親も子も無理をしないために
子育ては、一日二十四時間のややこしい仕事であり、大量のエネルギーが求められるうえ、たくさんのストレスをともなう。
家族がさまざまな気質のメンバーで構成されている場合は、なおさらだ。
それぞれの心身の働き―各自のエネルギー回復法と情報の処理方法―の重要性をみなが理解すれば、その家族の共同体としての自信と能力は高まる。
各自の気質が考慮されないと、一家の全員がパワー不足におちいり、不機嫌になり、自尊心を失う恐れがある。
だれも彼もが最終的にいやな気分になるだろう。
まず行うべきことは、家族内の気質分布の判定である。
子どもの気質の判定を手伝うことによって、あなたの家族像を完成させることができる。
あなたの子どもは、内向型?外向型?
あなたの子どもの生得的気質は、どんなものだろう?
その子の持って生まれた特性をよりよく理解することが、あなたや本人の助けとなるのはなぜだろうか?
子どもの天性を理解すればするほど、親はその特質をいい方向へはぐくむことができる。
『挑戦する子ども』の著者で、医学博士のスタンレー・グリーンスパンはこう述べている。
「親は、子どもがその優れた生得的能力をどう使うかを大きく変えることができる」わたしたち親は絶えず、天性と養育の間に相互作用を生じさせている。
我が子の心身のシグナルを読みとれるようになろう。
その道に熟達すれば、あなたはもっと子どもの力になれる。
それによって彼らは、自らの気質によりうまく対応できるようになり、その気質を利用して、充実した価値ある人生を築くことができるだろう。
つぎの各項に目を通し、自分の子どもについて考えてみよう。
内向的な面が強いなら、あなたの子どもにはこんな傾向があるだろう。
- まずよく見たり、聞いたりしてから、活動に参加する。
- 興味のあることには深く集中する。
- 自室でひとりで過ごすのが好きで、内省によって元気になる。
- まず考えてから、話をする。
- 個人空間に強いこだわりがあり、すぐそばにすわられたり、ノックなしで自室に入ってこられたりすることを嫌う。
- 胸の内をあまり明かさず、何を考え、感じているか、聞き出さねばならない。
- 存在を認めてもらう必要がある。不合理に、自分はだめだと思いこむことがある。
- 話題に興味があるときや、気楽な相手といっしょにいるときは、よくしゃべる。
- 外向的な面が強いなら、こんな傾向があるだろう。
- 発達段階にもよるが、概して群れを好み、社交的である。
- 交流や活動によって元気になる。
- 自分の体験や考えをすぐみんなに話したがり、話題が豊富である。
- 声に出してものを考える。物をなくすと、「ぼくのボールはどこだろう?」「無線機がないんだ」などと言いながら、家のなかを探し回る。何か決断するときも、しゃべる必要がある。
- ひとりでいるより、人といっしょに過ごすことを好む。
- たくさんほめてもらう必要がある。
- たとえば、何かしているなら「上手だね」、贈り物をしたときは「とても気に入ったよ」などと、言ってもらいたがる。
- 多様性を好み、気が散りやすい。
- 思っていることや感じていることを、進んで打ち明ける。
注意すべき点は、大半の子供は極端な外向型でも極端な内向型でもないということ、内向型の子供が外向的に、外向型の子どもが内向的に振る舞う場合もあるということだ。
自分の子どもがいつどんなふうに、内向的、外向的になるのか、そのパターンを見つけ出そう。
これは社交術の問題ではなく、エネルギーの補給方式の問題だということをお忘れなく。
たとえば、悩みを抱えたKさんにはEさんという娘がいるが、彼女は連続体の中間地帯にいる。
Eさんの内向的な面は、母親が保育園にお迎えにきた直後は話をしたがらないというかたちであらわれる。
娘の沈黙の時間にどう対処しているか、Kさんはセラピストに話してくれた。
Eさんを車の座席にすわらせると、お気に入りの本を一冊、彼女に渡し、そのお話のテープをかけるのだ。
Eさんは、テープのベルの音に合わせてページを繰るのが大好きなのだそうだ。
Kさんは言う。「音楽を聞かせる日もあるんですよ。きょうはずっと、一緒にビートルズ・メドレーを歌いながら帰ったんです」しばらくすると、エリザベスは話をしたくなり、とめどなくしゃべり続けるという。
内向型の我が子を理解するために
内向型の子どもは油断がならない。
彼らは表には出さずに、多くのことを考えたり感じたりしている。
また、不可解なことに、自分で思っている以上のことを知っていたりもする。
