生まれ持った内向性を大事に育む

多くの社会において、せわしなく駆け回り、多数の人と交流することは、高く評価されている。

しかし、そうしたやりかたは、内向型の人には向いていない。

活動しつづけようとすれば、エネルギーはどんどん失われ、すぐ底をついてしまうだろう。

燃料補給の道を断たれれば、わたしたちは自らの独特な天性を見過ごし、それをはぐくむのをやめてしまうかもしれない。

しかし内向型人間が機能するためには、小休止、一人の時間、回復のための環境が絶対不可欠だ。

この三つがなければ、人生は疲労困憊の連続の長い道のりと化すだろう。

ガス欠の車を走らせることを想像してほしい。

それを進ませるには、うしろに回って押すしかない。

内向型の人はよく、自らを無理やり押して進ませようとする。

彼らがしばしば疲労感を訴えるのは、このためだ。

ときとして彼らは、外向型の人のように精力的になろうとして、怒り(アドレナリンを分泌させる)、不安(心拍数、血圧、血糖値、ストレス・ホルモンを増す)、カフェイン(フルスロットル・システムを刺激する)、麻薬(通常、体を活性化するコカインの類)を利用する。

自分が無理しているのに気付かなければ、病気になる恐れさえある。

彼らは体を壊すまで、自分が不安やアドレナリンを動力としていることに気付きもしないのだ。

内向型の人の天然資源を育む

自らをはぐくむとは、必要とされる特別なケアを自分自身に与えることだ。

『欲求の植物誌』の著者、マイケル・ポーランはこう述べている。

「チューリップは内向的な花である」チューリップは移された土地になじむ。

つまりその地で、年ごとによりたくさんの花を咲かせるのだ。

だがそれと同時に、毎年、力を蓄える休眠期間がなければ花を咲かせることができない。

また、日光と水と肥料を必要とし、植える深さは適切でなくてはならず、植える場所も適切でなくてはならないのだ!

ここでは、あなたの繁栄に必要な特別な条件について述べようと思う。

優美なチューリップと同じように、あなたの天性も少し逆説的だ。

これは少しも恥ずかしいことではない。

適切な条件を与えられれば、チューリップは丈夫であり、他の多くの花よりも長く咲く。

その一方、条件がよくなければ、まったく咲かない。

なぜあなたの天性には、特別な条件が必要なのだろう?

内向型人間の生理は、休息し消化する側の神経系、スロットルダウン・システムとむすびついている。

そのため体のあらゆる部分が、資源を保存する方向へ働くのだ。

わたしたちは、物思いにふけり、休眠するようにできている。

脳はあまり”快感のヒット”を放たない。

四肢を始動させるときは、意識する必要がある。

また、低血糖、低血圧で、呼吸は浅く、睡眠障害や緊張性の頭痛を起こしやすく、ときおり枯渇感に見舞われ、混乱をきたす。

身体的なエネルギーをあまり持たないわたしたちは、超ハイオクガソリンをちょくちょく補給しなければならない。

加えて、蓄えたエネルギーで自らに再充電する必要もある。

その方法のひとつが、外界からの刺激を抑え、休息時間をつくることだ。

ところが、内向型の人の多くは、その孤独を好むひかえめな性格をずっと非難されてきたため、効果的な元気回復法を編み出そうとさえしていない。

いまこそ、それを変えるときだ!

■参考記事
内向型と外向型はどこが違う?
内向型人間の心理
生まれつきの内向型
パートナーの内向型、外向型組み合わせ特徴
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エネルギーを貯蔵する

エネルギーは、快適に生きるためにわたしたちが用いる燃料だ。

最新の研究によって、燃料を最適レベルに維持する方法について、大切なことがわかった。

エネルギーを囲いこむための第一歩は、それがどのように、どんな理由で増減するかを理解することなのだ。

エネルギーと言うとき、ほんとうのところ何を指しているのだろう?

エネルギーはいたるところに存在する。

それは通常、目に見えないが、さまざまな事象を引き起こしている。

生きとし生けるものはみな、絶えずエネルギーを消費している。

エネルギーなしには何者も、動きえず、働きえず、変化しえない。

エネルギーは運動、電気、熱、音、光、核などさまざまな形をとる。

手に持つことはできないが、日射しのぬくもりや光を楽しむとき、わたしたちは太陽エネルギーを感じることができる。

また、吹き寄せる風やなだれ落ちる滝のパワーは音として聞こえるし、疲労と空腹がつづいたあと、栄養のある食事をとれば、エネルギーとスタミナがもどってくるのがわかる。

熱力学は、エネルギーを研究する物理学の一分野だ。

熱力学の第一法則は、エネルギーは変換されるが、つくったり破壊したりすることはできないというもの、第二法則は、エネルギー(自由エネルギーという)を利用し、変換すると、それは無秩序状態になり(エントロピーという)、ふたたび秩序化されるまでは再利用できないというものだ。

これは、繰り返されるサイクルである。

その結果、エネルギーは絶えず自由エネルギーの状態からエントロピーへ、そしてまた自由エネルギーへと変化している。

外向型の人は、外に出かけ、外界と交流することで、無秩序なエネルギーを自由エネルギーに変換する。

内向型の人はじっとしていることで、無秩序なエネルギーを自由エネルギーに変換する。

あなたは自分に充分な休養時間を与えているだろうか?

