向型の男性は、どういうときに追い詰められた気分になるかをパートナーに説明する。
内向型の女性は、ひとりで放り出され、家族への責任を背負わされたと感じていることを説明する。
●それぞれが変わるのに何が役立つかを話し合う。
たとえば、女性は、静かな時間、話を聞く姿勢、家事の分担を求めていることをパートナーに説明する。
男性は、どうすれば家庭と仕事のバランスがとれるかを話してみる。
●それぞれの要望を非難を交えずに出し合う。
非難は仮面をかぶった恐れだ。
それは自分のほしいものを率直に求めることで、緩和される。
双方にとって満足のいく状況がもたらされるよう交渉しよう。
それぞれが何かを得て、何かをあきらめるようなかたちに持っていくこと。
男性側はあらかじめ、自分が非難がましくなったら注意してほしいと言っておこう。
女性側は、ふたりの問題のすべてに責任を感じたりしないこと。
●両者がふたりの関係にバランスをもたらしていることを認識する。
女性側は安らぎを、男性側は活発さをもたらしている。
●男性側は、自分の恐れや弱さについて語る練習をし、女性側は、不満や失望を口にする練習をする。
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外向型男性と内向型女性カップルの利点と難点
外向型男性と内向型女性のカップルの利点は―
- 女性が男性の言うことに耳を傾ける。
- 女性が活動的、社交的になるよう、男性が仕向ける。
- 男性が女性の時間をほとんど求めないため、女性は自由な時間をたくさん持てる。
- 女性がひとりでいるのが好きなので、男性はより自由に行動できる。
外向型男性と内向型女性のカップルの難点は―
- 男性側が愛の行為の技巧に欠けることが多い。
- 女性が自分の考えや気持ちを話さない恐れがある。
- 男性がふたりの関係の問題点をすべて女性のせいにし、女性はその非難を受け入れる、あるいは、無視する恐れがある。
- 女性が自分の要望を率直に伝えられない可能性がある。
内向型と内向型
心地いいけど、退屈だわ
あるセラピストがインタビューした内向型―内向型カップルの多くは、現状のままでとても幸せだった。
彼らは、表に雪が降り積もっているとき、ふたりで読書したことなどを語った。
あるいは、ボードゲームをした夜のこと、森をハイキングしたこと、一緒に行ったコンサートのことを。
彼らの多くが、自分のもとの家族といたときよりも、いまのほうが気が楽だと感じていた。
どうやら内向型同士はお互いによいパートナーとなるようだ。
しかし、たとえそれが非常に満足のいく関係だったとしても、同じことが延々続けば、マンネリ化を感じはじめるかもしれない。
セラピストのもとへセラピーを受けにきた内向型同士のカップル、TさんとPさんは、七年間いっしょにいて、うんざりしはじめていた。
Pさんは言った。「毎晩、同じことの繰り返しなんです。うちですわって、テレビを見るか、本を読むかで」Tさんも同意した。
「何もかもPさんと一緒にさせられているような気がするんです。
たまには、自分の友達と出かけたいんだけど」
これは、内向型同士のカップルにときどき生じる問題だ―外からの刺激や友達づきあいの不足。
それに、過剰な要求と期待という重圧のもとでは、どんな関係もうまくいかない。
内向型同士の関係では、一方、または双方が鈍麻し、生気を失う恐れがある。
なんでもいっしょにするのに慣れてしまうと、余暇を別々に過ごすのには勇気がいるだろう。
少々飽きてはいても、パートナー抜きで何かを始めようとすれば、不安を覚えるにちがいない。
さらに、長いことべったりくっついていたカップルが、病気、子どもの問題、失業などのストレスに見舞われると、すべてが崩壊しかねない。
内向型同士のカップルは、何か事があるまで、自分たちの問題に目をつぶっていることが多い。
いったんぬるま湯からはじき出されると、通常、こうした関係はこっぱみじんに吹っ飛ぶ。