自分自身の脳の働きかたを理解させてやらないと、彼らは、自らのずばらしい潜在能力を過小評価しかねない。
内向型の子どもには、情報を取り込んだあとに、その情報を処理するための静かな時間が必要だ。
つまり、見聞きし、吸収したすべてを統合するための時間である。
やがて考えが形を成すと、彼らも行動を起こしたり、自分の意見や感想を話したりできるようになる。
事実、話すことは、彼らが自分の頭の働きかたを理解する助けとなる。
途中でさえぎられると、彼らは何を話していたかわからなくなる。
考えていたことを再度呼び戻すのには、余分なエネルギーと集中力が必要だ(内向型の脳の長い経路を覚えておいでだろうか?)。
刺激を遮断する時間と場所が与えられないと、内向型の子どもは朦朧として、思考停止におちいりかねない。
内向型の子どもにとって、ほとんどの活動はエネルギーを奪うものだ。
充電することを教えてやれば、彼らは大きく成長する。
つぎに、内向型の子どもが世界に対処し、燃料を補給するための方法をいくつか示そう。
1.プライベートな時間を与える
内向型の子どもの日々のスケジュールには、プライベートな時間が組み込まれていなくてはならない。
彼らもプライベートな時間には、さほどエネルギーを消費せずに済む。
プライベートな時間は、ひとりきりか、その子にとって気楽な二、三人だけになることで―または、単に集団を離れることで、生み出される。
内向型の子どもはまた、刺激の強い活動の合間には、余分に休憩をとらなくてはならない。
外向性が重んじられ、子供向けの多くの活動がグループで行われる西洋文化においては、内向型の子どもがひとりの時間を持つことはなおさら重要になる。
機嫌が悪いのは、彼らが中休みを必要としている信号だ(『セサミストリート』のオスカーがいつも不機嫌なのは、ゴミ容器のなかで過ごす静かな時間がもっと必要だからなのかもしれない!)。
悩みを抱えたBさんは、九つのとき、盛大すぎる―子ども三十人が集まった―お誕生日会で刺激過剰を経験している。
家族からは、すでに陽気な白黒の子犬が贈られていた。
パーティーが始まると、Bさんは息苦しさを覚えたという。
「他の子たちに子犬に触れられたくなかったんです。
僕はその犬にスパイダーマンという名前を付けていました。
みんなが早く帰ってくれればいいのに、と思いましたよ。
そのうち両腕の皮膚の内側に、無数の蟻が這い回っているような感じがしてきて、僕は泣きながら二階の自分の部屋に駆け上がって、しばらくそこにいました。
そのうち父がスパイダーマンを二階に連れてきて、何分か静かに話をしてくれたんです。
すると気持ちが楽になって、蟻たちはどこかへ行ってしまいました」
やがて、ケーキとアイスクリームを食べに階下へおりてきたときには、彼もふつうの子、笑顔の主役にもどっていた。
パーティーが終わるまで、スパイダーマンは二階にいた。
翌年から、Bさんの両親は、彼のためにもっと小さな会を催すようになった。
内向型の子どもの多くは、いつどのように休憩をとるべきか、人に教わる必要がある。
彼らは、自分に休憩が必要であることを知らなかったり、休憩をとることに不慣れだったり、集団を離れるのをいやがったりする。
だからこそ、親が我が子を知ることはとても重要なのである。
親には、息子や娘がぼんやりとしていないか、不機嫌になっていないか、殻にこもっていないか、気付くだけの敏感さが求められる。
何かの集まりで、我が子が茫然としているのに気付いたら、こう誘ってみるとよい。
「ここはすごくうるさいし、人が大勢いるから、ちょっとお庭を歩いてこようよ」もし子どもが不機嫌だったら、こんなふうに声をかける。
「デザートを出すのを手伝ってくれない?すぐもどってこられるから」またはこんなふうに―「ちょっとばててるみたいだね。外をぶらついて、まわりにどんなおうちがあるかみてこようか?」
ご機嫌ななめの子どもは、休憩するように言われれば、不満を表すことが多い。
ときには、しばらく他のことをするように仕向ける必要もあるだろう。
そんなときは、あとでこう言おう。「あなたには、ちょっと他の子たちから離れる時間が必要だったのよ」少しプライベートな時間を持てば気分がよくなることに、子ども自身が気づくようにしてあげよう。
五分もすれば元気になって戻って来られるし、そのあとは前以上に友達との時間が楽しくなる。
子どもたちには、それを教えてあげることが必要なのだ。
あなたは、つねに元気で幸せでいられるように、内向型の子どもたちを導くことができる。
休憩の必要性を彼らに教えよう。
事実、自ら休憩を求める子もいるのだ。