資源が底をつきかけると、睡眠障害や摂食障害を起こしたり、風邪をひきやすくなったり、頭痛、腰痛、アレルギー症状に始終見舞われたりする恐れがある。

また、以下に挙げるような症候も現れるかもしれない。

これらの危険信号は、あなたがエネルギー危機におちいっていることを告げるものだ。

以下の症状がひとつでも出たら、リフレッシュすべき時だ。

  • 不安、焦り、いらだちを感じている。また、怒りっぽい。
  • 思考力、集中力、決断力が低下している。
  • すべてがめまぐるしく感じられ、混乱し、あたふたしている。
  • 追いつけられた気分で、生きている意味がわからない。
  • 枯渇し、消耗し、悩まされ、へとへとになっている。
  • 自分が自分でないような気がする。

自然は人間に、乱れたエネルギーを秩序あるエネルギーへと変換する数々の方法を与えてくれた。

運動、栄養のある食物の摂取、五感に注意を払うこと、瞑想やヨガの実践、マッサージを受けること、休暇をとること、回復をもたらす環境をつくること。

あるいは、家族や友達と交わること、人生の目的に集中すること、宗教やスピリチュアリズムから心の平和を得ること。

自然はわたしたちに、自らを育む方法を各種とりそろえて提示しているのだ。

■参考記事
内向型人間の楽になる人付き合い
内向型の人の仕事が楽になる方法
内向型の自分で楽に生きる方法
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休憩をとって、心を楽にする

遺伝子の研究は、内向型の人が外向型の人に比べ、いったん消耗すると再編成までに時間がかかることを明らかにした。

理由は何かって?

神経末端の受容体サイトにおける、神経伝達物質の再取り込みが遅いからだ。

つまり、内向型人間が元気を取り戻すためには、休む時間がよりたくさん必要なのである。

内向型のあなたは、(たとえ自分では必要を感じていなくても)休憩を組み込むことで消耗を回避できる。

短いお昼寝タイムや一服する時間を予定表に記入しよう。

派手な色のペンを使って、”休憩”と書き込むとよい。

二時間に一度、十五分ずつだ。

スケジュールどおり、きちんと実行すること。

一、二週間、そのような休憩をとって、自分がどう感じるか試してみよう。

内向型のアニメ映画監督、テッドはこう言っていた。

「以前の僕は、精も根も尽き果ててから初めて休みをとっていました。ところがどうも仕事が追いつかなくてね。いまでは、短い休憩をいくつもスケジュールに組み込んでいます。そうしたら、以前のように無理したあげくに低迷することもなくなりましたよ」

休憩は、そのとりかたさえわかっていれば、内向型人間に不可欠な鎮静もしくは覚醒のエネルギーを生み出す最良の手段となる。

<十五分休憩>

  • 目を閉じる。体の緊張を解く。砂浜、湖、松林をそよぐ風を思い描く。
  • 短い散歩をする。
  • 伸びをし、あくびをする。うたた寝をする。
  • レモン汁を数滴加えた、お茶か水を一杯飲む。
  • 宙を見つめ、頭を空っぽにする。
  • 筋肉を緊張させ、それから力を抜く。ふたつの状態のちがいを意識する。
  • 足を高くして、冷たいタオルか温かいタオルを額に載せる。
  • ほほえみを誘うような出来事を思い出す。
  • おもしろいウェブサイトを見る。
  • コンピューターゲームで遊ぶ。クロスワードパズルをやる。雑誌をぱらぱらめくる。漫画を読む。旅行のパンフレットを眺める。
    何か数行、日記に書く。
  • 子供用のおもちゃで遊ぶ。

<三十分休憩>

  • 昼寝をする。
  • 散歩をする。
  • 雑誌の記事をひとつ読む。
  • 通信販売で何か注文する。
  • 遠回りをして眺めのよい道を通る。
  • 子どもやパートナーのために、サプライズのイベントを企画する。
  • インターネットで古い友達をさがす。
  • 習慣を破り、いつもとは逆になにかやってみる。

<二時間休憩>

  • 書店へ行き、それまで勉強したことのない分野の棚を眺めて歩く。
  • お弁当と好きな本を持って景色のいい場所へ行く。
  • 博物館や歴史的建物を訪れる。
  • 公園や庭園など美しい場所にすわって、空想にふける。
  • ハイキングに行き、夕日を見る。
  • パートナーと足や背中や肩をマッサージし合う。
  • 顔のパックと、冷たいアイパッドと、癒し系の音楽でくつろぐ。
  • クッキーをつくって、職場や子どもの学校へ持っていく。
  • ジグソーパズルを始める。
  • つぎの休暇の計画を立てる。
  • 古いアルバムやホームビデオを見る。
  • 窓から見えるところに花を植える。
  • ゴルフの打ちっ放しをする。
  • 凧をあげる。

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自分に甘やかすための休みをとる

その遅めのテンポゆえに、内向型の人はしばしば自分は働きが足りないと感じ、結果として短い休憩しかとろうとしない。

週末の一日をパジャマのまま本を読んだり、くだらないテレビを見たりしてベッドで過ごすようすすめると、クライアントたちは疑わしげにセラピストを見つめる。

「一日中、ベッドにいていいんですか?」一度試してみて、なおかつ、さほど罪の意識を感じずにすんだ場合、彼らはしばしばそのリフレッシュ効果に驚く。

いつもとまるでちがうことをしてみるのもまた、エネルギー回復のいい方法だ。

例えば―

  • 古い映画を三本借りて、途中に散歩タイムをいれながら鑑賞する。
  • 終日のミュージック・フェスティバルに参加する。
  • デイスパへ行き、フルコースでトリートメントを受ける。
  • 電車でよその街へ行き、ランチをとり、また電車で帰ってくる。
  • 友達のひとりかふたりと思い出話をして、一日を過ごす。
  • 自分の住んでいる街のホテルに一泊する。
  • どこか野の花の咲き乱れるところへハイキングに行き、お弁当を食べたり、写真を撮ったりする。
  • 好きなCDに合わせて歌いながら、車で遠乗りする。