自分たちの行き詰まりに気付き、爆発の前に脱出をはかることができれば、カップルが外からの脅威を乗り越える確率はずっと高くなる。
以下は、その第一歩を踏み出すための助言―マンネリから脱却する方法である。
- 立ち止まって、自分たちの関係が停滞していることに目を向けよう。お互いに、「ちょっと飽きてきていない?」と聞いてみよう。
- 週に一度、友達や他のカップルと会う約束をして、つきあいを広げよう。
- もう少し外に出掛けること。月に一度、ふたりでデートしよう。手配は交替で。
- ひとりで何かやってみよう。それぞれ別の友達や自分だけの趣味を持つのは、健康的なことだ。
- 何か変わったことをいっしょにやる計画を立てよう。例えば、行ったことのない場所へ遠乗りする、新しいレストランで食事をする、お互いに相手の好きなアイスクリームを食べてみる、やったことがなければボウリングに挑戦する、など。
内向型同士のカップルの利点と難点
内向型同士のカップルの利点は―
- お互いの話によく耳を傾ける。
- 物事を辛抱強くじっくり考える。
- お互い、相手にプライバシーと静けさが必要であることを理解できる。
- ほとんど摩擦が生じない
内向型同士のカップルの難点は―
- 外界と接触しなくなる恐れがある。
- あらゆることを自分たちの視点からとらえる傾向がある。
- 摩擦や行き違い、別々の欲求についての話し合いを避ける傾向がある。
- 情緒面でお互いに頼りすぎる恐れがある。
ふたりで上手におどる方法
だれかとカップルになれば、人間関係を維持するためには、たゆまぬ学習とスキルアップが必要であることが、0.5秒でわかるだろう。
つぎに記したのは、ダンス上達のための助言―内向型・外向型のあらゆる組み合わせに有効なものだ。
完璧な人間関係などないということをお忘れなく。
ただし、わたしたちは、よろよろと墓穴に這い込む日まで、ずっと上達しつづけられる。
1.相手のメガネをかけてみる
外向型のMさんは、足取り軽くホテルのロビーを進んでいった。
躍動する虹色のライトと、にぎやかに行き交う人々。
笑い声と鳴り響くコインの音。
隣接するレストランのセルフサービス・カウンターの豊かな匂い。
彼はそのすべてを楽しんだ。
ホテルの傾いたエレベーターで部屋に昇っていくときは、その目新しさに胸をおどらせた。
彼は早くも、きたる夜の”刺激”に期待し、活動と興奮を体感したがっていた。
内向型であるRさんの現実は、まったくちがったものだった。
目を眩ませるまぶしいライト。
スチールの受け皿で炸裂するやかましいコインの音。
息をつまらせるタバコの煙。
狭い通路でのひどい混雑。
Rさんは逃げ出したかった。
そうして、よろよろとエレベーターにたどり着き、部屋にもどったのだ。
カップルたちは、自分では意識せず、独自の気質のメガネをかけたまま、関係に足を踏み入れる。
わたしたちのレンズは、遺伝子、生理、子ども時代のしつけ、感情の履歴、社会的階級、教育、友人などによって研磨されている。
どのレンズにもきちんとした処方箋があるので、どの目に映る景色もその人にとっては真実であり、正確なものだ。
ただし、あくまでもその人にとっては、そうなのである。
健全な関係に不可欠なのは、あなたが自分のメガネで世の中を見ているのに気付くことだ。
自分の目に映る景色を正しいものだと思い込むと、わたしたちは関係のなかで苦闘することになる。
ならばラスベガスでのMさんの経験は間違いだったのだろうか?
いや、そうではない。
ではわたしの経験は?
これも然り。どちらも―それぞれにとっては―正しかったのだ。
Mさんとわたしは、自分の持つ唯一のメガネをかけていた。
人間が持ちうるのは、自分なりの経験だけだ。
自分自身の物事のとらえかたがわかったら、今度はパートナーのとらえ方を理解しにかかる番だ。
別の人の目にはこの世界はどう映っているんだろう?