子どもがくつろいでいて、他に人がいないときに話をしよう。
あなたが休憩はよいものだという考えを示せば、子どももそう思うようになるだろう。
たとえば、こんなふうに言ってみよう―「お友達と一緒のとき、すごく元気な子っているよね。そういう子は一日じゅう遊んでいても、ぜんぜん疲れないの。
ほら、弟のSみたいにね。
でも、お友達と遊ぶのは好きだけど、途中でちょっと休憩しないといけない子もいるの。
あなたはそういう子よ、M。
ひと息入れて、体にエネルギーを与え、何度か深呼吸する必要があるの。
そうしないと、ばてちゃったり、機嫌が悪くなったりするのよ」
子ども自身にも、休憩の必要性に気付いたことはないか聞いてみよう。
ちゃんと答える時間を与えること。
ひとつも思いつかないようなら、その子が疲れを見せたとき、その場の雰囲気に圧倒されていたときのことを思い出させてあげよう。
子どもが遊びにもどっていくのを助けることも大切だ。
内向型の子どもたちのほとんどは、しばらく様子を見てからでなければ、活動に入っていけない。
彼らにこう言おう。
「みんなのところへもどる前に、しばらく見ていてもかまわないのよ」研究によれば、集団に加わる最良の方法は、なかのひとりと目を合わせ、その人にほほえみかけて、周囲の注意を引かないように遊びの流れに入っていき、その後、適切な質問をすることだという。
子どもにこんなふうにすすめよう―「お友達が追いかけっこをしていたら、S君と目を合わせて、にっこりして、それから、どっちへ逃げたらいいのか聞いてごらん」子どもが活動に参加しようとしたら、その努力を褒めてあげよう。
あとで、うまくいった方法、いかなかった方法について話し合おう。
2.プライベートなスペースを与える
内向型の子どもには、自分の体と外界とを隔てる物理的スペースが必要だ。
これにはいくつか理由がある。
第一に、彼らには、自分の考えたことや感じたことを処理するために、内へ注意を向ける必要があり、そのためには外からの刺激を遮断しなければならない。
第二に、単に周囲に人がいて、動きがあるだけで、内向型のバッテリーは消耗してしまう。
外向型の人にとっては、これは理解しがたい、あるいは、想像しがたいことだろう。
第三に、内向型は、外界を遮断しないと新たなエネルギーを生み出せない。
以前、J君という十歳の内向型の男の子に、数ヵ月にわたってセラピーがなされた。
J君の両親は、彼がずっと殻にこもっていて、これといった理由もないのに突然爆発するので、心配していた。
あるとき、ふたりでボードゲームをしていると、J君はなんの前触れもなしにこう言い出した。
「M君と部屋が一緒なの、嫌なんだ。ぼくは平和と静けさがほしいんだよ」「そうなの?」セラピストは言った。「ずっとそのことを考えてたみたいね」
J君の家には四つ寝室があって、そのひとつは遊び部屋になっていた。
結果として、J君はひとつの部屋を外向型の弟M君と共同で使っているのだった。
「M君は遊び部屋へ移ればいいんだよ」J君は言った。
「じゃあ、自分とM君の部屋がどんなふうになるか、絵に描いてみたら?」セラピストは勧めた。
Jくんはわくわくした様子で、紙の上に身をかがめ、ふたつの部屋の絵を描いた。
親たちのあらゆる反対を想定し、しばらく前から頭の中で計画を立てていたのは明らかだった。
彼はすべてを綿密に考えたうえで、初めてこの話を持ち出したのだ。
セラピストに計画を打ち明けたあと、彼は描いた絵を使って、自分に専用スペースが必要なことを外向型の両親に話した。
Mくんは遊び部屋を自分の部屋にし、そのほぼ直後から、J君の低迷状態は改善され、癇癪の発作もあまり起きなくなった。
彼は、その気質に不可欠な平和と静けさを獲得したのだ。
内向型の子どもも、さまざまなかたちで身体的な触れ合いを求める。
子どもがみんなそうであるように、抱きしめてもらえば喜ぶこともある。
だが、刺激過剰になっているときは、距離を置きたがるかもしれない。
「脚がぶつかってるよ」車に乗っているとき、疲れが出れば、そんな不平を言うだろう。
また、集団のなかでは、中心部よりも、周辺部にいたがることが多く、すわるときは、人とソファを共有するより独立した椅子を好む傾向がある。
触れられると身を引くこともあるだろう。
でも気にしてはいけない。
彼らが寄り添いたがるときは触れ合いを楽しみ、外からの刺激を減らしたがっているときはそれを受け入れよう。
内向型の人は、自分の物理的スペースを侵害されると消耗する。
たとえなんのやりとりもなくても、ただ人がまわりにいるだけで、エネルギーを奪われてしまうのだ。