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深い呼吸で気持ちを楽に

あなたは一日中、息を吸い、息を吐いている。

しかしそれを意識したことは、きっと何日も、何週間も、いや、もしかすると何カ月もないだろう。

酸素は生きるために不可欠だ。

それは、生命維持に必要な栄養を筋肉へと運び、頭脳を明晰にし、充足感を維持することで、あなたのエネルギー・レベルを高める。

あなたの体のあらゆる細胞が酸素を求めている。

あなたが呼吸すると、酸素が体内に取り込まれ、二酸化炭素が排出される。

充分に深く呼吸していなければ、酸素レベルは大幅に低下し、二酸化炭素レベルが上昇して血中の酸の濃度が高まり、結果として、頭は朦朧とし、気分も悪くなり、不安が増幅される。

自己批判に走らずに、自分が通常、どのように呼吸しているかに注目してみよう。

あなたの呼吸は深いだろうか、それとも、浅いだろうか?(内向型の人の呼吸は一般的に浅い。これは彼らが、呼吸を遅くするスロットルダウン・システムにたよっているためだ)

あなたの吸う息と吐く息の量に差はないだろうか、それとも吸う息のほうが吐く息よりも大きいだろうか?

呼吸するとき胸はふくらんでいるだろうか?

しばしば息を止めてはいないだろうか?

ため息はよくつくほうだろうか?

健康的な深い呼吸は、肺ではなく、腹部(へそのすぐ下)から生じる。

意識を高めて、以下の呼吸法を練習し、エネルギーが高まるかどうか試してみよう。

まず、マットやカーペットなど、楽な場所にあお向けになる。

つぎに、頭の下にたたんだタオルをあてがい、膝の下には枕を入れる。

それから、一方の手を腹部に、もう一方の手を胸の上にあて、大きく呼吸する。

どちらの手が大きく上下しているだろうか?

目標は、腹部の手のほうが高くなるようにすることだ。

練習を繰り返せば、お腹からの深い呼吸が自然にできるようになる。
うかい
息を吸いながら腹部をふくらませ、腹部をへこませながら息を吐こう。

呼吸に合わせて自分のお腹が風船のようにふくらんだりしぼんだりするさまをイメージするとよい。

鼻からリズミカルに呼吸しよう。

最初は妙な感じがするだろうが、練習すれば腹式呼吸が上手になる。

わずかな空気を肺に入れる形から腹式呼吸へと切り替えれば、エネルギーは高まり、気持ちも落ち着くだろう。

一日のどの時間でも、覚醒のエネルギーは、この速く深い呼吸によって高めることができる。

まず目を閉じて、鼻から深く息を吸い込み、そのまま息を止めて四つ数える。

つぎに口から息を吐き出しながら、六つ数える。

これを数回繰り返し、体の感覚に留意しよう。

いちばん楽な場所をみつける

内向型の人は周囲のことに気付かないという記述をしばしば目にする。

しかし、それはまったく逆だと思われる。

内向型の人のほとんどは、強く周囲を意識している。

だから、刺激を感じすぎないよう、自動的に二、三の特定の事柄にのみ集中するのだ。

内向型の人が、一日の間に取り込んだ全データを理解するためには、平和と静けさが必要だ。

それなしには、彼らは考えることができない。

往来の激しい高速道路の中央分離帯に立ったまま、つぎの休暇の行き先を決めなければならないとしたらどうだろう?

騒音、行き交う車、周囲のうるさい刺激のせいで、集中することなど不可能なはずだ。

内向型人間は、刺激過剰になれば、情報を処理することができない。

これは、ある内向型の人が言った、脳内で”ラジオの雑音”がしている状態だ。

ノイズばかりで、何一つクリアには聞こえない。

内向的であればあるほど、あなたには、刺激を処理し、充電するための静かな環境が必要となる。

なぜ処理の時間がそこまで重要なのか?