そんな疑問を抱かせるのは、好奇心である。
「どんなだろう?」というのは、大事な言葉だ。
「あなたにとってはどうなの?」「あなたはなぜそれが好きなの?」「別の気質を持っているのはどんな感じなの?」好奇心によって、関係は育ち、発展する。
コミュニケーション方法に合わせた会話術
どんな関係であれ、内向型と外向型のコミュニケーションにおいてもっとも大事なのは、その気質のちがいゆえに、それぞれが異なる形で自己表現しているのを知ることだ。
一方には自国語であるものが、他方にはちんぷんかんぷんであることも多い。
どちらの方式がいいとか悪いとかいうことではない。
どちらにもそれぞれの長所と短所がある。
双方の方式を理解すれば、あなたたちはお互いの言語を”翻訳”し、協力し合えるようになる。
では、各方式がどんなものか見てみよう。
内向型人間のコミュニケーション方式は―
- エネルギーや熱狂や興奮を内に秘め、ごく親しい人とのみ分かち合う。個人的なことはなかなか他人に打ち明けない。
- 質問に答える前に考える時間を必要とする。外界の出来事に反応する前に、熟慮の時間を必要とする。
- 一対一のコミュニケーションを好む。
- 話を引き出してもらうか、話すようすすめてもらう必要がある。口頭より文字によるコミュニケーションを好むこともある。
- ときとして、話していないことを話したと思い込むことがある(いつも頭のなかで話す内容を検討しているため)。
外向型人間のコミュニケーション方式は―
- エネルギーや熱狂や興奮を、近くにいるほぼだれとでも分かち合える。
- 質問や外界の出来事に対する反応が速い
- 個人的なことを気楽に話す。
- 一対一でも、グループのなかでも、同じように気軽に楽しく会話できる。
- 他人とやりとりしながら声に出してものを考え、そのプロセスのなかで結論に達する。また、他人に話す機会を与えないことも多く、言っていることに深い意味はないこともある。
- 文字よりも口頭による直接的なコミュニケーションを好む。
内向型のパートナーとの会話術のコツは―
●パートナーにその日の出来事をたずねてみる。内向型の人は、こちらから引き出さないと話をしないことがある。
●途中で話をさえぎらない。内向型の人は、再度、話しだすのにエネルギーを必要とする。相手の話を最後までちゃんと聞き、それから自分の考えや気持ちを話すこと。
●ときには、文字でコミュニケーションをとる。内向型の人にとって、書き言葉は過剰な刺激になりにくく、取り込みやすい。電話のそばにカードを置こう。または、相手のランチボックス、スーツケース、ブリーフケース、ポケット、枕の上にメモを。
●小休止を楽しむ。何度か深呼吸をして、ただすわっている心地よさを味わう。しばらくふたりきりで過ごしてみる。パートナーのペースに合わせる。
●あなたのパートナーは、場合によっては、話すためにかなりのエネルギーを使っている。そのことに気付いていると相手に伝え、感謝の意を表そう
外向型のパートナーとの会話術のコツは―
●短く明快に話すようにする。そうすれば、外向型のパートナーももっと楽にあなたの話が聞けるだろう。
●必要なときは、恐れずにどなったり、大きな声を出したりしよう。あなたには刺激が強すぎるかもしれないが、より外向的なあなたのパートナーは、声を大きくしないと本気だと思ってくれないことがある。
●頭に浮かんだことをそのまま言う練習をする。いつもリハーサルするのはやめよう。
●気にせずに間をとる。外向型のパートナーの超特急ペースについていく必要はない。
●あなたは決断に時間がかかるし、心にあることをいつも口にするとはかぎらない。そのことがどれだけ相手の負担になっているか、気付いていることをパートナーに伝えよう。
●パートナーに対する自分の気持ちを本人に伝える。これは忘れがちなことだ。相手は、自分への関心を言葉にしてほしがっている。メモやEメール、たくさんのキスを贈ろう。賛辞も忘れないこと。