これは外向型の人には理解しがたいことだ。
彼らにとってスペースは問題ではない。
体を寄せ合うことに、エネルギーは要らないのである。
間近に立たれたりすわられたり、予告なしに部屋に入ってこられたりすると、それだけで内向型の人はエネルギーを吸い取られてしまう。
セラピーを受けていたKさんは、六歳のころ、自分の寝室のドアに「立ち入り禁止」と書いた。
ほぼ同じ年のころ、彼女の娘のIさんに「立ち入り禁止」という字を教えてほしいと言われ、彼女は驚き、おもしろがった。
Iさんは小さな黒板にそう書きつけると、自分の部屋のドアノブにそれをぶら下げ、ドアを閉めた。
あとでKさんはIさんにほほえみかけて、こう言った。
「あなたの気持ち、よくわかるわよ」内向型の人にスペースを与えるというのは、エネルギーを与えることなのだ。
スペースの問題について、あなたの子どもと話してみよう。
たとえばこんなふうに―「あなたはまわりが人でいっぱいだと、落ち着かなくなったり、疲れたりするのよね」もっとも大事なのは、彼らの居心地悪さへの理解を言葉で伝えることだ。
「T叔母さんとKさんといっしょに車で博物館まで行くの。だいたい一時間くらいかかるわ。あなたはよく、長時間、人とくっついていると、息苦しくなるでしょう?どうすればいいと思う?」驚くほどの確率で、子どもは名案を思い付く。
何も出てこないときは、こちらから案を出してみよう。
「ふたりの間にクッションをはさんでおいたら、少しは楽かな?どう思う?」
長いドライブのときは、プライベートなスペースについて子どもと話をしたり、定期的に車を降りて外を歩いたり、席を替わったりしよう。
息苦しくなってきたら深呼吸して緊張を解くよう、子どもにすすめるとよい。
また、子どもの注意をよそへそらしてあげること。
ヘッドホンを渡してお話や音楽を聞かせたり、ひとりで遊べるようシールの本を与えたり、なぞなぞなどのゲームをしたりしよう。
もうじき着くと言って子どもを安心させるのも、よい方法だ。
子どもが居心地悪さに耐えているのに気付いたら、褒めてあげるのも忘れてはいけない。
「車のなかは窮屈でいやなのよね。でもきょうはいい子だったわ」
ゆっくり考える子をゆっくり待つこと
内向型の子どもには、何かすることを強要されずに、ゆっくり考える時間が必要だ。
内向型の子どもの多くが怠け者扱いされるのは、彼らが熟考の時間を求めるためだ。
親たちはイライラして、こうたずねる。「何をだらだらしているの?」しかし内向型の子どもは、エネルギーを蓄えるためのみならず、じっくり考えるためにも休止時間を使っている。
では、内向型がものを考えるのにはなぜこのプレッシャーのない自由な時間帯が必要なのだろう?
彼らは外界から、意識的、無意識的に情報を吸収している。
外からの刺激を抑えることができなければ、彼らの内なる思考、感情、感想は、決して表に出てこない。
処理時間がなければ、彼らの精神は停滞し、満杯になってしまう。
すると内向型の人の多くは、脳が空っぽになった気分を味わう。
ところが実は、脳のなかには多くがつまっている。
ただ、それが整理され、より分けられていないだけなのだ。
頭のなかが真っ白になった内向型の子どもは、ひどい混乱と恥ずかしさに見舞われるだろう。
そのとき、あなたは簡単な説明によって彼らを救うことができる。
「いますぐは無理でも、あとになれば、自分の気持ちがわかってくるわよ」
たとえ自分で気付いていなくても、彼らの脳は確実に働いている。
そのことを彼らに教えてあげよう。
「いまにあなたの脳みそがあの課題を噛み砕きはじめるからね。明日までには、何か考えが浮かぶわよ」彼らが結論や答えにたどり着いたときは、そのことを指摘しよう。
「あの本について、よく考えたみたいね。じゃあ、どこが好きでどこが嫌いか説明できるでしょう?」
外向型の人は、解決のために話をするのが好きなので、心を明かさない内向型の人にいらだつことが多い。
「さっさと吐き出しちまえ」と彼らは言う。
だから内向型の子どもには、こんな答えかたを教えてあげよう。
「まだ考え中なんだ」もしもあなたの子どもが、声に出して考えるのが好きなタイプなら、いちばんいいのはただじっと耳を傾けて、その後、何か言葉を返してあげることだ。
「なるほど、つまりこういうことね、Aさん。あなたは科学の自由研究のテーマをいくつか考えてみて、ふたつにまでしぼりこんだ。そのテーマについて、いま話したい?それとも、もっとあとにする?」言葉を返してあげることによって、内向型の子どもも圧倒されずに問題解決を続行できる。