なぜなら、それがなければ情報が満杯になってしまうからだ。

新たな情報が古い情報の上につぎつぎ重なり、突然、入り口がふさがって、あなたはシャットダウンしてしまう。

ガチャン。

回路はパンク状態。

そして麻痺が訪れる。

この現象を誤解する人は多い。

説明しよう。

内向型の人の多くは、自分をあまり利口でないと思っていた。

ところが皮肉なことに、知能の優れた者の約60パーセントは、内向型なのである(1993年、シルバーマン)。

真の問題点は、彼らが全生涯を通じて過負荷の状態にあることなのだ。

彼らが脳の中に”何もない”と思うとき、実はそこは”満杯”なのである。

しかし、選別し、分類し、熟考する時間の必要性に気付かなければ、彼らは、自分には考える力がないものと思いかねない。

いや、それどころか、自分の頭は空っぽだと思い込む恐れさえある。

内省の時間がないかぎり、彼らには物事に対する自分の真の気持ちはわからないし、無意識に受け入れた情報にアクセスすることもできない。

「自然に、その考えが頭に浮かんできたんです」-もっと休憩をとることを覚えれば。

内向型で悩んでいる人たちはそう言うはずだ。

内向型の人のなかには、処理時間のあと、自分の考えや気持ちを聞き上手なだれかに話すのが好きな人もいる。

意見や感想はおそらく必要ない。

反応がほしいときも、多くの場合、自分の言ったことを要約してもらうだけで充分だろう。

それによって、彼らは自らの思考プロセスを評価し、はっきり知ることができる。

有益なアイデアや建設的な解決策はそのうちきっと浮かんでくる。

そのことへの自信も生まれるだろう。

自分の処理方式を信じるのは、大切なことだ。

自分だけの避難所をつくっておく

内向型の人は、長時間、他人とともに過ごすと、ただ物理的に近くにいるというだけで消耗することがある。

人混みにいれば、だれとも話をしなくても疲れを感じる可能性があるのだ。

物理的スペースは、力の再編成に必要なゆとりを彼らに与える。

内向型の人のほとんどは、テリトリー意識が強いため、自分専用のスペースを必要とする。

彼らには、自分のものと呼べる現実の場所が不可欠なのだ。

そういった場所は、自らのエネルギーをコントロールしているという安心感をもたらす。

リフレッシュ用のスペースは、安心できて居心地がよく、大勢の人や干渉、騒音や要求のない場所でなくてはならない。

まもられた居心地のよい場所でないなら、それはエネルギーを与えるよりむしろ奪い取るだけだろう。

あなたにとって英気が養われる居心地よい場所とは、どんなところだろうか?

考え事をするのに必要な環境とは―難問にじっくり取り組んだり、空想にふけったり、思い出を楽しんだりするのに適した場とは―どのようなものだろう?

内向型に悩むEさんは、観葉植物の枯れ葉を切り取ったり、置物を並べ替えたり、磨きこまれた硬材の床の敷物の静かな色調を味わったりしながら、家のなかを歩き回るのが好きだ。

くつろいでいるとき、あなたは外からの刺激を抑え、エネルギーを補充しているのである。

別の内向型の人のエネルギー補充法は、ふわふわの羽枕の山に埋もれて、ミステリー小説に読みふけるというもの。

また、内向型で悩むDさんは四人の子どもと超外向的な奥さんのいるせわしない家でくらしているが、「外のガレージの書斎があるかぎり、大丈夫。そこなら一時間くらいは、こもっていられますからね」と言う。

また、屋根裏に座禅用の小さなスペースをつくり、そこにクッションとキャンドルと深遠な絵とお香を持ち込んで瞑想する人もいる。

以下は、あなたが自分専用の隠れ家や避難所をつくる際、考慮すべき事柄だ。

●あなたは、戸外のスペースと屋内のスペースのどちらをお望みだろうか?

涼しい木陰のハンモックや寝椅子が好きな人も多い。

また、やわらかな枕や毛布を持ち込んで、すわり心地のよい椅子やソファにいたいという人もいる。

●あなたは、どんな種類の光をどれくらいほしいのだろうか?

あふれんばかりの自然光なのか、キャンドルの光なのか?

ほのかなランプの明かりなのか、それとも、涼しい日陰がいいのだろうか?

●あなたの幸福感を高める色は何色だろうか?

●あなたは完全な静けさがほしいのだろうか?

音楽や、自然の音はどうだろう?

噴水の水音は?

耳栓や、音響装置や、ヘッドホンを使うという手もある。

●ペットがそばにいるのはどうだろうか(猫からは学べることがいろいろある。彼らはエネルギー補充のエキスパートなのだ)。

もし自分専用の部屋を持つというぜいたくが許されないなら、ついたてや鉢植や本棚であなただけのスペースをつくろう。

部屋の一画に敷物を敷くだけでも、独立した感じは得られる。

内向性に悩むRさんは、小学校五年生のとき、妹といっしょに使っていた寝室にベッドカバーをつるして仕切りをつくったという。

それは、自分の部屋を持とうという彼女なりの試みだった。

中学生になってもまだ専用スペースの探究をつづけていた彼女は、さらに前進して喫茶コーナーを設けようとした。

結局ベッドで我慢するしかなかったが(ベッドは避難所のほぼ全体を占めていたのだ)、何はともあれ、それは彼女のスペースだった。

また、クロゼットのなかに自分のための小さな読書用ロフトをつくった人もいる。

ひとつ覚えておいてほしいのは、あなたにはその時々でちがうタイプのスペースが必要かもしれないということだ。

ずっと屋内にこもっていたのなら、広々とした戸外の感覚が必要だろう。

しかし別のときには、暖炉の前でぬくぬくとするほうが好ましいかもしれない。

個人のスペースをつくり出す方法は山ほどある。

外界から攻撃を受けていると感じたら、自分の周囲にバリアをイメージするといいでしょう。

外界の刺激から保護されているという安心感は、彼らのエネルギーを大いに高めてくれるのだ。

光と温度をセッティングする

内向型の人の体は、気温の変動や明暗のリズムに協調しているようだ。

わたしたちの体は、外向型の人の体に比べ、朝はなかなか動き出さない(これも、おなじみのスロットルダウン・システムのせいだ)。わたしたちが覚醒するには、自然光、特に、朝の明るい光が必要だ。