3.かわりばんこにわがままを通す
一方ばかりがいつも意思を通していたのでは、どんな関係もうまくいかない。
カップルの双方が自分のほしいものを少しずつ得ていると感じれば、関係はスムーズにいく。
そうでなければ、憤懣がたまるだろう。
それに、ときおり失望を味わうのは誰にとってもよいことだ。
そうした経験は感情面の筋力を鍛えてくれる。
喪失感や失望をまったく味わわずに一生を送れる人はいない。
そのつらさに耐える力、自分の気持ちについて考え、どう行動するか選択しようという意識は”品性”を育てる。
品性のある人は、己を信頼することができ、健全な人間関係を築く。
なぜなら彼らは、自分が人生の波風に耐えられることを知っているからだ。
自分たちの必要と欲求について考えてみよう。
そうすれば、あなたたちカップルは、双方とも、より健全なパートナーとなれる。
お互いの要望を相手に伝え、交渉するすべを学ぶことが、関係を持続させる秘訣である。
●休止時間が必要であれば、パートナーにそう伝えよう。相手に、活動時間が必要かどうかたずねてみよう。
●計画を立てるときは、内向型と外向型のエネルギーのちがいについて考えよう。
●内向型、あるいは外向型であることを批判したり、理想化したりしないこと。
●パートナーのパワーが落ちていることを示す危険信号を覚えよう(内向型の場合は、怒りっぽくなる、疲れを見せる、など。外向型の場合は、そわそわしている、退屈している、刺激の欠乏により機能停止におちいっている、など)。自分のバッテリー不足を相手に知らせる方法について話し合おう。
●二人で一緒にすることと別々にすることのバランスをとろう。
●パートナーに気の進まないことをしてもらうときは、必ず感謝の気持ちを伝えよう。
4.お互いの気質の違いに感謝する
内向型の妻のRさんは外向型人間のMさんと暮らしてきて、大切なことを学んだ。
それは、自分たちの違いに感謝することだ。
Mさんがどんな道でも行ってみたがるおかげで、Rさんは数々の旅を経験してきた。
舗装されていないさまざまな道を探検したし、あるときなど、レンタカーの保険が適用されないハワイ奥地の河床まで走った。
パートナーの外向的な世界をのぞくチャンスが得られたことに、Rさんは感謝している。
Mさんは数々の緑豊かなゴルフコースをRさんに見せてくれたし、単独では決して会うことのなかった多種多様な人々にRさんを引き合わせてくれた。
Mさんの気質は多くのものを提供してくれる。
Rさんの気質も同じだ。
自分の世界と彼の世界がまったくちがうからといって、自分があるいはパートナーがおかしいということにはならない。
人間がみな同じだったら、この世界はひどく退屈だろう。
世の中を豊かにするには、わたしたち全員の能力と限界とが必要だ。
人は、その帰属集団に各構成員がもたらすものを享受することで成長する。
健全な人間関係を維持するもっともよい方法は、お互いに感謝することだ。
内向型の人は、パートナーへの感謝をなかなか口にできない。
なぜそれを言葉にしなければいけないのかさえ、よく飲み込めないだろう。
一方、外向型の人は、外での活動の忙しさにかまけ、家で感謝の念を表すことを忘れがちだ。
パートナーに感謝しよう。
これを意識することは、すばらしい効果をもたらす。
自分と相手の気質を意識することから始めよう
内向性と外向性は、人間関係にさまざまな影響を及ぼす。
自分自身とパートナーの気質を理解すれば、ふたりのちがいのもたらす心理的影響への、あなたの意識は高まるだろう。
人はそれぞれ、ただ反射的に反応する代わりに、関係をどう育てたいかを考えることができる。
無意識の関係は、距離や苦痛やすれちがいを招く。
意識しなければ、私たちはただ、回し車のなかのハムスターのように同じパターンを繰り返すばかりだ。
パターンを変えるのはむずかしい。
しかしそれは、生涯あなたの宝となる、感情面の筋肉を鍛えてくれる。
またそれは、ときに楽しいことでもあるのだ。