学校の先生と話し合って、あなたの子どもに熟考が必要なことを説明するのも、いいだろう。
その先生は、人によって使っている脳の経路が異なることや、その経路の長さが子どもの反応の速さを決定づけることを知らないかもしれない。
ひとつのテーマについて生徒たちに考えさせるとき、教師はこんな言い方をすることもできる。
「お昼休みのあと、この章について話し合いましょう」きっとその教師は、考える時間を与えると、おとなしい子たちがいつもよりたくさん意見を出すことに気付くだろう。
あなたの子どもが家族以外の人にもこう言えるようにしてあげよう―「答える前にゆっくり考えさせて」物事をじっくり考えるのは大切なことだ。
そのことを彼らに気付かせよう。
褒めてあげるのも忘れてはいけない。
「あなたがものをよく考える子で本当に良かったわ」
あなたの息子や娘には、すばらしい長所があるのだ。
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あなたが内向型の子どもを持つ外向型の親の場合
内向型の子どもを持つ外向型の親たちは、ひどく心配する。
彼らは我が子の幸せを願っており、その子が表すもろもろの特性を危険信号ではないかと考えるのだ。
その子が男の子である場合、親はしばしば、強く育ってほしいと願う。
ある子どもについての悩みを抱えた男性は、息子にについてこう述べた。
「息子のMにはセラピーが必要だと思うんです。いい子なんですが、活発さに欠けるし、はっきりものが言えないんですよ。何をするにも時間がかかりますしね。話をするのにもですよ」
この外向型のお父さんは鋭くも、ここでこう付け加えた。
「Mは小さいころから打ち解けない子でした。うちのもうひとりの息子は、もっと社交的なんですがね」
セラピストはM君のお父さんに、内向型人間の静かなエネルギーについて話し、質問に答えるときM君にまとまった時間が必要なわけを説明した。
すると、お父さんの顔の緊張が和らぐのがわかった。
M君の行動が正常だと知り、お父さんは息子を助けてやれるようになった。
たとえば、お父さんが前もって予定を教え、しばらく様子を見てから活動に加われるようにしてやると、M君もすんなり流れに乗ることができた。
結果的に、M君は前よりよく話すようになり、家族は前よりよく耳を傾けるようになった。
別のセラピーのケースで、究極の外向型のHさんには内向型そのものの感受性の強い四歳の息子B君がいた。
彼女はB君に深刻な問題があるものと思って、わたしのもとへやって来た。
息子が自閉症かもしれないとさえ思っていた。
なぜ息子がいつもぼうっとしているのか、なぜしょっちゅう泣くのか、彼女には理解できなかった。
十分から十五分にわたって、彼女は自分たちの日常を物語り続けた。
それは、まるでマラソンだった。
ここへ行って、あそこへ行って、これをやって、あれをやって。
セラピストがさえぎったとき、彼女は、家族のお出かけに予定しているお楽しみを列挙している最中だった―ミニゴルフをやって、アーケード街へ行って、ファミリーレストランでお昼を食べて・・・。
セラピスト自身、気分が悪くなり始め、すでにへとへとだった。
B君が壊れていくさまが目に浮かんだ。
セラピストは言った。「B君はちょっと刺激過剰になっているのかもしれませんね」
「どういう意味でしょう?」Hさんはそう問い返し、腰を下ろして以来初めてしゃべるのをやめた。
「そうですね、どうもあなたは外向型で、B君は内向型のようです。そんなに盛沢山だと、B君は刺激を受けすぎてしまうんです。ぼうっとしたり泣いたりするのは、もう手一杯だという彼のシグナルなんですよ」
「刺激を受けすぎるって、どういうことですか?」Hさんはたずねた。
これは彼女にはピンとこない概念だった。
そこでセラピストは、B君はおそらくいろいろなことがありすぎると感じていて、疲れて何も考えられないのだと説明した。
Hさんは笑った。「なのにわたしったら、あの子を大いに楽しませている気になっていたわ」
新しい赤ちゃんを身ごもっていたヘイリーは、しばらく間をおいてからこう言った。
「この赤ちゃんはどんな気質なのかしら」セラピストは、前進しているな、と思い、そう考えるのはよいことだと言った。
あなたの子どもをあなた自身のエネルギー・レベルで圧倒してはいけない。
これはとても重要なことだ。
別の外向型の親は、娘のRさんのことを相談してきた。
「あの子ときたら部屋で本を読んでばかりいて、他のことは何もしないんです。これは深刻な問題ですよ。
あの子は現実を避けているんです」Rさんは父親が何を提案しても乗ってこないのだという。