ハーバード大学の研究者たちは、光と覚醒の関係を調べた。

それによってわかったのは、人間は朝いちばんに少なくとも十五分、明るい光を浴びると、その日一日普段より元気でいられるということだ。

自然光は、すべての人間に必要なものだが、ことに、活力を抑える側の神経系にたよっている内向型人間には欠かせない。

自然光は、メラトニンというホルモンのレベルを調節する。

メラトニンは、気分、眠り、生殖器系に大きな影響を及ぼす。

不充分な光は、メラトニンの蓄積を引き起こし、結果として憂鬱や無気力をもたらす。

この状態は、冬季にはかなり深刻化することがあり、実際、ある人々には”季節性情緒障害”という診断も下されてきた。

光をより多く取り込む方法はいろいろある。

家庭や職場では、窓際にすわるとよい。

蛍光灯(もっとも不自然なかたちの光)はできるかぎり避けること。

”光休憩”をとるために、外に出よう。

もしもあなたが北方に住んでいるなら、フルスペクトルの電球か、日光を再現するタイプの証明を使おう。

オフィスに光源がひとつしかないのなら、追加の電気スタンドを持って仕事に行こう。

内向型の人は体温が低く、冷えやすいと聞けば、あなたは興味を抱くのではないだろうか。

内向型の人の正常な体温は、平均して36度台であることが多い。

彼らのスロットルダウン・システムは、内臓による食物の消化を助けるため、末端から血液を引き上げる。

そのため、手足は温かさをもたらす血液を少ししか得られない。

ひどい寒さを感じているとき、内向型人間にとって、外での活動に乗り出すことはさらにむずかしくなる。

また、彼らは、外向型の人ほどすぐに汗をかかない。

汗をかくことは、人間の主たるオーバーヒート防止法だ。

内向型人間はオーバーヒート状態では、まともに機能することができない。

あらゆる体の動きは這うように遅くなり、思考もギギーっと止まってしまう。

内向型人間にとっての気温の快適ゾーンは比較的狭い。

自らの最大限の機能を維持するために、つぎのことを心がけよう。

  • 気温に合わせて調節できるよう、重ね着をする。
  • 必要なさそうに思えても、セーターかジャケットを持っていく。
  • 携帯用カイロをポケットに入れておく。
  • 足指が温まったら脱げるように、薄いソックスの上に厚いソックスを重ねてはく。
  • 携帯用ヒーターや扇風機を職場に持っていき、室温を調節する。また、毎日少なくとも数回は、窓を開けて空気を入れ替える。

心休まることができる香り

他の感覚とは異なり、嗅覚には鼻から脳への専用の経路がある。

チューインガムの匂いを嗅いだとたん、子ども時代の思い出がよみがえってきたことはないだろうか?

わたしたちは香りにただちに反応する。

なぜなら香りは、脳の感情中枢と記憶中枢のすぐ隣で処理されるからだ。

嗅覚は、わたしたちのもっとも基本的な系に影響を与えるため、スロットルダウン・システムに作用する。

好きな香りを嗅ぐと、呼吸は遅く深くなり、結果としてわたしたちはより多くの酸素を取り込むことになる。

これまで見てきたように、これらのふたつのプロセスは、わたしたちのエネルギー・レベルを高める。

また、香りが集中力と学習力を増すという研究結果もある。

ある研究では、ふたつのグループの被験者が、点を結ぶパズルを解くよう求められ、つづいて、一方のグループはある香りを嗅がされた。

その後、両グループが再度パズルを解いてみると、香りを嗅いだほうのグループは嗅がなかった人たちに比べて30パーセントも速くパズルを解き終えたのである。

また、ストレス反応の別の研究では、ストレスの徴候を見せている被験者たちが、香りの強いリンゴの匂いを嗅がされた。

すると脳波に、リラックスした覚醒状態を表すアルファ派が増加したのだ。

世界中で、医療その他のさまざまな現場でアロマテラピーが活用されている。

たとえばイギリスでは、ラベンダーを用いたアロマテラピーが不眠症の治療に、ジャスミンは不安症の治療に利用されている。

また、同国のある研究では、ダイエット中の人に好きな香りを選ばせて嗅がせたところ、ほんとうにふつうより楽に体重を減らせたという。

日本には、生産性を高めるため、換気システムからレモンの香りを拡散させているオフィスもある。

アロマテラピーは、自分がいちばんよく反応する香りの精油を数滴嗅ぐというかたちで享受できる。

入浴やシャワーの際に二、三滴落とすか、マッサージやマニキュアのときに使ってみよう。

ティッシュに匂いをつけて一日数回嗅いでもいいし、アロマキャンドルを数本灯して家全体に香りを漂わせてもいい。

さまざまな香水、コロン、スパイス、食べ物の匂いを嗅いでみて、それらがあなたの気分や覚醒レベルにどんな影響を及ぼすか判定しよう。

何がいちばん効くかわかったら、その香りを望みの気分を得るために利用するとよい。

特定の匂いと感情を結びつける訓練をして、自分の鼻をプログラムしよう。

たとえば、リラックスした覚醒状態になるたびに、オレンジの匂いを嗅いでいれば、そのうちオレンジの匂いを嗅ぐたびに、覚醒とリラックスの状態が呼び覚まされるようになる。

音楽が心を楽にする

古来、音楽は、あらゆる文化のなかで、気分を変え、心理状態を改善するための強力な武器として用いられてきた。

研究の結果は、多くの人が音楽によってセックス以上の喜びを得ていることを示している。

音楽はわたしたちを活気づかせたり、くつろがせたり、行動へと駆り立てたりする。

呼吸数、血圧、胃の収縮、ホルモンのレベルに作用し、その結果、免疫系にも影響を及ぼす。

心拍数も、音楽のビートに合わせて、下降したり、上昇したりする。

酸素処理が高まり、脳波が変化することもある(先ほど述べた、リラックスのアルファ波のことを思い出してほしい)。

いくつかの実験が、音楽の嗜好はきわめて特異的であることを示してきた。

ある人にとって癒やしとなるものが、別な人には耳障りに聞こえるのだ。

また、あなたの音楽の好みは、日ごとに変わるかもしれない。

ジャズでリラックスすることもあれば、イライラすることもあるだろう。

さまざまな種類の音楽への自分の反応によく注意してみよう。

あるスタイルが、あなたを楽しい気分にするのか悲しい気分にするのか、リラックスさせるのか活気づかせるのか。

深く落ち込んでいるときは、その暗い気分に合った音楽を選び、そこから徐々にアップテンポの曲に移って、憂鬱が晴れるのを実感しよう。

内向型の人はときに事を始めるのに苦労する。

音楽はあなたにスターティング・ゲートから飛び出す力を与えてくれるかもしれない。

それは、頭の中の不愉快な声やつらい思い出から気持ちをそらせ、気分を引き立ててくれるだろう。

リラックスするにつれ、あなたのエネルギーの蓄えは、使用できる燃料へと変換されていく。

時間をとって、外で自然の調べを楽しむことも大切だ。

自然の音楽は、気分を新たにし、元気を回復させ、癒しを与えてくれる。

窓の外に鳥のエサを置いて、さまざまなさえずりや呼び声を聞いてもいい。

海辺や森の中、湖のまわりをぶらつき、自然の奏でる生き生きした音楽にじっと耳を傾けよう。

研究の結果は、ハミングしたり、歌ったり、口笛を吹いたりすることにもまた、活気を維持する効果があることを示している。

それらは、気分と意識を高め、不安を緩和する。

多くの親がごく自然に赤ん坊に歌を歌って聞かせることを考えてみるといい。

歌うことは酸素の摂取量を増やし、神経伝達物質にも作用するらしい。

だから、シャワーのときや車のなかで歌を歌おう。

ほんとうにやる気があるなら、合唱団に入ってもいい。

歌うことでどんなに気分が明るくなるか、きっと気づくにちがいない。

そして、口笛を吹くことも忘れずに。

唇をすぼめ、息を吐き出して、あの忘れ去られたわざをもう一度使ってみよう。

ますます元気が出ることまちがいなしだ。

元気が出る食べ物と飲み物

内向型人間は、その神経系の構造により、食物をすばやく代謝する。

入ってきた食物はただちにエネルギーに変換され、使い果たされる。

このため、ブドウ糖値を一定に保つのは困難になる。

だが、一日中着実に食べ続ければ、絶え間ない栄養分の流れが得られ、血糖値を一定に維持することができる。

いわゆる「だらだら食べる」ことは、眠気と同様に、気分の波や頭痛をも防ぐはずだ。

非常に評価の高い医療関係の著作家ジーン・カーパーは、その著書『奇跡の脳をつくる食事とサプリメント』(角川春樹事務所)でこう述べている。

「あなたのニューロンがつくり出し、放出する神経伝達物質の種類と、その脳内での最終的な運命は、あなたが何を食べるかに大きく影響されている。当然、食物はきわめて重要な脳の調節因子となる」よく耳にする「あなたは、あなたの食べたものだ」という言葉は、あながち冗談でもなかったようだ。

以下は、神経伝達物質を栄養学的にとらえるためのヒントである。

アセチルコリンは内向型人間の主要な神経伝達物質で、学習力、記憶力、運動の協調性を高め、また、アルツハイマー病を防止する働きも持つ。

エストロゲンはアセチルコリンを増加させるので、エストロゲンの不足によってアセチルコリン値が急激に低下する閉経期には、女性は記憶障害を起こす傾向がある。

アセチルコリンを増加させる最高の栄養源は、魚(サケ、ニシン、サバ、イワシなど)、卵黄(最高の栄養源)、小麦麦芽、レバー、肉、ミルク、チーズ、ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、レシチン含有物である。