彼は娘が自分に怒りを抱いていると感じていた。
そこでセラピストは、一緒に本を読もうとRさんを誘うようにすすめた。
つぎの面接のとき、彼は自分の驚きを語った。
Rさんは父親の提案に顔を輝かせたのだ。
いまではふたりは週に一度、いっしょに本を読んでおり、親子関係はずっとよくなったという。
内向型の子どもは外向型の子どもほど感情を表に出さないかもしれない。
親を愛し、大事に思っていても、彼らはそのことを言葉にしないだろう。
自分の気質と我が子の気質を受け入れよう。
それは変えられるものではない。
しかしあなたたちはどちらも、家族に、そして、世界に貢献しうるすばらしい特質を持っているのだ。
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内向型の子どもは怒りや非難にかなり敏感だ。
彼らを人前で叱ってはいけない。
つらさゆえに、その子はあなたを心のなかから締め出し、平気な顔をするかもしれない。
でもほんとうは気にしている。
だからと言って、問題ある行動に目をつぶれというのではない。
事務的に、何がいけなかったのかを本人に伝えよう。
「砂を投げつけるなんてよくないよ」そしてその理由も説明する。
「砂が目に入って、Tさんは痛がっていたでしょう?」さらにこれからどうすべきかを教える。
「Tさんにあやまりなさい。あとでようく話しをしよう。
あなたがどんな気持ちだったのか、どうして砂を投げつけたのか教えてね。
もし何か腹の立つことがあったなら、その気持ちをもっと上手に表せるように考えようよ」怒りや不満といった感情は、内向型の子どもにとって過剰な刺激となりうる。
彼らは、そうした感情をうまく処理する方法―行動でなく言葉で表すこと―を教えてもらう必要がある。
親は、子どもを恥じ入らせたり責めたりといったことは、最小限に留めなくてはならない。
羞恥心は、その子の根本的存在意義を攻撃する。
「ぼくは妹をどなりつけた。悪い子だ。ママはもう愛してくれないだろう」罪悪感は、してはならないことをしたという感覚だ。
「ぼくは妹をどなりつけた。ママはきっと嫌がるだろう」子どもが口を開くまで時間を与えよう。
気持ちが鎮まるまで、彼らは何も言わないかもしれない。
事件のことで子どもがくよくよしていないかどうか、きちんと確かめること。
彼らに愛していると言おう。
そして、だれにでも―親自身にさえも―過ちはあるのだと教えよう。
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外向型の子どもにとって、話す相手を持つこと、意見や感想を言ってもらうこと、声に出して考えること、忙しくしていることは、すべてエネルギー源となる。
これらが、内向型の子どものエネルギー源とどれほどちがうかに注目しよう。
また、内向型と同じく、外向型の子どもも連続体上にいること、さまざまな度合いの外向型があることをお忘れなく。
それぞれの子どもは独自の個性を持つ唯一無二の個人なのだ。
このことを心に留めたうえで、外向型の子どもを伸ばすための以下の方法を見てみよう。
1.話す相手を確保させる
外向型の子どもは他者を必要とする。
話をし、経験を人に語り、感じたことをすぐその場で発表することは、彼らにエネルギーを与える。
絶え間ないおしゃべりは、家族にとって重荷となるかもしれない。
だから、子どもが家族以外の人々とよい関係を築けるように手を貸そう。
また、外向型の子どもは、特に思春期には徒党を組む恐れがあるので、早い時期から、独自の興味を育ててあげるようにしよう。
これまでの研究から、何かに強い興味を持っているティーンエイジャーは非行に走りにくいことがわかっている。
何が子どもを活気づけるかを考え、その興味を追いかけるよう励ますことだ。
2.意見や感想を与える
外向型の子どもは他者からの反応を必要とする。
「えらいぞ」という掛け声は大切だ。
ちょっとした励ましの言葉で、彼らは高く舞い上がる。
子どもはみんな、自己が反映されること、自分という存在に対する反響を求めているが、外向型の子どもには特にこれが重要だ。
それによって、彼らは自分の行動をよりよく理解できるようになる。
「J君と遊べなくて悲しそうだったね。明日、遊べるかどうか聞いてごらん」外向型の子どもは、内向型の子どもほど内省的ではない。
彼らがこの能力を伸ばすには助けが必要だ。
感情が行動とちがうことを理解するのは、彼らにとって大事なことである。
感情は内部の状態であり、考える対象にもなりうる。
僕はピリピリしている。
なぜだろう?