セロトニンには、鎮静作用がある。

その基礎単位はアミノ酸の一種、トリプトファンだ。

トリプトファンは、炭水化物の摂取によって産生される。

炭水化物は糖であり、澱粉、精製された穀物、豆類、野菜、多くの果物に含まれている。

炭水化物にはふたつの種類―即放性のものと徐放性のもの―があり、それぞれ異なるかたちで血糖とセロトニンに作用する。

ミルキーウェイ(チョコレートクリーム・ヌガー、キャラメル、ミルクチョコレートが三層になった菓子)は、即放性炭素だ。

それはすばやく分解されて、血糖値を急上昇させ、セロトニンを増やす。

あなたのエネルギー・レベルは一気に高まり、それから急激に落ち込むだろう。

ひとつ食べると、たちまち活気づくものの、一時間後にはIQが50に下がったような気がするかもしれない。

ローファット・ヨーグルトは徐放性炭素だ。

それは、時間をかけて溶けるカプセルのように徐々に分解され、血糖値とセロトニンを増加させる。

一日の適切な時間帯に、分解の遅い炭水化物を摂取すれば、セロトニンが徐々に放出され、気持ちが落ち着くだろう。

徐放性炭素は、夕方、心を鎮めるのに適しており、また、眠りをうながす就寝時のスナックとしても向いている。

ドーパミンは、あなたの覚醒度を高め、空腹感を和らげる。

その基礎単位はアミノ酸の一種、チロシンである。

チロシンはタンパク質の摂取によって、血流中に放出される。

タンパク質は脳の働きを活発にし、空腹をすばやく満たす。

したがって、毎回、食事の最初にタンパク質をとるのは賢明なことだ。

魚、肉、卵、乳製品、ピーナツバター、豆、ナッツは、すべてタンパク質を含んでいる。

タンパク質には低脂肪のものと高脂肪のものがある。

覚醒状態を保つために、低脂肪タイプのたんぱく質を一日を通じて少量ずつ摂取しよう。

最後に、水についてひとこと。

ぜひ水を飲もう。

あなたの体の各部はすべて、機能するために水を必要としている。

体の少なくとも60パーセントは水分であり、体液はそこからつくられている。

あなたは一日中、水分を失い続けている。

そして、脱水状態になれば、エネルギーは低下する。

だから、始終、水を飲み続けよう。

栄養学者は、一日八杯をすすめている。

体は喜ぶにちがいない。

そしてあなたは、すべての細胞を元気に保ち、丸々と太らせておけるだろう。

眠りが心と体を癒やす

スタンフォード大学医学部、睡眠障害クリニックの会長である医学博士ウィリアム・デメントは、こう述べている。

「かなりの数のアメリカ人、おそらくは大多数が、毎日、睡眠剥奪による機能障害を起こしている」

睡眠不足はいらだちやミスを増し、感覚を鈍らせ、集中力を低下させる。

何よりも深刻なのは、それによって夢を見ている状態、レム睡眠が奪われることだ。

レム睡眠中に、わたしたちは日々の経験を長期記憶に蓄積する。

充分な睡眠が得られなければ、この重要な脳の機能は失われてしまう。

そして頭が空っぽになるという、あの多くの内向型人間の恐れがほんとうに現実となる。

内向型の人が睡眠障害を起こしやすい理由のひとつは、彼らの脳が非常に活動的であることだ。

脳の刺激を司る部分への血流量は、外向型の人よりも内向型の人のほうが多く、彼らは絶えずさまざまな刺激に(外からと同様になかからも)さらされている。

彼らには、精神のスイッチを切って、周囲の世界をシャットアウトしたり、内なる声を静めたりすることができない。

このため、興奮を鎮め、リラックスし、専門家が必要だと言う七、八時間の睡眠を得ることは、よけいむずかしくなるのだ。

つぎに、眠りの精を呼び込むためにいくつかの助言をしておこう。

  • 内向型人間は一般的にカフェインに対する感受性がかなり高い。コーヒーは朝までひかえること。
  • 寝室の窓にブラインドをつけ、耳栓か音響装置を利用して雑音を遮断しよう。
  • 寝室からテレビを運び出そう。
  • 心の落ち着く就寝前の儀式を考案し、寝る時間、起きる時間を毎日同じにしよう。
  • 寝室を涼しく保とう。
  • 眠れなかったら深く呼吸をし、これは体のためになることなのだ、と自分に言い聞かせよう。実際、それは本当だ。

内向型人間の健康管理法

内向型の人は、外向型の人よりすわっていることが多い。

彼らはあまり動きたがらず、概して運動が好きでない。

しかし、健康維持の方法を見つけるのは大切なことだ。

なぜ運動が重要かと言うと、ひとつには、それが脳へ送られる酸素の量を増加させるからだ。

酸素が増えれば、神経伝達物質と記憶の機能は高まる。

また、筋肉に多少の負荷を加えれば、体は強くなり、耐性と柔軟性を増す。

さらに、運動は心臓と肺を強化し、体全体のスタミナを高め、あなたを溌剌とした気分にさせる。

運動に関してわたしにできる最高の助言は、ひとつかふたつ好ましいものを見つけ、フィットネスのひとりデートの日をカレンダーに書き込むというものだ。

あとは、とにかくやること。

なかには団体スポーツが好きな人もいるが、内向型人間のほとんどは、ひとりでもできるスポーツを好むようだ。

ヨガ、ストレッチ、水泳、武術、軽いウエイトリフティング、ダンス、インラインスケート、自転車、あるいは、あの蛍光色の車輪のついたアルミの片足スケートですべって歩くことなどは、すべて健康によい。

内向型の英語学教授のMさんは、毛玉のように歩道を疾走していく二匹の子犬をつれて散歩をする。

また、別のクライアントはボードを漕ぐし、他の何人かはゴルフを楽しむ。

自分のペースを維持することを忘れないように。

週三回、三十分ずつ運動するほうが、二週間に一度、数時間運動するよりも好ましい。

大事なのはつづけることだ。

運動はなかなか続かない。

残念ながら、多くの人にとってこれが現実だ。

内向型人間のほとんどは、外向型の人と違って運動でエネルギーを高めることができないし、それによって得られる”快感のヒット”も弱いので、一度中断したらまた始めるのは容易ではない。

運動は心身の健康増進のためであることを忘れないこと。

運動を終えたら、自分にご褒美―新しい本、熱いシャワー、コンピューターゲーム、映画など―を与えよう。

ひとりが好きだからこそ、友を持ってみる

内向型の人はしばしば孤立していると感じ、ときとして孤独を覚える。

これまで説明してきたように、これには、数々の複雑な心理的、生理的要因がある。

しかし、特に見過ごせないのは、内向型の人の大多数が、比較的少数の友人しか持たないという点だ。

知り合いのほとんどを友人と見なす外向型の人とちがって、わたしたちは、人間関係はすべて”深く””有意義”でなければならない、そうでなければ本物とは言えない、と思っている。