そう考えれば、つぎにどんな行動をとるか選ぶことができる。
「あなたもやりたかったけど、S君の番が終わるまで待ってあげたのよね。いいお友達だわ。」
「自分ばかりしゃべっていて、お友達の話を聞いてあげないのって、どうなのかな?」
「あなたは急いでいたのに、Kさんを先に通してあげたでしょう?いいことよ」
こういった感想は、子どもの衝動性を抑え、内省の能力―行動する前にまず考える力―を育てる。
意見や感想を述べるときは、サンドウィッチ方式を用いるとよい。
まず肯定的なことを言い、否定的なことを付け加え、最後は肯定的なことで締めくくろう。
他者からの反応は、外向型の子どもに燃料を補給する。
3.声に出して考えさせる
外向型は、話すことによって考える。
彼らが考えや感情を整理するのには、聞き手となる他者が欠かせない。
反応は必ずしも必要ない。
単なる反響板でよい場合もある。
ただ聞いていてほしいのか、それとも、質問したり案を出したりしたほうがいいのか、子どもにたずねてみよう(ただ聞いているときも、その子の考えや疑問に対する好意的態度が必ず伝わるようにしよう)。
外向型の子どもは、ひとりごとを言うことがある。
そのほうが彼らには自分の心がよく聞こえるのだ。
自分の不安や心配について話しをさせ、その考えを共有しよう。
彼らは声に出して情報を処理しているのである。
また、彼らは質問もたくさんするだろう。
そんなときは、答えたいと思う分だけ答えてあげよう。
でも制限を設けてもかまわない。
「質問はあとふたつまでね。夕飯の支度をしないといけないから」
4.つねに活動的に、そしてときどき静かな時間を
刺激は、外向型人間にとって不可欠なものだ。
彼らには、すること、行く場所、会う相手が必要なのである。
彼らの姿勢はこうだ―時は消耗品。
ただのらくらしている場合じゃない。
外向型の子どもの多くは、何事も逃したがらない。
これは親にとって―その親が外向型であっても―ひどく疲れることだ。
たとえ子どもがペースを落としたがらなくても、静かな時間を設けさせよう。
「午後の二時から三時まで、お休みをとりなさい。テープで音楽やお話しを聞いてもいいし、本を一章読んでもいいわよ」ひとりの時間の効用を子どもに気付かせてあげよう。
「読書タイムのあとは、いつもよりリラックスしているみたいよ。体はどんな感じ?」
子どもがひとりで遊んだり、空想にふけったり、くつろいでいたら、静かな時間を過ごしてくれてうれしいと本人に伝えよう。
子どもの活動を見直し、予定がいっぱいになっていないか確かめよう。
外向型の子どももときには手一杯になる。
彼らには内を向く練習をする機会が必要なのだ。
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内向型の親にとって、外向型の子どもは喜びにも災いにもなりうる。
彼らは外の世界に夢中で、いつも意欲にあふれている。
ありとあらゆることをやってみたがり、あなたのそばに座ってその日の出来事を逐一話したがる。
あなたたち親子のそれぞれの気質は、ちがっていることのすばらしさを早期に学ぶ絶好の機会を子どもに与えている。
あなたは物理的な触れ合いに対する欲求が子どもよりはるかに小さい。
だから子どもをぎゅっと抱きしめて、愛しているけれど、今はもう少しスペースがほしいと話そう。
あるセラピストがインタビューした内向型のお母さん、Nさんはこう言っていた。「うちの娘のVは、学校のあらゆる活動に参加したがるんです。何事も逃すまいとして。わたしにはとてもついていけません。それで、気がとがめてしかたないんです」ありのままの自分であることに罪悪感を抱くのはやめよう。
あまり盛沢山だと、あなたは消耗してしまう。
また、あなたがエネルギーを補給するためには、休むことが必要なのだ。
大事なのは、その事実を子どもに説明することだ。
その子の生活にかかわるのが大好きだということ、でも、ウサギとカメのペースがちがうように、あなたたちのペースはちがうのだということを理解させてあげよう。
たとえば、毎月二つ、スポーツの試合を見に行くと言い、そのふたつを子どもに自由に選ばせてもいい。
参加できない活動については、話を録音するように娘に頼み、日曜日の夕食後に(おもちゃのマイクを使うなどして)家族のみんなにリポートさせるという方法だ。
また、違うクライアントの一人、Kさんは息子のJ君がなぜもっと家にいようとしないのか理解できずにいた。
お父さんが学校へお迎えにいくと、J君の口から真っ先に飛び出す言葉は、「これからどこへ行くの?」なのだ。
Kさんが「うちだよ」と言うと、J君はうめき声をあげ、車のシートにぐったりもたれる。
「おかげでわたしは、悪い父親だという気分になるんです」Kさんは言った。
「なぜあの子は、家族といっしょにいたがらないんでしょうか」
子どもの気質に傷ついてはならない。
彼らはあなたを拒絶しているわけではない。
ただ充電したいだけなのだ。
彼らもあなたと同様、枯渇するのを恐れている。
それを忘れないこと。
あなたの息子にこう言おう。「まだうちに帰りたくないんだね。帰り道、ずっと歌を歌って行こうか。それとも、交通標識のアルファベットを交替で探していこうか。さあそっちから。まずAだよ」
子どもがすぐに乗って来なくても、率先して歌ったり、ゲームをしたりすることだ。
たいていの子どもは、そのうち参加してくる。
外向型の子どもはどんどん肯定してあげよう。
あなたが指摘しなければ、彼らは自分のよい面(あなたには明々白々に思えること)に気付かないかもしれない。