しかし、より多くの知人を友と見なし、浅い関係もまた深い関係と同じくよいものだと認めれば、世界はもっと暮らしやすい場所となる。

多くの友を持つことはまた、人生に趣を添えてくれる。

このままでは、内向型の人はマンネリズムにおちいってしまうだろう。

いろいろなタイプの友が必要であるもうひとつの理由は、それが精神的支えの保険となるからだ。

ある友人がそばにいなかったり、引っ越したり、亡くなったりした場合、あるいは、なんらかの理由でその人との関係が終わった場合、わたしたちは充分な心の支えのないまま取り残されてしまう。

こうしたことは、年をとるとともに多くなる。

わたしたちには、楽しいこと、ためになることを話し合う相手が必要だ。

あらゆることを話題に何時間でも話せる相手も、あまり話をしなくていい相手も。

また、読書の友、意見を交わす友、ともに沈黙を楽しめる友、ともに馬鹿になれる友、何か(旅行や買い物や映画鑑賞)をいっしょにする友も。

幼児からお年寄りまであらゆる年齢層の友が、内向型の人には必要だ。

内向型の友も、外向型の友も。

そして、内向型人間を理解してくれる友も。

心地よい友情をはぐくむには―

●外向型の友達に、内向性について教えよう。そうすれば、心を傷つける心配もない。あなたが電話やEメールをするのには充分なエネルギーが必要だということ、あなたからの連絡が数週間途絶えても気にしなくてよいことを、彼らに説明しよう。

●内向型の友達に、内向性について教えよう。彼らは自分自身の気質について、あまり知らないかもしれない。

●少なくとも二週間に一度は、友達とランチをともにしよう。

●ときどき友達を家に招こう。何時から何時までとはっきり伝えておくこと。

●不愉快な友達もどきとは、さよならしよう。

自分らしく生きるために決意表明する

あなたの人生にとって意味のあることとはなんだろう?

あなたはどこにどんな変化をもたらしたいのだろうか?

すべての人は、人生の目的を持って生まれてきている。

目的がないのではないか、あるいは、思いつかないのではないか、と思うと不安になるかもしれない。

でも、やればできる。

内向型の人の多くは、自分がこの星に存在する理由を知りたいと願っている(それは、世界を救うためである必要はない)。

そのことがわかれば、いちばんやりがいのあることに内部の力を注ぐこともできる。

明確な目標は、人生に意味を与え、エネルギーを高めてくれる。

なぜならそれは、方向性を与えるからだ。

こうして、あなたの人生は形を成し、意欲は増し、不満は緩和される。

内向型の人は、外向型の人ほど外の世界で活動するためのエネルギーを持ち合わせていない。

そのため、自分にとってもっとも大きな意味のある何かに集中することは、彼らにはとりわけ重要だ。

また、彼らは日々の務めや責任に圧倒されがちなので、ほんとうに自分がしたいことはなんなのか考えるのを忘れてしまうことがある。

すでにあなたは、自分の目的を明確に述べられるかもしれない。

もしそうでなく、なおかつ、決意表明書をつくりたいと思うなら、つぎの5つの質問をとっかかりにするとよい。

最初に浮かんだ考えを逃さないよう、答えをメモしていこう。

何か思いついたら、それについてあれこれ考えてみよう。

もだえ苦しむ必要はない。

もしも「幸せになりたい」と思ったなら、あなたを特に幸せにするものはなんなのかを考える。

それから、自分の考えをひとつの段落にまとめ、それを二、三日寝かせてから、再度検討する。

あなたが書いたことは、石碑に彫りこまれるわけではない。

いつでも発展させたり、変更したりできるのだ。

それを忘れないこと。

  1. 自分にとって、人生でいちばん大事なこととはなんだろう?
  2. 自分が世の中に与えたいものはなんだろう?
  3. この生涯の間に、〇〇〇がしたい。
  4. どうすれば、これらのことを実現できるだろう?
  5. この旅の間、自分がいっしょにいたいと思う人はだれだろう?

さあ、やってみよう。

完璧なもの、深遠なものである必要はない。

五つの質問の答えがすべて含まれていなくてもかまわない。

大事なのは、それがあなたのためにつくられているということだけだ。

修正や更新はいつでもできる。

決意表明書は、あなたが自分にとってもっとも大事なことにエネルギーを注ぎ、自らの価値観と才能に基づいて有意義に生きる助けとなる。

その力を借りて、あなたはフルに生きているという実感が得られるのだ。

あなたの天性を丁寧に育てる

自分自身を、冒頭で触れたチューリップとしてイメージしてみよう。

生気に満ち、優雅で、丈夫で、華やかで、驚異的な花として、考えてみるのだ。

あなたは、自分だけが与えうる特別なケアを必要としている。

ある意味では、この先一生、自分に適した環境の維持に努めなくてはならないというのは、いらだたしいことだ。

しかし見かたを変えれば、自らをケアする力が自分にあるというのは、喜ばしいことでもある。

仕事で失敗したときは、この記事を読み返し、花を育てる園芸家のモードにもどろう。

そこに立ち返ることは、いつでも、そして、必要なだけ何度でもできるのだ。