外向型の子どもをしつける方法
外向型の子どもは、お天気のように、さまざまな気分を見せる。
舞い上がったり落ち込んだり。
ときとして彼らは、他人の気持ちに気付かない。
親の怒りを無視することもある。
親が怒れば、しばらくは後悔するだろう。
彼らは明るく肯定してもらうのが好きだから。
しかし内向的な子どもとちがって、その出来事をもう一度考えることはないかもしれない。
外向型の子どもにとって、それは広がっては消えていく雷雲のようなもの―もう済んだことで、かたがついているのだ。
彼らに対するときは、あなたがなぜ怒っているかきちんと分からせることが大切だ。
ふたりきりで子どもと話し、何がいけなかったかを具体的に教えよう。
子どもの目を見て、きっぱりした口調で話すこと。
説明は短く、具体的に。
「あなたがYさんから絵筆を取り上げたのを怒っているの」そして、つぎにどうすればいいかを話す。
「Yさんにあやまりなさい。あの子はあの筆で仕上げをしようとしていたんだから。そのつぎがあなたの番でしょう」
しばらくしてから、非難や批判を交えずに、あの場合とりえた他の手段を考えてみたかたずねよう。
子どもに手を貸し、自分の行動をじっくり振り返らせよう。
言い合いにならないよう注意すること。
外向型の子どもの多くは弁が立つので、あなたは言い負かされてしまうかもしれない。
冷静さを保ち、つねに主導権を握っていること。
「あなたが大好きだけれど、あのやり方は認められないわ」だれしもときには自分の行動を振り返ってみなければならない。
そのことを子どもに教えよう。お父さんやお母さんもそうなのだ、と。
内向性について子どもと話し合ってみる
心身の働きかたとそのコントロール法についての話し合いは、内向型の子どもが幼いころから始めるべきだ。
考えたり、感じたり、動いたりするために、私たちの体はエネルギーを必要とする。
あなたの子どもがエネルギーや快感ややる気をどこから得ているかについて、本人と話をしよう。
ある人々は、エネルギーを蓄えるのにたくさんのプライベート・タイムを必要とする。
また、ある人々は、外の世界へ出かけることでエネルギーを得る。
そのことを説明しよう。
あなたがどのようにエネルギーを得ているか、自分の体験を例に挙げるとよい。
自分の体の状態を子どもが話せるように手を貸し、気質の体温を測ることを教えよう。
まず、いつ休息や活動が必要かに注意することから始めるとよい。
あなたの印象を子どもに話して聞かせよう。
「C君のパーティー、楽しかったけど、あとで疲れが出ちゃったね。自分でそのことに気がついた?」他の子たちとのちがいを子どもに観察させよう。
「ピクニックの帰り道、Tちゃんは眠っちゃったけど、Sちゃんはずっとしゃべったり歌ったりしていたね。ふたりは、必要とするものや気質がちがうのよ」
心の働きからにも、やはりちがいがある。
子どもにこう説明しよう。
「ある人たちは考えるのがすごく速いし、早口でしゃべるでしょう?でもあなたみたいに、自分がどう感じたかじっくり考えなきゃならない人もいるの。
考える時間があれば、自分の言いたいこともわかる。
それに、気分もよくなるしね。
蝶のコレクションに何時間も集中したあと、あなたはいい気分になるでしょう。
でも人によっては、そんなに長くひとつのことに集中していると疲れてしまうの。
そういう人たちは、忙しくしているほうが好きなのよ」
子どもとともにチームとして取り組んでいこう。
困難を予測し、彼らにそのための備えをさせよう。
あなた自身や家族のみんなの気質について話し合い、内向型でも外向型でも別に恥じることはないのだと子どもに理解させよう。
難しいのは、回避という対処法に走らせずに、自己に対する理解へと彼らを導くことだ。
ときとして彼らは、過剰な刺激を感じてしまう。
そんなときは、深く息を吸い、休息をとって、気を鎮めることをすすめよう。
過保護にならないこと。
また、子どもがひとりで対処することを期待してもいけない。
子どもにいちばん必要なのは、親にはなんでも話せるという安心感なのだ。
自分の長所や限界を親が理解しているという確信があれば、子どもは成熟した大人に育つ。
子どものエネルギーの変動についてつねにその子と対話を(あなたのほうが主たる聞き役となって)持ち続けよう。
親も一緒に取り組んでいるという感覚は、大いに彼らを力づける。
これこそが、成長過程のごく自然な苦しみに向き合うとき、あなたが子どもに与えうる最高のサポートなのだ。
まず、子どもの気質を肯定してみる
世の中のあらゆる危険から我が子をまもることはできない。
しかしわたしたち親は、子どもたちが自分自身をどう思うかを左右することができる。
彼らがまだ幼いうちに、自らの気質を理解し、その価値を認められるよう導くことができるのだ(自分の気質の体温を測れるようになれば、そのスキルは彼らの武器となる)。
親はまた、他の人の気質を尊重するよう子どもに教えることもできる。
私たちが子どもとの強い絆を利用して、その天性がはぐくまれるよう手助けすれば、彼らは品性ある大人に育つためのたしかな礎を得る。
品性とは、その人が生まれながらの気質をどう用いるかだ。
それはわたしたちがコントロールしうる領域なのである。
わたしたちの子どもはその天分や能力を建設的に用いているだろうか?
それとも破壊的に用いているだろうか?
すべての子どもが誠実さ、好奇心、思いやり、愛し愛される能力、内面の長所を開花させる力を持つ大人へと育てば、この世の中はもっとよくなることだろう。